欧州サッカー観戦記 23-24 UEFAチャンピオンズリーグ グループステージ 第5節

ガラタサライSK対マンチェスターユナイテッド UEFAのコンペティション

前回の対戦ではオールドトラフォードでユナイテッドを撃破したガラタサライ
バイエルンを相手にも健闘し、自慢のマンツーマンディフェンスを引っさげ自信を持った戦いをみせる
対するユナイテッドはガラタサライのマンツーマンディフェンスを攻略する事が出来るのか

今回のサッカー観戦記は決勝トーナメント進出を争うチーム同士の直接対決、ガラタサライSK 対 マンチェスターユナイテッド 戦をレビューします

ガラタサライに関しては最終節の試合もこちらでレビューしています、もしよろしければご覧下さい

本レビューは、あくまで投稿主個人の考えや感想を記事にしたものです
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23-24 UEFA CL グループA 第5節   結果

2023年11月30日
バイエルン ミュンヘン 0-0 FCコペンハーゲン
ガラタサライSK    3-3 マンチェスター ユナイテッド

グループ順位※第5節終了時

順位 クラブ 試合数 勝点 得失点差 備考
1 バイエルン ミュンヘン 5 13 5 グループ首位確定
2 FCコペンハーゲン 5 5 -1
3 ガラタサライSK 5 5 -2
4 マンチェスター ユナイテッド 5 4 -2

ガラタサライSK 対 マンチェスター ユナイテッド

2023年11月30日 UEFAチャンピオンズリーグ グループステージ 第5節
ガラタサライSK 3-3 マンチェスター ユナイテッド

メンバー

ガラタサライSK
監督 オカン ブルク

【スタメン】

1 フェルナンド ムスレラ (GK)
3 アンヘリーニョ
9 マウロ イカルディ
10 ドリエス メルテンス
14 ウィルフリード ザハ
22 ハキム ジエシュ
23 カーン アイハン
34 ルーカス トレイラ
42 アブドゥルケリム バルダクチ
91 タンギ エンドンベレ
93 サシャ ボエ

【交代】

7 ケレム アクトゥルコール
(60分In)
➡メルテンス Out
27 セルジオ オリベイラ (60分In)
➡エンドンベレ Out
25 ビクトル ネルソン (83分In)
➡アンヘリーニョ Out
53 バルシュ ユルマズ (83分In)
➡ジエシュ Out
8 ケレム デミルバイ (88分In)
➡ザハ Out

マンチェスター ユナイテッド
監督 エリックテン ハーフ

【スタメン】

24 アンドレ オナナ (GK)
2 ビクトル リンデロフ
4 ソフィアン アムラバト
5 ハリー マグワイア
8 ブルーノ フェルナンデス
11 ラスムス ホイルンド
17 アレハンドロ ガルナチョ
21 アントニー
23 ルーク ショー
29 アーロン ワンビサカ
39 スコット マクトミネイ

【交代】

9 アントニー マルシャル (58分In)
➡ホイルンド Out
37 コビー メイノー (58分In)
➡アムラバト Out
20 ディオゴ ダロト (78分In)
➡ワンビサカ Out
28 ファクンド ペリストリ (78分In)
➡ガルナチョ Out

基本システム

左:ガラタサライ(臙脂・橙) 右:ユナイテッド(白)

[システム図①]
試合開始時

[システム図②]
58分・ユナイテッド ⑨マルシャル、㊲メイノー投入
60分・ガラタサライ ⑦アクトゥルコール、㉗セルジオ オリベイラ投入

[システム図③]
78分・ユナイテッド ⑳ディオゴ ダロト投入
83分・ガラタサライ ㉕ビクトルネルソン、(53)バルシュ ユルマズ投入

[システム図④]
88分・ガラタサライ ⑧デミルバイ投入

局面ごとの方針

ガラタサライSK

【ネガティブトランジション⇒守備】
ユナイテッドがボールを保持した瞬間、前から数的同数でマンマーク。チーム全体でユナイテッドに対して前向きにプレッシャーをかける。
ユナイテッドのビルドアップに対してもアタッキングサードからマンツーマンでマークを掴み、ユナイテッドが前進してもマンマークの守備を継続する。
(試合開始時から59分までのマッチアップは[システム図⑤]参照)

[システム図⑤]
ガラタサライ、守備時のマッチアップ図(試合開始時~59分まで)
マンツーマンでマークを掴む
アタッキングサードからマンツーマンでマークを掴む。
マンツーマンディフェンスのキーマン㉞トレイラは④アムラバトをマーク。中盤で浮く⑧ブルーノ フェルナンデスに対しては㉓カーン アイハンが前に出てマークする。

後半の開始直後、中盤でトレイラとエンドンベレがポジションを入れ替えてマッチアップも入れ替わる。
このポジションチェンジによるマッチアップの変更は50分頃に一旦元の形に戻るが、60分に選手交代で中盤にセルジオオ リベイラが投入されるとトレイラは後半の立ち上がりと同様にマクトミネイをマークし、セルジオ オリベイラはアムラバトに代わって投入されたメイノーをマークする。
(60分からのマッチアップは[システム図⑥]参照)

[システム図⑥]
ガラタサライ、守備時のマッチアップ図(60分以降)
選手交代に伴い中盤のマッチアップを変更
前半、ユナイテッドの攻撃に於いて重要な役割を担っていた㊴マクトミネイに対して㉞トレイラがマッチアップする。

【ポジティブトランジション】
ボールホルダーに対して周囲の選手が連続でサポート。
ユナイテッドのファーストプレスを回避する為にボールホルダーに近い選手はボールを受けに行き、3人目4人目の選手が縦に動き出す。
最初のパスを受けた選手はダイレクト又は少ないタッチで3人目4人目の選手へボールを送り前進を図る。

【攻撃】
ビルドアップはセンターバック(CB)のカーン アイハンとアブドゥルケリム、中盤の底のトレイラによるトライアングルがパス回しの起点となる。ユナイテッドの前線がフォアプレスに来なければ両CBは自らボールを持ち上がる。メルテンスとエンドンベレは敵ライン間にポジショニングし、ビルドアップの出口になる。
ビルドアップから敵ライン間へのボールの差し込みや、サイドへボールを展開する事で前進を図る。
サイドではサイドハーフ(SH)がサイドに張ればサイドバック(SB)はインナーラップ(アンダーラップ)。SHが内に絞ってポジショニングすればSBはオーバーラップ。サイドからアタッキングサードへ侵入すればトレイラやメルテンスがボールサイドに寄っていきボールに絡む事で攻撃に変化をつけて崩しのきっかけを作る。
イカルディは前線に張ってオフザボールの動きでユナイテッドのディフェンスラインにあるギャップや裏のスペースを突く。

マンチェスター ユナイテッド

【ポジティブトランジション】
ガラタサライのファーストプレスを外せば一気に前に出る。

【攻撃】
ビルドアップは最終ラインのマグワイアとリンデロフ、中盤の底のアムラバトによるトライアングルがパス回しの起点。ガラタサライのマンツーマンディフェンスに対してアムラバトは度々最終ラインまで下がってボールを受ける。
ビルドアップ時の両SBについて、右のワンビサカはサイドに張ってビルドアップをサポートし、左のルーク ショーはやや内側に絞ったポジションでビルドアップをサポート。
マクトミネイはガラタサライの中盤ラインの前後で、ブルーノ フェルナンデスは主に敵ライン間でビルドアップの出口となり、アントニーとガルナチョの両SHはサイドから仕掛ける。

ガラタサライのマンツーマンディフェンスに対する主な対策は

●中盤のマクトミネイから右サイドへボールを展開し、マクトミネイ自身も右サイドへ移動する。(詳細は[システム図⑦-(1)(2)]参照)
●パスの出し手は「パスアンドムーブ」で素早く次のポジションへ移動
以上の2点が挙げられる。
また、ゴールキーパー(GK)のオナナはゴールキックやバックパスを受けた際、やや長めのフィードを蹴り、マンマークを受ける最終ラインを越えて中盤に直接ボールを送る場面が度々みられた。
[システム図⑦-(1)]※11分頃のプレー(その1)
ガラタサライのマンツーマンディフェンスに対するユナイテッドの攻め
右サイドへ流れるマクトミネイ
バックパスを受けたGK㉔オナナはセンターサークルの手前にポジョションを取る㊴マクトミネイへフィード。マクトミネイはマッチアップする(91)エンドンベレとの競り合いを制しボールをキープすると、エンドンベレを引き連れてフィールド右側へドリブル。
[システム図⑦-(2)]※11分頃のプレー(その2)
ガラタサライのマンツーマンディフェンスに対するユナイテッドの攻め
エンドンベレをサイドへ引っ張る事でフィールド中央にスペースが生じる
[システム図⑦-(1)]からの続き
㊴マクトミネイがセンターハーフの(91)エンドンベレをサイドへ引っ張り出した事でフィールド中央には広大なスペースが生じ、そのスペースへ⑧ブルーノ フェルナンデスが侵入する。
更にマクトミネイは㉑アントニーとのワンツーパスでエンドンベレのマークを剥がして前進を図る。

この図の後、ユナイテッドはブルーノ フェルナンデスを中心にガラタサライのディフェンスラインを崩しガルナチョが先制のゴールを決める。
【ネガティブトランジション⇒守備】
ガラタサライがボールを保持すれば4-4-2の陣形を組んでマークを掴む。
ガラタサライのビルドアップに対してはアタッキングサードからプレスに行く。ホイルンドとブルーノ フェルナンデスがガラタサライの2CBをみつつ、ブルーノ フェルナンデスはガラタサライの中盤へのパスコース(主にトレイラへのパスコース)を消す。
20分台に入ると2点をリードした事もあり、ガラタサライがボールを保持すればミドルサードに4-1-4-1の陣形(アムラバトがアンカーでブルーノフェルナンデスが中盤のラインに入る)を敷き中盤でマッチアップを噛みわせる。
ガラタサライのビルドアップに対しても、20分台以降はミドルサードで待ち構える守備に移行する。
後半は4-4-2と4-1-4-1の守備陣形を使い分ける。どちらの陣形でもマークを掴んでボールホルダーに対してプレッシャーをかけるのはミドルサードに入ってからになる。

得点

【11分・ユナイテッド】得点者:アレハンドロ ガルナチョ(0-1)
ユナイテッドがガラタサライのマンツーマンディフェンスを攻略し、先制ゴールを挙げる
アタッキングサードへ侵入したマクトミネイからパスを受けた右サイドのアントニー。その内側をワンビサカがインナーラップ(アンダーラップ)しアントニーを追い越す。ワンビサカのインナーラップにより自身の内側にスペースができたアントニーは、そのスペースをドリブルで突きペナルティエリアの手前まで上がって来たブルーノフェルナンデスへパス。
パスを受けたブルーノフェルナンデスはペナルティエリア内でディフェンダーを背負うホイルンドとのワンツーパスでガラタサライ守備陣をペナルティエリア中央に引き付けると、左ニアゾーンでフリーになったガルナチョへパス。
フリーでパスを受けたガルナチョは、左足でのシュートをガラタサライゴールへ突き刺す。

[システム図⑧-(1)]
ブルーノ フェルナンデスを中心にしたゴール前での崩し
フィールド中央に生じたスペースを突いてペナルティエリアの手前まで上がって来たブルーノ フェルナンデスにボールが渡る
右サイドで㊴マクトミネイからパスを受けた㉑アントニー。その内側を㉙ワンビサカが⑭ザハを引き連れてインナーラップ。自身の内側にスペースができたアントニーはドリブルでそのスペースへと進み、フィールド中央の広大なスペースを突いてペナルティエリアの手前まで上がって来たブルーノ フェルナンデスへパス。
[システム図⑧-(2)]
ブルーノ フェルナンデスを中心にしたゴール前での崩し
ホイルンドとのワンツーパスでガラタサライ守備陣を引きつけ、ガルナチョがフリーに
[システム図⑧-(1)]からの続き
ペナルティエリアの手前でパスを受けた⑧ブルーノフェルナンデスはペナルティエリア内で㉓カーンアイハンを背負う⑪ホイルンドへパス。このパスでガラタサライの守備陣はゴール前へと引き付けられる。
更にパスアンドムーブで中央へ移動するブルーノ フェルナンデスがホイルンドからのリターンパスを受けると、(93)ボエがブルーノフェルナンデスに引き付けられて⑰ガルナチョがフリーになる

この図の後、ブルーノフェルナンデスは左ニアゾーンでフリーになったガルナチョにパス。
ガルナチョは左足を振り抜きシュート。ボールをガラタサライゴールへ突き刺す。

【18分・ユナイテッド】得点者:ブルーノ フェルナンデス(0-2)
ブルーノフェルナンデス、豪快なミドルシュートでユナイテッドが点差を2点に広げる
ガラタサライ陣内、左サイドからのスローイン。スロワーのルーク ショーは後方のリンデロフへとスロー。
チーム全体がマンマークによってプレッシャーをかけるガラタサライに対して、リンデロフはルーク ショーへボールをリターン。ルーク ショーに対してジエシュが寄せて来るが、ルーク ショーはダイレクトで敵ライン間で浮いていたブルーノ フェルナンデスへボールを送る。
ブルーノ フェルナンデスはゴールへ向かってドリブル。マッチアップするカーン アイハンはディフェンスラインで待ち構えるが、ブルーノフェルナンデスはディフェンダーからのプレッシャーをかけられる前に右足で豪快なミドルシュートを放ちゴール。

【29分・ガラタサライ】得点者:ハキム ジエシュ(1-2)
ジエシュのフリーキックにGKのオナナが完全に逆を突かれる
右ハーフスペース、ペナルティエリアの手前でのフリーキック(FK)。キッカーのジエシュは短い助走から、ユナイテッドの壁を割る為に壁の中に入った味方の位置を正確に射抜くシュートを放つ。
このシュートがGKオナナの逆を突きゴールとなる。

【55分・ユナイテッド】得点者:スコット マクトミネイ(1-3)
ガラタサライのマークのズレを突いた攻撃でユナイテッドがリードを再び2点に広げる
バックパスを受けたGKオナナからの攻撃。
オナナの前にはマグワイアとリンデロフの両CBが開き気味にポジショニングし、アムラバトがCB間に落ちて来る。
ガラタサライはユナイテッドの両CBに対してはメルテンスとイカルディがマークに行くが、アムラバトとマッチアップするトレイラは戻るのが遅れてしまう。その状況をみてオナナはアムラバトへパス。
パスを受けて簡単に前を向いたアムラバトは前方でフリーになっているマクトミネイにパス。ガラタサライはCBのアブドゥルケリムが前に出てマークしに行こうとするが、マクトミネイは前方のアントニーへガラタサライ中盤のラインを越えるパスを送る。
ハーフウェイライン付近でパスを受けたアントニーは前を向くと右ハーフスペースをドリブルで上がる。
この時ガラタサライのディフェンスラインはアブドゥルケリムが前に出たポジションを左SBのアンヘリーニョが内側に絞ってカバーしており、ユナイテッドにとっては右サイドに大きなスペースがある状態。そのスペースへワンビサカがオーバーラップすると、アントニーはワンビサカへパス。
ワンビサカはアントニーからのパスをダイレクトでガラタサライのディフェンスライン裏へクロスを送ると、後方から走り込んで来たマクトミネイがスライディングでシュートしゴール。

ユナイテッドが意図的にガラタサライのマンツーマンディフェンスを剥がしたというより、ガラタサライの最初のマークの掴みが遅れた事によって生じたマークのズレをユナイテッドが的確に突いた事によって生まれたゴールだった。

 

パスを受けたユナイテッドの選手は簡単に前を向いていた。

【62分・ガラタサライ】得点者:ハキム ジエシュ(2-3)
ジエシュがこの日2本目のFKからの直接ゴール
ペナルティエリア右角から約5m後方からのFK。
キッカーの位置には右利きのアクトゥルコールと左利きのジエシュが立つと、ジエシュが直接ゴールを狙う。ボールはGKオナナの元へ飛ぶが、オナナはボールをゴール内に弾いてしまいゴールとなる。

【71分・ガラタサライ】得点者:ケレム アクトゥルコール(3-3)
ジエシュのピンポイントパス、アクトゥルコールの絶妙なタイミングでの飛び出しと見事なトラップ
GKムスレラからの攻撃。自陣中央のアブドゥルケリム、右ハーフスペースのカーン アイハンとパスを繋ぐとカーン アイハンは自らボールを持ち上がりユナイテッド陣内、右タッチライン際のジエシュへパス。
ジエシュが前を向いた瞬間、ユナイテッドのディフェンスライン手前に入って来たカーンアイハンが一気にディフェンスラインの裏へと抜け出す。この裏抜けにジエシュはピンポイントのパスを送ると、カーンアイハンは見事なトラップでマッチアップするメイノーから一歩先手を取り右足のシュートをユナイテッドゴールへ突き刺す。

[システム図⑨]
前を向くジエシュと絶妙なタイミングでディフェンスライン裏へ飛び出すアクトゥルコール
㉒ジエシュが後方からのパスを受ける直前右SB(93)ボエがインナーラップでジエシュを追い越す。
ボエとマッチアップする⑰ガルナチョはボエがジエシュを追い抜くとボエのマークを㉓ルークショーに受け渡し自身はジエシュのマークにつこうとするが、ジエシュとの間に距離が空いてしまいジエシュは簡単に前を向く。
この右サイド(ユナイテッドからみて左サイド)での動きに②リンデロフが視線を向けた瞬間、⑦アクトゥルコールはリンデロフのブラインド(背後)を突いて一気にディフェンスラインの裏へと抜け出すと、ジエシュはピンポイントのパスをアクトゥルコールへ送る。

試合の感想・ポイント

前半
【前半の争点】
ガラタサライの強力なマンツーマンディフェンスをユナイテッドが如何に攻略するか

試合の立ち上がりからガラタサライは、お得意のマンツーマンディフェンスでアタッキングサードから激しくプレスに行く。
対するユナイテッドはガラタサライのディフェンスに対して
「マクトミネイの右サイドへの移動」
「パスの出し手のパスアンドムーブ」
という対策(詳細は「局面ごとの方針」・♦マンチェスターユナイテッド・【攻撃】欄を参照)を実行。この対策が功を奏し、試合開始から20分頃まではユナイテッドが試合のペースを握り11分、18分と立て続けにゴールを奪う。

リードを奪ったユナイテッドは20分台に入ると守備時の陣形を変えてラインも下げる。ガラタサライ陣内からかけていたプレスも、ハーフウェイライン付近から行うようになる。
するとガラタサライは自陣で容易に前進できるようになり、徐々にユナイテッドを押し込んで行く。試合の流れも徐々にガラタサライへと傾いて行く。
29分、ガラタサライはジエシュがFKを直接決めて1点差に迫る。
その後、ガラタサライペースで試合は進み1対2で前半は終了。試合序盤で主導権を握ったユナイテッドがリードを奪う形となった。

ユナイテッドのガラタサライ対策、鍵を握ったのはマクトミネイ。

彼の動きがガラタサライの守備陣を崩すのに効果を発揮した。

 

特に11分のゴールは、正にマクトミネイの動きによって生まれたゴールだった。

後半
【後半の争点】
ガラタサライのマクトミネイに対する対応
ガラタサライはマッチアップを変更、マクトミネイに対してはトレイラがマッチアップする

55分、ユナイテッドはガラタサライの守備対応の遅れによって生じたマークのズレを的確に突き、最後は後方から走り込んで来たマクトミネイが決めて点差を再び2点に広げる。

追い上げを図りたいガラタサライ。後半開始直後、中盤のポジションをチェンジしてマッチアップも入れ替える(前半はアムラバトをマークしていたトレイラが、後半開始直後はマクトミネイをマーク)。このポジションチェンジは50分頃には一旦元に戻されるが、点差を2点に広げられた直後の60分、エンドンベレに代えてセルジオ オリベイラが投入されるとトレイラは再びマクトミネイとマッチアップする。
このマッチアップ変更により、ここまで大きな活躍をみせていたマクトミネイの存在感が薄れていく。
また後半のユナイテッドの守備について放送席解説(WOWOW)の林陵平氏は
「守備時の陣形を4-4-2にするのか4-1-4-1にするのか定まっておらず、メイノーが釣り出されてしまっている」
と指摘。その結果ユナイテッドの守備は、前へ出る圧力が弱まった上にライン間へも簡単に侵入を許すようになる。
62分、ガラタサライはジエシュがこの日2本目となる直接FKからのゴールで1点差に迫ると、71分にはジエシュのアシストからアクトゥルコールが決めて同点に追いつく。
そのまま逆転を目指すと思われたガラタサライだが、前半から激しいマンツーマンディフェンスを続けた事による体力の消耗に伴いユナイテッド陣内でのプレスの威力が弱まっていく。70分台の後半になるとユナイテッドはガラタサライのファーストプレスを剥がし、立て続けにアタッキングサードに到達。ガラタサライゴールを何度も襲う。
対してガラタサライは守備的な人員を投入し必死の守備をみせる。
結局72分以降スコアは動かず。試合のペースが両チームの間を行き来する、激しい内容の試合だったが最終的には3対3のドロー決着となった。

前半から後半の立ち上がりからにかけて大活躍だったマクトミネイ。

対してガラタサライは60分以降、マクトミネイにトレイラをマッチアップ。

このマッチアップ変更が、ガラタサライの後半の追い上げに繋がったのではないだろうか。

先制点のきっかけを作るフィードなど、攻撃では良い面がみられたユナイテッドのGKオナナ。

しかし、ジエシュに決められた2本のFKは止められる可能性があっただけに、痛恨のプレーだった。

結果的に守備面ではチームの足を引っ張ってしまった。

選手寸評

ガラタサライSK
ルーカス トレイラ マンマークディフェンスでユナイテッドの中盤のキープレイヤーを抑え、攻撃ではビルドアップの初期段階から崩しの局面まで幅広く関わる。攻守両面でチームに最も多くの影響を与えていた。
ハキム ジエシュ 直接FKから2ゴールを奪い、71分にはアクトゥルコールのゴールをアシストするピンポイントパス。結果的に2ゴール1アシストの大活躍をみせた。
ケレム アクトゥルコール 途中出場からオフザボールの動きでユナイテッドディフェンスラインのギャップやディフェンダーのブラインドを的確に突き、それが71分の同点ゴールに繋がる。
サシャ ボエ マッチアップするガルナチョに対して11分にはゴールを決められるが、1対1の局面ではしっかりと抑え込んでおり、概ね優位に立っていた。
カーン アイハン ビルドアップ時に前が空けば積極的にボールを持ち運び、ユナイテッドを押し込む一役を担っていた。
マンチェスター ユナイテッド
ブルーノ フェルナンデス 敵ライン間での巧みな動きでガラタサライの守備を崩し、自らも1ゴール1アシスト。守備面でもピンチの芽を摘む的確なポジショニングと、攻守両面でチームを牽引した。
スコット マクトミネイ 右サイドへ流れる動きでガラタサライのマンマークディフェンスを崩すきっかけを作る戦術上のキーマン。55分にはゴール前に走り込み自らゴールを決める。
ソフィアン アムラバト 高いカバーリング能力を発揮して、ライン間からディフェンスラインの位置で好守備をみせる。
アーロン ワンビサカ ガラタサライの攻撃の中心であるザハを高い守備力でもって的確に抑え込む。攻撃でも55分に右サイドのスペースを突くオーバーラップでマクトミネイのゴールをアシストした。
アントニー 単独でも、マクトミネイとのコンビでも積極的な仕掛けをみせた。解説の林陵平氏もコンディションの良さを指摘していた。

投稿主選出の man of the match

ハキム ジエシュ

以上、ガラタサライSK 対 マンチェスター ユナイテッド 戦のマッチレビューでした。

本レビューは、あくまで投稿主個人の考えや感想を記事にしたものです。
本レビューに対して、ご意見やご感想があれば下のコメント欄よりコメントを頂ければ幸いです。

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