欧州サッカー観戦記 22-23 UEFAチャンピオンズリーグ Quarter Final 注目チームの紹介 その②

欧州サッカー 22-23シーズン 個人表彰 UEFAのコンペティション

チャンピオンズリーグの準々決勝進出チームの中から、投稿主が注目するチームの紹介第2弾。
今回はチーム史上初のチャンピオンズリーグ準々決勝進出を果たし、国内リーグでも1990年以来のリーグ優勝に向けて独走状態のSSCナポリを取り上げます。

22年の夏にチームは主力選手を大量に放出。シーズン開幕前は、大幅な戦力ダウンにより22-23シーズンは厳しい戦いを強いられると言われていたナポリ。
しかし蓋を開けてみると、名将スパレッティ監督に率いられたチームは圧倒的な攻撃力を武器に連戦戦勝。新たなエースとしてチームを牽引するビクター オシムヘン。彗星の如く現れた次世代のスター候補、クビチャ クバラツケリアなどチームにはポジティブな雰囲気に溢れています。
そんなナポリの今シーズン、ここまでの戦いと準々決勝を戦う上での注目ポイント・注目選手を投稿主の視点で紹介します。

Quarter Final 対戦カード

※日付表記は日本時間

【1st leg】

2023年4月12日
SLベンフィカ 対 インテル

2023年4月12日
マンチェスター シティ 対 バイエルン ミュンヘン

2023年4月13日
レアル マドリード 対 チェルシー

2023年4月13日
ACミラン 対 SSCナポリ

【2nd leg】

2023年4月19日
SSCナポリ 対 ACミラン

2023年4月19日
チェルシー 対 レアル マドリード

2023年4月20日
インテル 対 SLベンフィカ

2023年4月20日
バイエルン ミュンヘン 対 マンチェスター シティ

SSCナポリ

今シーズンの戦績

UEFAチャンピオンズリーグ

【グループステージ】

グループA
5勝 0分 1敗 勝ち点15 得点20 失点6 得失点差14 (1位)

【決勝トーナメント】

Round of 16
対 アイントラハト フランクフルト 2試合合計 5-0(2-0、3-0)

セリエA

23勝 2分 2敗 勝ち点71 得点64 失点16 得失点差48 (1位) ※第27節終了時

コッパ イタリア

3回戦敗退

チームの特徴と見どころ

現状のベストメンバー

監督:ルチアーノ スパレッテ

1 アレックス メレト (GK)
3 キム ミンジェ
9 ビクター オシムヘン
13 アミル ラフマニ
17 マティアス オリベラ
20 ピオトル ジエリンスキ
21 マッテオ ポリターノ
22 ジオバンニ ディロレンツォ
68 スタニスラフ ロボツカ
77 クビチャ クバラツケリア
99 アンドレ ザンボアンギサ

【上記以外の主力選手】

6 マリオ ルイ 左SB
7 エリフ エリマス WG、OH
11 イルビング ロサーノ 右WG
18 ジオバンニ シメオネ CF
基本システム

局面ごとの戦い方

【自陣からの攻撃の組み立て】
マイボールになった時点(ポジティブトランジション、ゴールキックによるプレー再開 等)で対戦相手が前に出てプレスに来ても、基本的には逃げずに後方からパスを繋ぐ。
ビルドアップは最終ラインに⑬ラフマニと③キム ミンジェの両センターバック、その前に(68)ロボツカが立つトライアングルが起点になる。
㉒ディロレンツォ、⑰マティアス オリベラの両サイドバック(SB)や(99)ザンボアンギサ、⑳ジエリンスキの両インテリオールは「ゾーンの間」「マッチアップマンの背後」「外を切る敵ウイングの更に外」等々にポジションを取り、後方のトライアングルからのパスを受ける。
パスを受けたボールホルダーに対して相手チームがプレスに来れば周囲の選手は縦方向へのフリーランニングでボールホルダーをサポート。ボールホルダーの個人技やサポートに来た味方にパスを捌く事で相手のプレスを1枚でも剥がせば、素早くボールをサイドに展開。前進から崩しの局面へと移行する。

[システム図①]ビルドアップの初期配置
⑬ラフマニ、③キム ミンジェ、(68)ロボツカのトライアングルがビルドアップの起点。
㉒ディロレンツォ、⑰マティアス オリベラ、(99)ザンボアンギサ、⑳ジエリンスキ(状況によってはトップ下のラファ シウバが下がって来る)がビルドアップからのパスを引き取る。

【敵陣・アタッキングサードへの侵入】
サイドにボールを展開すれば右はポリターノ(ロサーノ)、左はクバラツケリアと左右両翼に配された強力なサイドアタッカーを中心にサイドを攻略し、相手ゴールへと迫る。

右サイドからの攻撃は㉒ディロレンツォ、(99)ザンボアンギサ、㉑ポリターノのトライアングルが担う。
メインのオプションはポリターノのドリブルカットイン。ザンボアンギサはサイドに流れてポリターノをサポートし、後方からはディロレンツォがオーバーラップやインナーラップ(アンダーラップ)で攻め上がる事でトライアングルを循環させる。
⑨オシムヘンは前線での裏抜け等、オフザボールで相手ディフェンスラインとの駆け引きを行う事で、攻撃に深さを取るとともにサイドやハーフスペースにスペースやギャップを作る。
逆サイドでは⑳ジエリンスキがゴール前を窺い、トライアングルの背後では(68)ロボツカが攻撃が停滞した際の攻め直しやボールロストに備えたポジションを取る。

[システム図②-(1)]右サイドからの攻撃
㉒ディロレンツォ、(99)ザンボアンギサ、㉑ポリターノのトライアングルが攻撃の中心。
ポリターノのドリブルカットインをメインオプションにし、相手チームがポリターノを警戒すれば間隙を縫ってディロレンツォが裏のスペースやニアゾーンを狙う。

左サイドからの攻撃は(77)クバラツケリアの個人能力による仕掛けが中心。マッチアップするディフェンダーとの1対1を制してサイドを抉ると、サイドの深い位置から中央方向に舵を切ってゴールキーパーの鼻先又はマイナスのクロス。中央方向にドリブルでカットインすればシュートやラストパスを狙う。
⑰マティアス オリベラ(マリオ ルイ)はクバラツケリアが仕掛けた先のスペースを消さないような形でクバラツケリアをサポート。⑳ジエリンスキと⑨オシムヘンはクバラツケリアが仕掛けた後のディフェンスラインラインを崩すコンビネーションやフィニッシュに向けたポジションを取る。
(68)ロボツカは右サイドからの攻撃と同様、攻撃が停滞した時の攻め直しやボールロストに備えたポジショニング。

[システム図②-(2)]左サイドからの攻撃
(77)クバラツケリアの個人能力によるドリブル突破やドリブルカットインが攻撃の中心。
⑳ジエリンスキや⑨オシムヘンはクバラツケリアが仕掛けた次の展開を予測したポジションを取る。

【敵陣でのフォアプレス】
対戦相手のビルドアップに対して前からプレスをかける際、センターフォワードの⑨オシムヘンとインテリオールのうちの1人(多くの場合⑳ジエリンスキ)がプレスの第1陣として、相手チームの最終ラインにアプローチ。ジエリンスキは相手チームの最終ラインに対してプレスに行く場合、自身のポジションを外して前に出るので、その時は中盤へのパスコースを消しながら前に出る。
2列目から後方のラインは、基本的にはボールサイドにラインをスライドしつつ、システムに沿った形でマークをマークを掴み、(68)ロボツカは中盤のラインと最終ラインの中間にポジションを取る。

[システム図③-(1)]標準的なフォアプレス
⑳ジエリンスキが前に出て⑨オシムヘンと2枚で相手最終ラインにプレスをかけ、2列目から後方はボールサイドにラインをスライドしつつマークを掴む。

時折、通常のプレスより更にラインを上げてプレスに行く事がある。
その際はボールサイドのウイング(WG)がボールホルダーに対して外側を切りながらプレス。相手チームのSBに対してはSB(下図の場合⑰マティアス オリベラ)が前に出てマーク。
中盤では数的同数になるような形でマッチアップを噛み合わせる。

[システム図③-(2)]通常よりラインを上げてのフォアプレス
ボールサイドのWG、下図の場合(77)クバラツケリアが敵最終ラインのボールホルダーに対して外を切りながらプレス。
中盤は数的同数になるようにマッチアップを噛み合わせ、サイドで浮いている敵SBには自チームのSBが上がって来てマークに行く。

準々決勝での注目ポイント・注目選手

注目ポイント①:右サイドからの攻撃
注目選手:マッテオ ポリターノ、アンドレ ザンボアンギサ、ジオバンニ ディロレンツォ

今シーズンのナポリで最大のブレイクを果たした選手は左WGのクバラツケリアで間違いないありません。当然対戦相手は左サイドに張るクバラツケリアに対して最大級の警戒網を敷いてくる事が予想され、今後はさしものクバラツケリアも相手守備陣に封じられる場面も出てくるでしょう。
そこでナポリにとって重要になってくるのが右サイドからの攻撃。
右サイドで攻撃の中心になるのが左利きのテクニシャン、マッテオ ポリターノ。彼のドリブルカットインは右サイドからの攻撃に於いて最大の武器となります。
そしてポリターノを支えるのが右SBのジオバンニ ディロレンツォと右インテリオールのアンドレ ザンボアンギサ
このトライアングルが機能するかどうかが、この先もナポリが高い得点力を維持できるかどうかのカギになるのではないでしょうか。

ディロレンツォザンボアンギサポリターノのトライアングルが活躍する事が回り回ってクバラツケリアの負担を軽減する事に繋がる。

チームにとってこの3人の攻撃面での貢献はとても大切な要素ですね。

注目ポイント②:ロボツカの攻守両面での貢献
注目選手:スタニスラフ ロボツカ

チームの「へそ」、今のスタニスラフ ロボツカはチームにとって替えの効かない存在となっている。
ビルドアップでは1枚で中盤の底を支え、相手チームが激しくプレスをかけてきても高い技術力と確かな展開力で攻撃を組み立てる。守備面ではライン間のフィルター役として、前方のプレッシャーラインを越えて来た相手チームの選手を的確に掴まえボールを奪いピンチの芽を摘む。
今シーズン国内リーグでは首位をひた走り、チャンピオンズリーグでは準々決勝進出進出を果たしたチームの中でも絶大な存在感を放っている。

ロボツカは今のチームにとって欠かす事の出来ない存在。

それだけに今後ナポリがチャンピオンズリーグでどこまで勝ち上がって行けるかを考えた時、彼のコンディションにかかる割合も高いのではないだろうか。

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