人々を魅了するサッカー ゴールへと繋がるオフ・ザ・ボールの動き 第3弾

ゴールに繋がるオフ・ザ・ボールの動き UEFAのコンペティション

サッカーの試合での決定機やゴール、そのほとんどに於いてオフ・ザ・ボールでの質の高い動きや適切なポジショニングがあります。

今回は2025年の夏に行われた試合の中から
・クラブワールドカップ決勝戦 チェルシーの繰り出す縦攻撃
・UEFAスーパーカップ アディショナルタイムでのパリSGの同点ゴール
の二つの場面を取り上げたいと思います。
いずれの場面も質の高いオフ・ザ・ボールの動きによってゴールが生まれています。

※この記事の英語版をこちらで公開しています。もしよろしければご覧下さい。

ゴールへと繋がるオフ・ザ・ボールの動き 2選

【取り上げる内容】
・クラブワールドカップ決勝戦、チェルシーが繰り出す縦攻撃の中でのジョアン ペドロの動き

・UEFAスーパーカップ、後半アディショナルタイムでみせたデンベレの裏抜け

【その1】
FIFAクラブワールドカップ Final(2025年7月14日)
チェルシーFC 対 パリ・サンジェルマン 戦
[43分、チェルシーのゴールシーン]

【その2】
UEFAスーパーカップ(2025年8月14日)
パリ・サンジェルマン 対 トッテナム・ホットスパー 戦
[90+4分、パリSGのゴールシーン]

チェルシーの縦攻撃とジョアン ペドロの動き

FIFAクラブワールドカップ Final(2025年7月14日)
チェルシーFC 3-0 パリ・サンジェルマ

スターティングラインアップとシステム

[システム図①]左:チェルシー(紺) 右:パリSG(白)

43分 チェルシー、縦攻撃からのゴール

パーマーが操るチェルシーの縦攻撃と
ジョアンペドロのオフ・ザ・ボールでの振る舞い

カンファレンスリーグ王者のチェルシーが、欧州王者パリSGに挑んだクラブワールドカップ(CWC)の決勝戦。
「挑戦者」のチェルシーは、序盤から最強王者パリSGを相手に強気に攻め込む姿勢をみせて優位に立つと22分、30分に立て続けにゴールを奪います。
試合の主導権を握ったチェルシーが43分にみせた縦攻撃。チェルシーの見事な攻撃と、その中でのジョアン ペドロのゴールを奪うまでの動きを以下のMEMOでみていきます。

縦攻撃の中でのジョアン ペドロの動き(その1)
【最終ラインからパーマーへの縦パスによりチェルシーの縦攻撃が発動】
バックパスを受けた最終ラインの㉓チャロバーから、敵ライン間へパスを引き取りに来た⑩パーマーへ鋭い縦パスが入ると、パーマーは素早いターンで前を向きます。敵ライン間でパーマーが前を向いた事がスイッチとなりチェルシーの縦攻撃が発動、最前線の⑳ジョアン ペドロもパリSGのゴール方向へ向けて走り出します。
リトリートを余儀なくされたパリSGの最終ライン。この時センターバック(CB)の⑤マルキーニョスと④ベラウドの間には大きな距離が空いています。⑰ヴィチーニャがCB間の距離を埋めるべく戻るものの、ファイナルサードで守備ブロックを形成した時CB間にギャップが生じる可能性が高い状況。
最前線を走るジョアン ペドロは、この先に生じるであろうDFラインのギャップを的確に突く事ができるコースを取っています
[システム図②]
縦攻撃の中でのジョアン ペドロの動き(その2)
【パーマーの動きに合わせてDFライン裏を取るジョアン ペドロ】
④ベラウドと㉕ヌノ メンデスの中間を狙ったドリブルで前進する⑩パーマー。ペナルティエリア直前まで下がって守備ブロックを敷くパリSG。パリSGのCB間には案の定ギャップができ、⑳ジョアンペドロはそこへ侵入いて行きます。
パリSGが守備ブロックを敷いたので前進速度を落としたパーマーは、ベラウドに正対するよう体を向けます。当然ベラウドもパーマーに対して体を向けたその瞬間、ジョアン ペドロはベラウドの背後を突くダイアゴナルランでパリSGのDFライン裏へと抜け出しパーマーはスルーパスを通します。
[システム図③]

この図の後、ゴールキーパー(GK)と1対1になったジョアン ペドロは、GKの上を抜くループシュートを冷静に決める。

チェルシー加入直後にもかかわらず、周囲の選手と抜群の連携をみせるジョアン ペドロ

瞬時にチームに馴染めたのは、彼のオフ・ザ・ボールでの動きの質の高さが要因の一つではないだろうか

パリSG、試合終了間際の攻撃に於けるデンベレの動き

UEFAスーパーカップ(2025年8月14日)
パリ・サンジェルマン 2-2 トッテナム・ホットスパー
PK戦 4‐3
【パリSGの勝利】

※デンベレのオフ・ザ・ボール動きについてこちらの記事でも取り上げています。もしよろしければご覧下さい。

スターティングラインアップとシステム

[システム図④]左:パリSG(紺色・赤) 右:トッテナム(白)

後半アディショナルタイム、パリSGの同点ゴール

ディフェンダーの背後からDFライン裏を取るデンベレの動き

24-25シーズン、獅子奮迅の活躍でパリSGの快進撃を支えたウスマン デンベレ。
25‐26シーズンの開幕直前に行われたUEFAスーパーカップでも見事な動きをみせて、チームの同点ゴールを演出しました。
土壇場でみせた彼のオフ・ザ・ボールでの動きを以下のMEMOでみていきます。

デンベレの裏抜け
【相手選手の背後(死角)を取る動き】
アタッキングサードへと攻め込むパリSG。左サイドからのパスを受けた⑤マルキーニョスは、右サイドの②ハキミへパス。ボールを受けたハキミに対して㉔スペンスが守備対応でハキミの方向へ動き出します。
ここで⑩デンベレが絶妙な動きをみせます。
デンベレはスペンスの背後について行き、スペンスがハキミへの守備体勢を取った瞬間、裏のスペースへと抜け出します。完全にトッテナムのDFライン裏を取ったデンベレはフリーの状態でハキミからのスルーパスを受けます
[システム図⑤]

この図の後、フリーでDFライン裏を取ったデンベレは、DFラインとGKの間を通すライナー性のクロスを上げると⑨ゴンサロ ラモスが頭で合わせてゴールとなりました。

昨シーズンの覚醒以降、最高級の質の高さをみせるデンベレのオフ・ザ・ボールでの動き、その中でもトッテナム戦のアディショナルタイムでみせたゴール前での動きは非常にユニークでした

遊び心をみせつつ、それをゴールに結びつける彼のアイデアは本当に秀逸で、印象に残りました

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