UEFAチャンピオンズリーグ準決勝
昨シーズンの準決勝、奇跡的な逆転劇でシティを撃破
勢いそのままに欧州王座に輝き、今期は連覇を狙う王者レアル マドリード
対するは昨シーズンのリベンジを果たし欧州初戴冠を狙うマンチェスター シティ
今回のサッカー観戦記は、昨年の準決勝の再戦となったマンチェスターシ ティ対レアル マドリード戦の模様を2nd legを中心にレビューします
※本レビューは、あくまで投稿主個人の考えや感想を記事にしたものです。
本レビューに対して、ご意見やご感想があれば下のコメント欄よりコメントを頂ければ幸いです。
Semi Final 結果
1st leg
2023年5月10日
レアル マドリード 1-1 マンチェスター シティ
2023年5月11日
ACミラン 0-2 インテル
2nd leg
2023年5月17日
インテル 1-0 ACミラン
(2試合合計 3-0 インテル勝利)
2023年5月18日
マンチェスター シティ 4-0 レアル マドリード
(2試合合計 5-1 シティ勝利)
マンチェスター シティ 対 レアル マドリード
2023年5月10日 UEFAチャンピオンズリーグ Semi Final 1st leg
レアル マドリード 1-1 マンチェスター シティ
2023年5月18日 UEFAチャンピオンズリーグ Semi Final 2nd leg
マンチェスター シティ 4-0 レアル マドリード
(2試合合計 5-1 シティ 勝利)
まずは1st legの模様を振り返ります
1st leg 概要
2023年5月10日
レアル マドリード 1-1 マンチェスター シティ
堅守のレアル、シティの攻撃を凌ぎビニシウスの一撃で先制点
シティは、お馴染みジョン ストーンズが偽センターバック(CB)として中盤に上がる形で後方から確実にボールを繋ぎレアル陣内へと攻め込む。更にシティはボールを奪われてもチーム全体でボールサイドに陣形を寄せてボールホルダーにプレッシャーをかけ、周囲の選手はプレスの逃げ道に蓋をしてボールを回収。シティはいつもの通りボールを完全に支配する。
ボールを持てないレアル。しかし、シティ相手にボールを持てないこと事は織り込み済みとばかりに、この日のレアルは自陣に下がってから素晴らしい守備をみせる。
レアルは何重にも渡る守備網を築き(下記[システム図①]参照)、更にゴール前にはゴールキーパー(GK)のクルトワが最後の砦としてシティの前に立ちはだかる。
堅い守備のレアルは、ただ耐えるだけではなく反撃を繰り出す。ロドリゴ、ベンゼマ、ビニシウスの前線3人は、いつでもコンビネーションを発揮できるようお互いの距離を詰め近い位置にポジションを取り流動的に動く。前線の3トップを中心に繰り出す縦方向への攻撃は単発ながらも、その威力はかなりの高火力。
36分、レアルの縦攻撃が火を噴く。自陣左サイドでモドリッチのサポートを受けシティのプレスを剥がしたカマビンガは、ドリブルでシティ陣内へ侵入しボールをビニシウスへ渡す。ビニシウスは中央方向へつつくようにボールを受けるとシティの最終ラインの手前で右足を振り抜く。ビニシウスのミドルシュートが決まりレアルは貴重な先制ゴールを挙げる。
このゴールが前半唯一のゴールとなり、レアルが1点をリードし前半を終える。
[システム図①]レアル、自陣での守備
シティのファーストオプション、⑨ホーランに対してレアルは㉒ルディガーが激しくマーク。更に中盤の⑩モドリッチ、⑧クロース、⑮バルベルデがフィルターとしてホーランへのパスをプロテクト。ホーランにボールを入れさせない。
ホーランにボールが入らないシティはサイドにボールを振るが、ここもレアルが対応。⑩グリリッシュに対してはマッチアップする②カルバハルにバルベルデがサポートに行きダブルチームで対応。
ゴール前ではルディガー、④ダビド アラバの両センターバックが距離を詰め、決定機に繋がるスペースやギャップを消しホーランに付け入る隙を与えない。また、CB脇に生じるスペースはクロースを中心に中盤の選手が下がって埋める。
レアルは上図で示す通り、ホーランやグリリッシュに対して徹底マークを敢行。また、ベルナルド シウバに対してもカマビンガが食らいつくようマークにつくなど、シティのアタッカー陣に対しては厳しく対応する。
その一方、ルベン ディアスがボールを持った時はマークに行かずボールを持ち上がらせる事で、トランジションでひっくり返った時にルベンディアスが空けたスペースを突く。
この守備の使い分けは如何ににもレアルらしい、したたかさを感じた。
後半シティは前に出る力を弱め、レアルにボールを持たせるように仕向ける
前半、レアルがボールを持つと激しくプレスに行っていたシティ。しかし後半のシティは相手ボールになった際、ボールホルダーに対するプレッシャーより4-4-2のブロックを形成する事を重視。スペースを埋め、パスの受け手を抑える形の守備にシフトチェンジする。
必然的にトランジションでの攻防は減少。ボールを持った側が攻撃権を持ち、お互いが交互に攻め合う展開となる。
シティのラインが前半よりも下がり気味になった事でボールを持てるようになったレアルは、カルバハル、カマビンガの両サイドバック(SB)が前半よりも高いポジションを取る。攻撃方法もシンプルな縦攻撃から、サイドのトライアングルで人とボールが循環する形へ変化する。この攻撃方法の変化によりレアルはロドリゴ、ビニシウスの存在感が薄れ、攻撃がトーンダウンする。
シティは後半に入りボール支配率は低下したが(※①)、レアルが前に出てきた事により前方にスペースができ、ボールを持てばそのスペースを突く事で前半よりも得点の匂いを感じさせるようになる。そして67分、デブライネのミドルシュートがレアルのゴールネットに突き刺さりシティは同点に追いつく。
その後スコアは動かず、レアル対シティの1st legは1対1の同点で、次週の2nd legへ向かう事となった。
(※①)シティのボール支配率:前半 68% 前後半合計 57%
試合終了後、激しいマッチアップを繰り広げたビニシウスとカイルウォーカーがお互いの健闘を称え合っていた。
ライバルに対するリスペクトが感じられる、清々しい光景だった。
以上1st legのレビューでした
ここからは2nd legのレビューをお送りします
メンバー
マンチェスター シティ
監督 ジョゼップ グアルディオラ
【スタメン】
31 | エデルソン モラエス (GK) |
2 | カイル ウォーカー |
3 | ルベン ディアス |
5 | ジョン ストーンズ |
8 | イルカイ ギュンドアン |
9 | アーリング ホーラン |
10 | ジャック グリリッシュ |
16 | ロドリ |
17 | ケビン デブライネ |
20 | ベルナルド シウバ |
25 | マヌエル アカンジ |
【交代】
26 | リヤド マフレズ (79分In) |
➡ギュンドアン Out | |
47 | フィル フォデン (84分In) |
➡デブライネ Out | |
19 | フリアン アルバレス (89分In) |
➡ホーラン Out |
レアル マドリード
監督 カルロ アンチェロッティ
【スタメン】
1 | ディボウ クルトワ (GK) |
2 | ダニエル カルバハル |
3 | エデル ミリトン |
4 | ダビド アラバ |
8 | トニ クロース |
9 | カリム ベンゼマ |
10 | ルカ モドリッチ |
12 | エドゥアルド カマビンガ |
15 | フェデリコ バルベルデ |
20 | ビニシウス ジュニオール |
21 | ロドリゴ |
【交代】
22 | アントニオ ルディガー (63分In) |
➡モドリッチ Out | |
11 | マルコ アセンシオ (70分In) |
➡クロース Out | |
17 | ルーカス バスケス (80分In) |
➡カルバハル Out | |
18 | オウレリアン チュアメニ (80分In) |
➡カマビンガ Out | |
19 | ダニ セバージョス (80分In) |
➡ロドリゴ Out |
シティはスターターに1st legと同じメンバーを選択
レアルは1st leg出場停止のミリトンをスターターに起用し、それ以外は1st legと同様のメンバー
基本システム
左:シティ(水色) 右:レアル(黒)
[システム図②]
試合開始時
[システム図③]
63分・レアル ㉒ルディガー投入
[システム図④]
70分・レアル ⑪マルコ アセンシオ投入(システム変更)
[システム図⑤]
79分・シティ ㉖マフレズ投入
80分・レアル ⑰ルーカス バスケス、⑱チュアメニ、ダニ セバージョス投入
[システム図⑥]
84分・シティ フォデン投入
89分・シティ フリアン アルバレ投入
局面ごとの方針
マンチェスター シティ
【攻撃】
ビルドアップは1st legに引き続きジョン ストーンズが中盤に上がる、お馴染みの偽CBシステム(詳細は[システム図⑦]参照)。レアルがフォアプレスに来てもジョン ストーンズとロドリを中心にパスを繋いでプレスを外し前進を図る。ビルドアップ時デブライネとギュンドアンはインテリオール的な動きをみせる。
レアル陣内へ侵入後は、レアルが中央を固めている事もありサイドにボールを振り、サイドからニアゾーンやサイドの深いエリアを取りに行く。サイドからの攻撃に詰まれば中央にボールを戻すが、その時に1人飛ばしのパスを多用しマークのズレを作ろうとする。
崩しの局面でデブライネとギュンドアンはシャドーストライカー的な動きをみせる。
60分台に入ると、2点をリードしている事もあり、試合を締めにかかる。
ポゼッションを確立しても、攻め急がないよう攻撃のスピードをコントロール。前線へのサポートも薄くしてネガティブトランジションに備える。
[システム図⑦]シティ、偽CBによるビルドアップからの攻撃
ビルドアップ時⑤ジョンス トーンズが中盤に上がり(偽CB)、最終ラインは右から②カイル ウォーカー、③ルベン ディアス、㉕アカンジの3枚。中盤の底にジョン ストーンズと⑯ロドリの2枚が入る。この5人がレアルの3トップとモドリッチの4枚に対して数的有利を作り攻撃の起点となる。
状況によっては⑰デブライネ、⑧ギュンドアンがビルドアップのサポートに来る。
右⑳ベルナルド シウバ、左⑩グリリッシュの両サイドハーフ(SH)はサイドに張って幅を取る。
両SHにボールが入れば崩しの局面へ移行。左右のニアゾーンやサイドの深い位置を取りに行く。
中盤の底2人の役割分担、ジョン ストーンズは積極的にボールを持ち上がり、オフザボールでも前へと攻め上がりペナルティエリア内まで侵入する。ロドリはシンプルにボールを捌きつつ、オフザボールではネガティブトランジションに備えたポジションを取る。
アタッキングサードではデブライネとギュンドアンはシャドーストライカー的な動き。デブライネは左右に流れてベルナルド シウバやグリリッシュ、攻撃参加して来たジョン ストーンズらと絡みニアゾーンの攻略を狙う。ギュンドアンはホーランの周囲にポジショニングし、ホーランが動いた事によって生じるディフェンスラインのギャップやスペースを狙う。
デブライネとギュンドアンの役割分担
1st legはデブライネがホーランの周囲にポジショニングする事が多かった。
2nd legではギュンドアンが比較的早めに前線付近までポジションを上げてホーランの近くにポジショニングし、デブライネは左右に流れる事が多かった。
【ネガティブトランジション】
ボール付近の選手は素早くボールホルダーへ寄せて、ボールが奪えそうならボールホルダーに対して強くアプローチ。
直ぐにボールを奪えなくてもボールホルダーの進行方向を塞ぎボールを蹴らせる。チーム全体でマークを掴み、蹴られたボールを回収する。
【守備】
レアルのビルドアップに対してアタッキングサードからプレスに行く。
ホーランとグリリッシュが最前線に立ちレアルの2CBに対してプレスに行き、ベルナルド シウバは右SBカマビンガをマンマーク。前3人の動きに連動してデブライネ、ギュンドアンが前に出てレアルの中盤からディフェンスラインに対してプレスに行く。ビルドアップの初期段階では右SBカルバハルのマークは空き気味で、カルバハルにボールが渡れば中盤の選手がスライドしてマークに行く。
自陣ではデブライネとホーランが2トップになる4-4-2のブロックを敷き、ボールサイドに陣形をスライドしてマークを掴む。
前半は積極的に前に出る姿勢をみせていたが、後半は立ち上がりからラインを下げる。レアルのビルドアップに対するプレスの開始位置はレアルがミドルサードまで前進してからになる。60分台以降チーム全体で後方のスペースを埋める意識を徐々に強める。
【ポジティブトランジション】
基本方針はポゼッションの確立を優先。
60分台に入ると、レアルが前掛かりになっている事もあり前線のホーランに直接ボールを入れデブライネがサポートに行くか、前方のスペースにボールを送りホーランやデブライネを走らせるという形で、ホーランとデブライネの2人によるカウンターアタックを多用する。
レアル マドリード
【守備】
シティの5人でのビルドアップに対してロドリゴ、ベンゼマ、ビニシウスの前線3トップとモドリッチの4人で対応。3トップはシティの最終ライン3枚をみるが、ボールと逆サイドのウイング(WG)はシティの最終ラインと中盤の中間にポジショニング。モドリッチはシティの中盤へのパスコースを消す。
シティがミドルサードまで前進すればモドリッチをトップ下に置く4-2-1-3の陣形を中央に絞る形で組む。ボールがサイドに動けばチーム全体でボールサイドに陣形をスライドする。
ディフェンシブサードまで下がれば4-5-1の守備ブロックを組む。
ミリトン、アラバの両CBは距離を詰めてゴール前を締めてホーランに付け入る隙を与えない。CB脇のスペースはカルバハル、カマビンガの両SBが絞って消す。バルベルデ、クロース、モドリッチの中盤3枚は中央に絞り、両WGは中盤まで下がる。ミリトンがホーランに対してマンマークにつき、ホーランが中盤に下がったりサイドに流れればついて行く。
後半に入り守備の基本方針は前半と同様だが、2点のビハインドがあるのでラインを上げ前半よりも前に出る意識を強めチーム全体でシティに対するプレッシャーを強める。
【ポジティブトランジション】
前半はシティの動き出しの前に後手を踏み、この局面での動きはほぼ封じられる。
後半は縦にボールをつけて、できるだけ早いタイミングで前線3枚にボールを入れる。
【攻撃】
前半のビルドアップ、最終ラインのミリトン、アラバの両CBは開き気味にポジションを取り、その前にクロースが立つ2-1の並びが攻撃の起点となる。カルバハル、カマビンガの両SBはサイドで幅を取りビルドアップをサポート。
30分頃から、ビルドアップ時にカマビンガが内に絞って最終ラインの前にポジショニングするパターンがみられるようになる。
前半はボールを前に運ぶことが殆どできなかった事もあり、後半はビルドアップからの攻撃に修正を加える。
クロースがCB脇に下がり最終ラインを3枚とし、両SBは高めのポジションを取る。前線3トップは左寄りにポジショニングし、コンビネーションを使えるよう近い距離を保つ。ビルドアップからボールが前に進めば、できる限り早いタイミングで前線にボールを送る事を優先する(ビルドアップからの攻撃の詳細は[システム図⑧]参照)。
70分、システムを4-4-2へ変更。ビルドアップはミリトン、ルディガーの2CBとカマビンガ(80分以降はチュアメニ)、バルベルデのセンターハーフ2枚がスクエアに並ぶ形でパスを回す形に変更。前線はロドリゴ(80分以降はダニ セバージョス)、ビニシウスの両SHが高い位置を取り、アセンシオ、ベンゼマの2トップとの4人が流動的に動く。
[システム図⑧]後半立ち上がりから69分までのレアル、ビルドアップからの攻撃
⑧クロースがCB脇に下りる事で最終ラインを3枚としてシティの前線2枚に対して数的有利を作り、②カルバハルと⑫カマビンガの両SBはポジションを上げる。中盤の底には⑮バルベルデが入る。
㉑ロドリゴは中央側にポジションを絞り、前線3トップはフィールド左側を中心にポジショニング。3トップはボールが入れば直ぐにコンビネーションを使えるよう近い距離を保ち、トップ下には⑩モドリッチが入り3トップをサポート。
右サイドに生じるスペースへはカルバハルがオーバーラップ。フィールド左側から前進した際、シティの守備陣形が左に(シティからみれば右に)寄って来れば、右サイドを上がるカルバハルへサイドチェンジのパスを送る。
得点
【23分・シティ】得点者:ベルナルド シウバ(1-0)
偽CBジョン ストーンズのニアゾーン侵入をきっかけに、最後はベルナルド シウバが決める
レアル陣内でのポゼッション攻撃。アタッキングサードの中央レーン、レアルの中盤のライン手前でグリリッシュからのパスを受けたロドリは右サイドのベルナルド シウバへ浮き球のパス。パスを受けたベルナルド シウバはオフザボールで右ニアゾーンへ侵入して来たジョン ストーンズへパス。
ニアゾーンでボールを受けたジョン ストーンズに対してレアルはクロースを中心にジョン ストーンズをペナルティエリア外へ押し出し、ジョン ストーンズは右サイド後方のカイル ウォーカーにボールを戻す。カイル ウォーカーは右ハーフスペースのデブライネにスクエアパス。デブライネは右ニアゾーンにできたレアルディフェンスラインの穴にポジショニングするベルナルド シウバへパス。
フリーでパスを受けたベルナルド シウバは左足でシュートを放ちゴール。
[システム図⑨-(1)]ゴール直前の動き(その1)
ニアゾーンを取るジョン ストーンズ
⑯ロドリはレアルの守備ブロックが中央へ絞っているのをみて、右サイドの⑳ベルナルド シウバへパス。
レアルは陣形を右サイド(レアルからみて左サイド)へスライドすると、その間に⑤ジョン ストーンズが右ニアゾーンへ侵入しベルナルドシウバはジョン ストーンズへパス。ジョン ストーンズが一旦右ニアゾーンを取る。
[システム図⑨-(2)]ゴール直前の動き(その2)
ジョン ストーンズ押し出されるも、攻め直しからベルナルド シウバが再度ニアゾーンを取る
ニアゾーンを取られたレアルは⑧クロースを中心に⑤ジョン ストーンズをサイドに押し出すが、ジョン ストーンズの周囲にクロース、⑳ビニシウス、⑫カマビンガの3人が引き付けられた状態になる。
ジョン ストーンズから後方の②カイル ウォーカー、⑰デブライネとパスを繋ぐシティ。レアルはカマビンガがボールの動きに対応するも、右ニアゾーンには大きなスペースが空いた状態となり、そのスペースへ⑳ベルナルド シウバが侵入する。
この図の後、⑰デブライネはフリーの⑳ベルナルド シウバへパス。
フリーでボールを受けたベルナルドシウバはファーサイドを狙う体の向きから、左足を内に捻りニアサイドを打ち抜くシュートを放ちゴール。
【37分・シティ】得点者:ベルナルド シウバ(2-0)
ギュンドアンのシュートがブロックされたこぼれ球を、ベルナルド シウバが頭で決める
レアル陣内、最終ラインのカルバハルは前方中央へロングボールを蹴るも、センターサークル内でロドリがヘディングでカット。ベルナルド シウバがボールを拾い左サイドのグリリッシュへパスを送る。
グリリッシュは一旦後方のアカンジへボールを渡し、アカンジはグリリッシュにボールをリターン。
グリリッシュはペナルティエリア左角からドリブルでレアルゴール前へ侵入し、レアル守備陣に対して仕掛ける構えをみせる。そこへ後方からギュンドアンがスルスルとペナルティエリア内に侵入してくると、グリリッシュはギュンドアンへパス。
ゾーンの間でパスを受けたギュンドアンは左足でシュート。このシュートはミリトンにブロックされるが、ペナルティスポット付近への浮き球となったボールをベルナルド シウバがヘディングでシュートしゴール。
グリリッシュが最初にベルナルド シウバからパスを受けた時、レアルはカマビンガがビルドアップの流れで左サイド(レアルからみて右サイド)にいた。
グリリッシュがアカンジにボールを返したのでカマビンガは本来のポジションへ戻ろうとしたが、そのタイミングでアカンジからリターンパスを受けたグリリッシュが仕掛けた事でレアルの守備ブロックに穴が空き、その穴をギュンドアンがオフザボールの動きで的確に突いた。
【76分・シティ】オウンゴール(エデル ミリトン)(3-0)
シティ、セットプレーから決勝進出を決定づける3点目を挙げる
左サイドでのフリーキック。
デブライネ右足インスイングのボールをレアルディフェンスラインの背後に入れると、アカンジがヘディングシュート。このシュートがミリトンに当たりゴール。
【90+1分・シティ】得点者:フリアンアルバレス(4-0)
途中出場のフォデンとフリアン アルバレスのコンビでダメ押しゴールを奪う
ドリブルで上がるビニシウスをフリアン アルバレスがチェイシングし、ロドリと挟み込むとセンターサークル内でフォデンがボールを奪い、右ハーフスペースのマフレズにパス。
フォデン、フリアン アルバレス、グリリッシュがレアルディフェンスラインに向けてフリーランニングで走り出す。マフレズはドリブルで少し内側に入るとフォデンにパス。
右ハーフスペース、ペナルティエリア手前でボールを受けたフォデンはノールック気味にレアルのディフェンスライン中央を抜くスルーパス。中央からディフェンスライン裏へ抜け出たフリアン アルバレスはGKのクルトワと1対1となり、右足でクルトワの足元を射抜きゴール。
試合の感想・ポイント
前半
シティの一方的なハーフコートゲーム、堅守のレアルに対してベルナルド シウバが技ありの2ゴールを挙げる
前半は完全にシティが試合の主導権を握りレアル陣内へと攻め込む。
レアルはポジティブトランジション、ビルドアップからの攻撃ともにボールホルダーが進行方向を塞がれ自陣からの脱出に苦戦する。
試合はほぼレアル陣内で進むなか、レアルは1st legに続いて中央を固める守備で対抗。GKのクルトワがホーランの決定機を2度に渡りセーブし、守備ブロックの崩れそうになったポイントをモドリッチが埋めるなどぎりぎりのところで耐え凌ぐ。
しかし23分、ベルナルドシウバがレアル守備ブロックの穴を突きシティが先制ゴールを奪う。更に37分、今度はギュンドアンがレアル守備ブロックの穴を突くと、再びベルナルドシウバが決める。
シティがレアルを突き放し2対0。2試合合計でも2点のリードを奪い前半を終える。
後半
試合を締めつつも追加点を奪うシティ、盤石のサッカーで決勝進出を果たす
後半はシティが立ち上がりからラインを下げた事により、レアルは前半に比べて容易にシティ陣内へ侵入できるようになる。しかしレアルはアタッキングサードまで到達しても崩しの鍵となるパスが微妙にズレたり、ベンゼマにボールが収まらなかったりで、決定機を作る事が出来ない。
時間の経過とともに徐々にラインを下げ試合を締めにかかるシティ。60分台に入ると攻撃にかける人数を減らし、状況によっては攻めに出るのはホーランとデブライネの2人だけというシーンもみられた。攻撃の人数を削った分、後方のスペースを埋めレアルにカウンターアタックを打つスペースを与えない。
シティの守備を最後まで崩せなかったレアルに対して、シティは後半更に2点を追加し4対0(2試合合計で5対1)。シティがスコア、試合内容ともにレアルを圧倒。2021年以来2年ぶりの決勝進出を果たした。
マンチェスター シティに対する感想
前半、攻守一体となったサッカーで前へ出る迫力は凄まじかった。
後半は一転してラインを下げ試合を確実に締めてみせた。
後半の戦い方に関しては、2点差を追いつかれた昨年の準決勝の反省を生かしたのではないか。
レアルマドリードに対する感想
前半、シティに対して完全に受けに回ってしまった。
昨年は2点差を追いついての逆転勝利を果たしたが、今年は完全に真っ向から圧し潰されての完敗だった。
選手寸評
マンチェスター シティ
ベルナルド シウバ | 圧倒的な技術力でレアル守備陣を翻弄し、2ゴールを挙げる大活躍。23分、先制ゴールを挙げるまでのポジショニングは抜群に良かった。 |
カイル ウォーカ | ビニシウスの攻めようとするスペースを的確に潰し、走り合いでも負けない動きをみせた。ビニシウスストッパーとしての本領を発揮した。 |
ジョン ストーンズ | 偽CBとして攻撃を組み立て、そこからボールを持ち上がり、更には崩しの局面にも関与。彼のニアゾーンを突く動きが23分の先制ゴールに繋がった。 |
イルカイ ギュンドアン | レアルのディフェンスラインの手前まで進出し、ホーランが前線に張る事によって生じるスペースやギャップを的確に突く。37分、レアル守備網の穴を突く動きがベルナルド シウバのゴールに繋がる。 |
ロドリ | 前線での味方のフォアプレスによりレアルが前方に蹴ったボールを確実に回収。ネガティブトランジションでも的確なポジショニングでレアルの前進を断ち切り攻撃に転ずる。 |
アーリング ホーラン | 準決勝2試合を通じてノーゴールだったが、彼の存在はレアルの守備陣に脅威を与えた。レアルのディフェンスラインは彼の動きに合わせて動き、シティの選手はその動きによって生じた隙を突いていた。 |
レアル マドリード
ロドリゴ | 敵ライン間から前線にかけてを広範囲に動き回りチャンスメイクの為に奮闘したが、昨年のような奇跡を起こす事はできなかった。 |
ダニエル カルバハル | 後半、マイボールになればサイドを駆け上がり崩しのきっかけを窺う。後半の攻撃のキーマンだった。 |
フェデリコ バルベルデ | ビルドアップから崩しの局面まで攻撃の多くの場面に関わり、守備でもライン間のフィルター役やグリリッシュとマッチアップするカルバハルのサポートと、攻守両面で多くの役割を担った。 |
投稿主選出の man of the match
ベルナルド シウバ
以上、マンチェスター シティ 対 レアル マドリード 戦のマッチレビューでした。
本レビューは、あくまで投稿主個人の考えや感想を記事にしたものです。
本レビューに対して、ご意見やご感想があれば下のコメント欄よりコメントを頂ければ幸いです。
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