欧州サッカー観戦記 23-24 UEFAヨーロッパリーグ グループステージ 第4節

UEFA EL トゥールーズ対リヴァプール UEFAのコンペティション

リーグアンでは連敗中で下位に沈むトゥールーズ
対してリヴァプールはプレミアリーグで上位につけ、前回の対戦でも5対1でリヴァプールの圧勝
この試合、戦前の予想では当然のようにリヴァプールが圧倒的に有利と言われていました
しかし蓋を開けてみればトゥールーズがまさかの大健闘、リヴァプールを相手に一歩も引かない素晴らしい試合をみせます

今回の欧州サッカー観戦記はトゥールーズがリヴァプールを相手に大健闘をみせた、UEFAヨーロッパリーグ第4節の模様をレビューします

本レビューは、あくまで投稿主個人の考えや感想を記事にしたものです
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23-24 UEFA EL グループE 第4節   結果

2023年11月10日
LASK       3-0 ユニオン サンジロワーズ
トゥールーズFC 3-2 リヴァプールFC

グループ順位

順位 クラブ 試合数 勝点 得失点差 備考
1 リヴァプールFC 4 9 7
2 トゥールーズFC 4 7 -2
3 ユニオン サンジロワーズ 4 4 -4
4 LASK 4 3 -1

トゥールーズFC 対 リヴァプールFC

2023年11月10日 UEFAヨーロッパリーグ グループステージ 第4節
トゥールーズFC 3-2 リヴァプールFC

メンバー

トゥールーズFC
監督 カルレス マルティネス

【スタメン】

50 ギョーム レストゥ (GK)
2 ラスムス ニコライセン
3 ミケル デスラー
6 ローガン コスタ
8 バンサン シエロ
9 タイス ダリンガ
15 アーロン デヌム
17 ガブリエル スアソ
20 ニクラス シュミット
23 ムサ ディアラ
24 クリスティアン カセレス

【交代】

19 フランク マグリ (70分In)
➡シュミット Out
12 ワレン カマンジ (81分In)
➡デヌム Out
11 セサル ヘラベルト (88分In)
➡ダリンガ Out

リヴァプールFC
監督 ユルゲン クロップ

【スタメン】

62 カオイムヒン ケレハー (GK)
2 ジョー ゴメス
3 遠藤 航
7 ルイス ディアス
10 アレクシス マクアリステル
18 コディ ガクポ
19 ハーベイ エリオット
21 コスタス ツィミカス
32 ジョエル マティプ
50 ベン ドーク
78 ジャレル クアンサー

【交代】

8 ドミニク ショボスライ
(ハーフタイムIn)
➡ツィミカス Out
11 モハメド サラー (ハーフタイムIn)
➡ドーク Out
66 トレント アレクサンダーアーノルド (ハーフタイムIn)
➡遠藤 航 Out
9 ダルウィン ヌニェス (73分In)
➡ガクポ Out
20 ディオゴ ジョタ (81分In)
➡ルイス ディアス Out

基本システム

左:トゥールーズ(白・紫) 右:リヴァプール(赤)

[システム図①]
試合開始時

[システム図②]
ハーフタイム・リヴァプール
⑧ドミニク ショボスライ、⑪モハメド サラー、(66)トレント アレクサンダーアーノルド投入

[システム図③]
70分・トゥールーズ ⑲フランク マグリ投入
73分・リヴァプール ⑨ダルウィン ヌニェス投入

[システム図④]
81分・トゥールーズ ⑫ワレン カマンジ投入
81分・リヴァプール ⑳ディオゴ ジョタ投入

[システム図⑤]
88分・トゥールーズ ⑪セサル ヘラベルト投入

局面ごとの方針

トゥールーズFC

【守備】
守備での基本方針は4-4-2のコンパクトな守備ブロックを敷き、中央を締めてライン間へのパスコースを消してボールをサイドへ誘導。ボールがサイドへ動けばボールサイドへ陣形をスライドし、ボールホルダーに対して斜めに壁を作るようにしてボールホルダーの前方を塞ぐ。
リヴァプールのビルドアップに対してはアタッキングサードからマークを掴んでプレスに行く。デヌム、ダリンガ、シュミットの前3枚がリヴァプールの最終ラインツィミカス、クアンサー、マティプをマークし、タリンガとシュミットはリヴァプールの中盤、遠藤とジョー ゴメスへのパスコースを消す。ジョー ゴメス(後半はアレクサンダーアーノルド)がサイドにポジショニングした時はスアソがマークする。

[システム図⑥]
トゥールーズ、守備初期段階の基本陣形
ライン間へのパスコースを消してサイドへボールを誘導
4-4-2の守備ブロックを敷き、ボールレーンの選手がボールホルダーに対してプレッシャーをかける。
⑨ダリンガ、⑳シュミットの前線2枚と⑮デヌム、⑰スアソの両サイドハーフはリヴァプールの最終ラインからのパスコースを背中で消す。⑧シエロと㉔カセレスの両ボランチは⑲ハーベイエリオット、⑩マクアリステルへのパスを警戒しつつ②ジョーゴメス、③遠藤にパスが入れば背後からプレッシャーをかけられるように備える。
[システム図⑦]
サイドにボールが入った時の守備対応
ボールホルダーに対して斜めに壁を作る
[システム図⑥]から⑦ルイスディアスが下がってパスを受けた状態。
チーム全体で守備ブロックを右サイドへスライドしつつ右サイドバックの③デスラーがルイス ディアスへマークにつき、⑮デヌムがデスラーの斜め前方にポジショニングする事でルイス ディアスに対して前方と中央の進路を塞ぐ。
試合最終盤になるとラインを下げて後方のスペースを埋める事を最優先。
88分以降は両サイドハーフ(SH)がディフェンスラインの大外に入りヘラベルトが中盤ラインの左に入る6-3-1や、SHの一方がディフェンスラインに下がりヘラベルトが中盤に入る5-4-1といった守備陣形を採る。
【ポジティブトランジション】
基本方針はリヴァプールのファーストプレスを外せば縦方向に進む。前線ではダリンガが盛んにリヴァプールのディフェンスライン裏のスペースをフリーランニングで突く。
試合の立ち上がりはリヴァプールのファーストプレスを外せばサイドへボールを展開し、サイドから縦方向に出て行くパターンが多くみられた。
時間の経過とともにトランジション時のリヴァプールとのカウンタープレス合戦を制する割合が高くなる。すると裏抜けを狙うダリンガをターゲットにしてリヴァプールのディフェンスライン裏へ直接ロングボールを送ったり、前線のダリンガや敵ライン間にポジションを取るシュミットへ縦パスを差し込み、それを攻撃のスイッチとして縦方向に動き出したサイドの選手にボールを展開。サイドのスペースを狙った縦攻撃へと打って出る。
[システム図⑧-(1)]※28分頃のプレー
トゥールーズのポジティブトランジションからの攻撃
後方から前線へ縦パスを差し込み、攻撃のスイッチを入れる
自陣深くでのポジティブトランジション。ボール奪取した味方からのバックパスを受けたゴールキーパー㊿レストゥが、リヴァプールのプレッシャーラインを超える縦パスを敵ライン間に差し込む。
パスを受けた⑳シュミットから前線の⑨ダリンガへパス。ダリンガと(78)クアンサーが競り合って落ちてきたボールを⑮デヌムが前を向いてボールを拾った事で攻撃のスイッチが入る。
敵ライン間でパスを受けたシュミットはパスアンドムーブで右サイドに流れながら前方のスペースへ向けて走り出し、③デスラーも前方へ向けて走り出す。
左サイドではスペースを突こうとポジションを取っていた⑰スアソが、攻撃のスイッチが入った瞬間に前方へ向けてスタートを切る。

[システム図⑧-(2)]へ続く
[システム図⑧-(2)]※28分頃のプレー(その2)
トゥールーズのポジティブトランジションからの攻撃
左右両サイドからの走り込みで速攻に持ち込む
[システム図⑧-(1)]からの続き
⑮デヌムにボールが渡ると右サイドから⑳シュミット、中央⑨ダリンガ、左サイド⑰スアソが前方のスペースに向けて走り出し、③デスラーも右のハーフスペースへと回り込む。

デヌムは右サイドのスペースへ浮き球のスルーパス(㉑ツィミカスの頭上を越える)を出すと、シュミットがリヴァプールのディフェンスライン裏を取る形でボールを受けゴール前へアーリー気味のクロスを送る。

この図の後、左サイドからゴール前に走り込んで来たスアソがクロスボールに対してスライディングシュート。シュートは枠を外したものの、決定的なチャンスとなった。
【攻撃】
ビルドアップは最終ラインがローガン コスタとニコライセンの両センターバック(CB)、中盤の底にはシエロとカセレスによる2-2の並びが起点となり、デスラーとムサ ディアラの両サイドバック(SB)はビルドアップをサポート。
リヴァプールのフォアプレスを外してボールが前に進めばサイドに構えるデヌム、スアソの両SHにボールを展開。デスラーとムサ ディアラの両SBはオーバーラップでSHを追い越す形でサポートに来る。
ダリンガはフリーランニングでリヴァプールのディフェンスライン裏を盛んに突く。後方からは裏抜けを狙うダリンガをターゲットに、前方のスペースへ向けて直接ロングボールを蹴り込むパターンもみられた。
【ネガティブトランジション】
ボールホルダーへは素早く寄せてプレッシャーをかけてカウンタープレスを狙う。
カウンタープレスに行けない時や、ファーストプレスを外された時はリトリートして4-4-2のブロックを敷く。リトリートする場合はブロック形成後すぐにボールホルダーへプレッシャーをかけられるよう、最終ラインを高い位置に保つ。
リヴァプールFC

【攻撃】
ビルドアップ時、ジョー ゴメスは内側へポジションを絞り中盤に上がるので最終ラインはマティプ、クアンサー、ツィミカスの3枚。その前にジョー ゴメスと遠藤の2枚が3-2の並びで立つ。この5人が攻撃の起点となり敵ライン間へのボールの差し込みを狙う。
ハーベイエリオットとマクアリステルの両インテリオールが敵ライン間でビルドアップの出口になり、前線のガクポもボールを受けに敵ライン間に下がって来る。ガクポがポジションを下げた時はマクアリステルかルイス ディアスのどちらか一方が前線に入る。
攻撃時の最優先事項は中央3レーンからの敵ライン間への侵入だが、それが困難な時はボールをサイドへ展開。
右サイドではドークがタッチライン際からドリブルで縦に仕掛ける。左サイドではルイス ディアスがフリーランニングでサイドのスペースを突きつつ、ボールを持てばドリブルカットインでトゥールーズのディフェンスラインを崩しにかかる。

[システム図⑨]
リヴァプール、ビルドアップ時の基本陣形(前半)
ジョー ゴメスが中盤の底に入り、後方で3-2の並びを作る
②ジョー ゴメスが中盤の底に入りアンカーの③遠藤と並ぶ、所謂偽SB。
最終ラインは㉜マティプ、(78)クアンサー、㉑ツィミカスの3枚、中盤の底にジョー ゴメスと遠藤の2枚が並び、後方の5枚が3-2の並びで攻撃の起点になる。
ここから敵ライン間にポジションを取る⑲ハーベイエリオット、⑩マクアリステル、⑱ガクポへパスの差し込みを狙う。
ガクポが敵ライン間へ下がればマクアリステルか⑦ルイス ディアスが前線に入る(下図の場合はルイス ディアスが前線に入る)。

リヴァプールはハーフタイムに3枚替えを行いショボスライ、サラー、アレクサンダーアーノルドを投入。ビルドアップからの攻撃を修正し、2つの攻撃パターンを使い分ける(2つの攻撃パターンについての詳細は[システム図⑩、⑪]を参照)。
73分ガクポに代わりダルウィン ヌニェスを投入。中盤に下りる事が多かったガクポに対してダルウィン ヌニェスは前線に張ってトゥールーズのディフェンスラインに対して裏抜けを狙ったり、サイドからスペースを突いたりと攻撃に深さを取る動きを多く行う。

[システム図⑩]
リヴァプール、後半の攻撃時の初期配置(その1)
ハーベイ エリオットがサイドに開きサラーがトップに入る、4-4-2的な布陣へ
ビルドアップは最終ライン4枚と中盤の⑩マクアリステル、⑧ショボスライによる6枚で行う。
前方では⑪サラーが前線中央に絞り⑱ガクポと2トップを形成。空いた右サイドには⑲ハーベイ エリオットが開くので、攻撃の初期段階では4-4-2的な布陣となる。
[システム図⑪]
リヴァプール、後半の攻撃時の初期配置(その2)
アレクサンダーアーノルが偽SBとして攻撃の組み立てに参加
(66)アレクサンダーアーノルドが偽SBとして中盤に入るので、ビルドアップ時の並びは最終ラインは㉜マティプと(78)クアンサー、中盤の底に(66)アレクサンダーアーノルドと⑩マクアリステルの2-2となる。ここを攻撃の起点として、敵ライン間にポジションを取る⑲ハーベイ エリオットや⑧ショボスライへの縦パスの差し込みを狙う。
②ジョー ゴメスは左サイドを上がり、右サイドに張る⑪サラーと共に攻撃の幅を取る。

【ネガティブトランジション】
チーム全体でマークを掴み、ボールホルダーへは素早く寄せてカウンタープレスを狙う。

【守備】
トゥールーズのビルドアップに対してはアタッキングサードからプレスに行く。
前線の3枚(前半はドーク、ガクポ、ルイス ディアス)はトゥールーズの2CB、ニコライセンとローガン コスタへプレッシャーをかける。
トゥールーズがSBへボールを回した場合、左SBへは右SB(前半はジョー ゴメス、後半はアレクサンダーアーノルド)が前へ出てアプローチ。右SBへは左のインテリオール(前半はマクアリステル、後半はショボスライ)が対応する。

得点

【トゥールーズ・36分】得点者:アーロン デヌム(1-0)
敵陣でツィミカスからボールを奪ったデヌムが、自ら先制ゴールを奪う
リヴァプール陣内でリヴァプールは間接フリーキックからのビルドアップ。クアンサー、遠藤、ツィミカスとパスを繋ぐリヴァプールに対して、ボールホルダーから少し間合いを取って4-4-2のブロックを敷くトゥールーズ。
遠藤からのパスを受けたツィミカスがパスコースを探して周囲を見渡した瞬間、デヌムがツィミカスに対して距離を詰めるプレッシャーをかける。そのままボールを奪い切ったデヌムは右サイドから一気にゴール前へと向かうと、左足でミドルシュートをリヴァプールゴールへ叩き込む。

【トゥールーズ・58分】得点者:タイス ダリンガ(2-0)
敵陣での球際の競り合いを制したトゥールーズが、タリンガのゴールで追加点を奪う
左サイド、ハーフウェイライン付近での球際の競り合い。スアソがハーベイエリオット、ショボスライのプレスをかわしてボールをキープ。カセレス、シエロと中央方向にパスを繋ぎ、リヴァプールのプレスを回避しながら敵ライン間へ侵入すると、シエロは右サイドのスペースへスルーパス。
スルーパスを受けたデヌムは右サイドの深い位置からペナルティエリアへ向けてジョー ゴメス相手に仕掛けるが、ジョー ゴメスが好対応でデヌムの前を塞ぐ。
いったん後退するデヌムに対してルイス ディアスも寄せて来たので、デヌムは後方にいるシエロにボールを返す。するとルイス ディアスはシエロに対しても寄せて行くと、シエロはボールをキープできずジョー ゴメスの元にボールがこぼれる。
ボールを拾ったジョー ゴメスはタッチライン際のルイス ディアスへパス。そこへローガンコスタ、デスラー、シエロがカウンタープレスに行きボールを奪うと、シエロがゴール前へクロスを送る。
このクロスを、ゴール前でマティプの前を取ったダリンガ受けると右足でシュートしゴール。

【リヴァプール・74分】オウンゴール(ムサ ディアラ)(2-1)
リヴァプールがトゥールーズ守備陣を左右に振り回す攻撃をみせ、1点を返す
左サイドからルイス ディアスが上げたクロスが右サイドに流れると、このボールをハーベイ エリオットがサイドの最深部で拾い後方のアレクサンダーアーノルドへボールを戻す。
ボールを受けたアレクサンダーアーノルドはファーサイドへクロスを上げると、ジョー ゴメスがヘディングで折り返す。この折り返しの浮き球に対してサラーとニコライセン、ムサ ディアラが競り合うが、ムサ ディアラの肩に当たったボールがトゥールーズゴールへと入りオウンゴールとなる。

【トゥールーズ・76分】得点者:フランク マグリ(3-1)
ポジティブトランジションからの素早い攻撃で、取られたら取り返すトゥールーズ
リヴァプール陣内でアレクサンダーアーノルドは裏抜けを狙うサラーへ縦パスを出すが、ムサ ディアラがパスカット。ムサ ディアラはフィールド中央のカセレスへボールを送ると、カセレスは敵ライン間にポジションを取るマグリへダイレクトパス。
このダイレクトパスで攻撃のスイッチが入ると、マグリは右サイドのデヌムへボールを展開。デヌムはドリブルカットインから、ファーサイドの大外にいるスアソに向けてクロスを送る。スアソはダイレクトでゴール前、リヴァプールディフェンスラインの裏側へ折り返しのクロスを送る。
このクロスボールにダリンガが詰めるもリヴァプールのゴールキーパー、ケレハーが弾き出す。しかしこの弾き出されたボールにマグリが詰めると、右足で流し込みゴール。

[システム図⑫]
76分、ポジティブトランジションからゴールへと繋がる攻撃の流れ
攻撃のスイッチを入れるカセレスのダイレクトパス
リヴァプールのパスをカットした㉓ムサ ディアラはフィールド中央の㉔カセレスへパス。
カセレスは敵ライン間にポジションを取る⑲マグリへダイレクトパスを送る。
このダイレクトパスが攻撃のスイッチとなり、トゥールーズはマグリの右サイドへの展開からリヴァプールゴールへと迫る。逆にリヴァプール守備陣は後退モードとなる。
【89分・リヴァプール】得点者:ディオゴ ジョタ(3-2)
試合終了間際、怒涛の追い上げをみせるリヴァプールが1点差に迫るゴール
トゥールーズ陣内、右ハーフスペースでの球際の競り合い。マクアリステルがスアソ、シエロ、マグリに競り勝ちボールを持つと、中央方向へ進んで前方のディオゴ ジョタへパス。
前向きにボールを受けたディオゴ ジョタはドリブルでニコライセン、デスラーをかわしてペナルティエリア内へ侵入すると左足でシュートしゴール。
球際の攻防に競り勝ったマクアリステルからのパスを受けたディオゴ ジョタが個人の力で決め切った。

試合の感想・ポイント

前半

トゥールーズがリヴァプール相手に一歩も引かない戦いを挑み、1点リードを奪う

前半リヴァプールを上回る内容のサッカーを展開したトゥールーズ。
守備面では4-4-2のブロック守備が機能。リヴァプールに中央3レーンからのライン間への侵入を許さず、外回りの攻撃を強いる。
トランジションの局面ではリヴァプールの激しさにトゥールーズも一歩も引かず、カウンタープレス合戦を真っ向から挑み、トゥールーズがボールを奪い切る場面が度々みられた。そしてボールを奪えば自分達が狙った形の攻撃を度々みせた。
トゥールーズの中盤、シエロとカセレスはリヴァプールのプレスに対して逃げずにボールをキープすると前へとボールを展開。彼らの働きもトゥールーズがリヴァプール相手に互角以上の戦いを行えた要因だった。
見事な戦いをみせるトゥールーズは36分、デヌムがツィミカスの一瞬の隙を衝いてボールを奪うと一気にリヴァプールゴールを強襲。左足でのミドルシュートを決める。
このゴールが前半戦唯一のゴールとなり、トゥールーズが1点をリードして前半を終える事となる。

前半、トゥールーズが試合を優位に進めた理由として

堅いブロック守備でリヴァプールの攻撃を外回りに誘導

⑵トランジションの攻防で競り勝つ事が多かった

この2点が大きかったのではないだろうか。

 

ポジティブトランジションからの攻撃方法もしっかりと整備されており、トランジションの攻防に競り勝ってから攻撃に転じた際の動き出しも速かった。

後半

後半も試合の主導権を握るトゥールーズが得点を重ね、最後はリヴァプールの猛攻を凌ぎ切る

ハーフタイムに3枚替えを行い、後半は立ち上がりから攻撃方法に修正を加えたリヴァプール。
しかし前半の戦いで手応えを掴んでいたトゥールーズの勢いは衰える事は無く、後半立ち上がりから立て続けに2つの決定機を作る。この2つの決定機では惜しくもゴールを決める事は出来なかったトゥールーズだが、58分にリヴァプール陣内でのトランジションの攻防をトゥールーズが制すると、シエロのクロスをエースのダリンガが決めて追加点。トゥールーズがリードを2点に広げる。
その後も試合の主導権を握り続けるトゥールーズ。74分にオウンゴールでリヴァプールに1点を返されるが、その2分後にポジティブトランジションからカセレスのダイレクトパスで素早く敵ライン間に侵入し攻撃のスイッチを入れると、最後はマグリが決めてすぐに点差を2点に戻す。

試合のペースを支配するトゥールーズ。しかし80分台に入るとトランジションや球際の攻防でリヴァプールが盛り返してくる。89分にはマクアリステルが球際の攻防で競り勝った事をきっかけに、ディオゴ ジョタがゴールを挙げリヴァプールが1点差に詰め寄る。
ラインを下げ後方のスペースを埋めて逃げ切りを図るトゥールーズに対して、勢いづくリヴァプールはアディショナルタイムに入り同点そして逆転を狙い怒涛の反撃。90+7分にはクアンサーのシュートが決まりリヴァプールが同点に追いついたと思われたが、ゴールに繋がる一連の攻撃の中でマクアリステルにハンドがあった事がVARにより確認されノーゴールの判定。
結局トゥールーズがリヴァプールの猛反撃に耐え抜き3対2のスコアでタイムアップ。
トゥールーズが見事に大金星を挙げる事となった。

ハーフタイムに3枚替えをして攻撃面のテコ入れを行ったリヴァプール。

後半は2種類の攻撃パターンを使い分けていた。

 

1つ目のパターン([システム図⑩]参照)は主にフィールド右側で流動性を出そうとしていた。

2つ目のパターン([システム図⑪]参照)は中央を締めるトゥールーズの守備ブロックに対して守備の幅を取ろうとしているように感じた。

 

ただこのような修正も効果は薄かったように感じた。

選手寸評

トゥールーズFC
タイス ダリンガ 前線での盛んな裏抜けや、縦パスを受けるポジショニングでチームの攻撃を前向きに誘導。ゴール前ではフィニッシャーとして鋭い動きをみせ、58分にはゴールを挙げる。
バンサン シエロ トランジションの攻防ではリヴァプールの中盤と互角以上に渡り合う。攻撃面でもリヴァプールの激しいプレスを掻い潜りボールを前方に展開し、攻撃の流れを作った。
アーロン デヌム ポジティブトランジションで縦方向への鋭い動き出しをみせ、チームの攻撃に勢いをもたらす。36分には見事なボール奪取から先制ゴールを挙げた。
クリスティアン カセレス シエロと共に中盤でチームを支える。76分には敵ライン間へのダイレクトパスで攻撃のスイッチを入れた事がマグリのゴールを生んだ。
ラスムス ニコライセン 最終ラインで的確な守備対応を行い、リヴァプールの攻撃を封じていた。
リヴァプールFC
ハーベイ エリオット 状況に応じてサイドに開くなど広範囲にわたってポジションを取り、複数のタスクをこなす。戦術的に重要な役割を担っていた。
ディオゴ ジョタ 89分に挙げたゴールは、彼の能力を遺憾なく発揮された素晴らしいものだった。
ルイス ディアス リヴァプールにとって苦しい試合展開のなかトゥールーズのディフェンスライン裏のスペースを突いたり、ドリブルカットインでの仕掛けをみせるなど個人としては奮闘していた。
ベン ドーク ハーフタイムで途中交代となったが、サイドからの仕掛けでマッチアップするムサ ディアラを圧倒する場面もあり、個人としては見せ場を作った。

投稿主選出の man of the match

タイス ダリンガ

以上、トゥールーズFC 対 リヴァプールFC 戦のマッチレビューでした。

本レビューは、あくまで投稿主個人の考えや感想を記事にしたものです。
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