今シーズンのチャンピオンズリーグで躍進するミラノ勢
ACミラン、インテルともに準々決勝では前評判の高いチームを撃破し、準決勝のダービーを迎える
今回のサッカー観戦記は、攻守両面で状況に応じて的確なプレーを実行したインテルが、好調ベンフィカをを撃破した、チャンピオンズリーグ準々決勝、インテル 対 SLベンフィカ 2nd legのレビューです
※本レビューは、あくまで投稿主個人の考えや感想を記事にしたものです。
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Quarter Final 2nd leg 結果
2023年4月19日
チェルシー 0-2 レアル マドリード
(2試合合計 0-4 Rマドリード 勝利)
2023年4月19日
SSCナポリ 1-1 ACミラン
(2試合合計 1-2 ミラン 勝利)
2023年4月20日
インテル 3-3 SLベンフィカ
(2試合合計 5-3 インテル 勝利)
2023年4月20日
バイエルンミュンヘン 1-1 マンチェスター シティ
(2試合合計 1-4 シティ 勝利)
インテル 対 SLベンフィカ
2023年4月20日 UEFAチャンピオンズリーグ Quarter Final 2nd leg
インテル 3-3 SLベンフィカ
(2試合合計 5-3 インテル 勝利)
1st leg 概要
2023年4月12日
SLベンフィカ 0-2 インテル
前評判が高く戦前の予想では有利との評価を得ていたベンフィカ。しかし、この日のインテルは素晴らしい守備をみせ、好調ベンフィカの攻撃を封じる。高い位置から前に出れば的確にマークを掴み、リトリートすれば後方のスペースを埋める。前に出る時と下がる時の使い分けが良く、メリハリの効いた守備でベンフィカに付け入る隙を与えない。
またインテルはマイボール時、バストーニやムヒタリアンから確実に司令塔のブロゾビッチへボールを送り前進。ベンフィカは思うように前からのプレスを嵌める事が出来ない。
試合のペースを握り攻め込むインテル、しかしベンフィカも自陣でコンパクトなブロックを敷き対抗。インテルはアタッキングサードまでは到達するも、その先のフィニッシュまでの攻めが滞る。
後半のベンフィカ、攻撃ではパス回しにダイレクトの落としを取り入れ前進。守備でもボールサイドのサイドハーフが前に出て前線のプレスに加わり、インテルの最終ラインに対するプレッシャーを強める。後半の立ち上がりベンフィカは攻守に修正を施し試合のペースを握るかにみえた。
しかし51分、インテルは右サイドから左サイドにボールを展開すると、左サイドでボールを受けたバストーニはベンフィカの守備ブロックのスライドが遅れているのをみてドリブルで前進。更に前線では4対3の数的有利となっているのをみると迷わずゴール前にアーリークロスを上げバレッラがヘディングシュートを決める。
先制点を奪われたベンフィカは攻勢に出ようとするが前半から続くインテルの好守備に苦戦。更に後半インテルがトランジションでより前に出る姿勢を強めた事で攻撃は停滞する。
78分ドゥンフリーズのクロスをジョアン マリオがブロックしたプレーが、VARの介入によりハンドと判定。ベンフィカはPKを献上してしまう。
このPKをルカクが決め0対2。その後スコアは動かず試合終了。インテルは2点という大きなアドバンテージを持ってホームでの2nd legに向かう事となった。
メンバー
インテル
監督 シモーネ インザーギ
【スタメン】
24 | アンドレ オナナ (GK) |
2 | デンゼル ドゥンフリーズ |
9 | エディン ジェコ |
10 | ラウタロ マルティネス |
15 | フランチェスコ アチェルビ |
22 | ヘンリク ムヒタリアン |
23 | ニコロ バレッラ |
32 | フェデリコ ディマルコ |
36 | マッテオ ダルミアン |
77 | マルセロ ブロゾビッチ |
95 | アレッサンドロ バストーニ |
【交代】
90 | ロメル ルカク (76分In) |
➡ラウタロ マルティネス Out | |
20 | ハカン チャルハノール (76分In) |
➡バレッラ Out | |
11 | ホアキン コレア (76分In) |
➡ジェコ Out | |
8 | ロビン ゴゼンス (80分In) |
➡ディマルコ Out | |
33 | ダニーロ ダンブロージオ (80分In) |
➡バストーニ Out |
SLベンフィカ
監督 ロジャー シュミット
【スタメン】
99 | オディセアス ブラホディモス (GK) |
2 | ジウベルト |
3 | アレハンドロ グリマルド |
8 | フレドリック アウルスネス |
20 | ジョアン マリオ |
22 | シキーニョ |
27 | ラファ シウバ |
30 | ニコラス オタメンディ |
61 | フロレンティーノ ルイス |
66 | アントニオ シウバ |
88 | ゴンサロ ラモス |
【交代】
7 | ダビド ネレス (ハーフタイムIn) |
➡ジウベルト Out | |
15 | ゴンサロ ゲデス (74分In) |
➡ゴンサロ ラモス Out | |
87 | ジョアン ネベス (80分In) |
➡ラファ シウバ Out | |
33 | ペタル ムサ (80分In) |
➡シキーニョ Out | |
21 | アンドレアス シュルデルップ (89分In) |
➡ジョアン マリオ Out |
基本システム
左:インテル(青黒) 右:ベンフィカ(赤)
[システム図①]
試合開始時
[システム図②]
ハーフタイム・ベンフィカ ⑦ダビドネレス投入
[システム図③]
74分・ベンフィカ ⑮ゴンサロ ゲデス投入
76分・インテル ⑪ホアキン コレア、⑳チャルハノール、(90)ルカク投入
[システム図④]
80分・インテル ⑧ゴゼンス、㉝ダンブロージオ投入
80分・ベンフィカ ㉝ムサ、(87)ジョアン ネベス投入
[システム図⑤]
89分・ベンフィカ ㉑シュルデルップ投入
局面ごとの方針
インテル
【ネガティブトランジション】
ボールサイドにチーム全体で寄せて密集地帯を作りボールホルダーに対してプレッシャーをかけつつ、ボールホルダー周囲の選手を掴んでマークする。
30分頃になると前に出る勢いを弱め、リトリートして5-3-2のブロックを組む割合が増える。
後半も5-3-2のブロックを敷く事がメインだが、ラインは下げずにボールホルダーのすぐ後ろに守備ブロックを組み、ボールホルダーに対して素早くアプローチ。選手間の距離を詰め、ボール周囲に密集地帯を作ってベンフィカの攻撃を封じる。
【守備】
ベンフィカのビルドアップに対しては、ベンフィカ陣内からプレスに行く。ジェコ、ラウタロ マルティネスの2トップはベンフィカの2センターバック(CB)を、バレッラ、ムヒタリアンの両インテリオールはベンフィカのダブルボランチを各々マークする。ドゥンフリーズ、ディマルコの両ウイングバック(WB)はベンフィカのサイドハーフ(SH)を背中で消すポジションを取る。
ベンフィカが前進して来ればチーム全体でボールサイドに陣形を寄せてボールホルダーの周囲に密集地帯を作りボールホルダーに対してプレッシャーをかける。
自陣では5-3-2の陣形からボールホルダーに対してはマンマーク気味にマークにつき、オフザボールの選手に対しては前線のゴンサロ ラモスを除いてはマークを受け渡してスペースを作られないようにする。
後半に入ってもインテルはベンフィカ陣内に於いて前に出る姿勢を維持。
ベンフィカのビルドアップに対して両WBがベンフィカのサイドバック(SB)にプレスに行く場面もみられた。
【ポジティブトランジション】
縦にボールをつける事を優先し、ベンフィカのプレスを剥がせば前方のスペースを突いたり、前線の2トップにボールをつけ、それと同時に複数の選手が縦方向に動きだし直線的にベンフィカゴールを目指す。
ベンフィカがリトリートして直線的にゴールに向かう事が難しくなれば、ブロゾビッチを中心としたポゼッションオフェンスへ移行。
【攻撃】
ビルドアップの形は状況に応じて複数のパターンを使い分けるが([システム図⑥-(1)(2)(3)]参照)、基本方針は最終ラインの前に立つブロゾビッチにボールを渡し、そこを起点に攻撃を展開する。フィールド左側へボールを回す事が多く、バストーニやムヒタリアンがベンフィカのフォアプレスを外すポジショニングでボールを受けブロゾビッチへボールを提供し、中盤でのポゼッションを確立。
ここから前方へ縦パスを差し込みベンフィカのプレシャーラインを越えて行く。オフザボールで前へと動き出すバレッラやディマルコへの縦パスや、前線2トップのジェコ、ラウタロ マルティネスへのロングボールから縦方向に攻撃。前が詰まれば逆サイドへボールを展開する。
ベンフィカを押し込む状況になればムヒタリアンやドゥンフリーズ、バストーニも攻撃参加する。
[システム図⑥-(1)]インテルのビルドアップ、最終ラインが3枚の場合
一番基本的な形は最終ラインが3枚のパターン。
最終ラインの3枚が左側に寄り左WBの㉜ディマルコはサイドを上がって、㉒ムヒタリアンがサポートに下りて来る。主にフィールド左側にボールを展開し、最終ラインの前に立つ(77)ブロゾビッチへボールを供給する。
後半には最終ライン3枚が右側へ寄るパターンもみられた。
[システム図⑥-(2)]インテルのビルドアップ、最終ラインが2枚の場合(その1)
(95)バストーニと②ドゥンフリーズがSB的なポジションを取る形。最終ラインの㊱ダルミアンと⑮アチェルビは開き気味にポジションを取り、ゴールキーパーの㉔オナナは最終ライン2人の間にポジションを取ってビルドアップに関わる。
この形でも主にフィールド左側から(77)ブロゾビッチへボールを供給する。
[システム図⑥-(3)]インテルのビルドアップ、最終ラインが2枚の場合(その2)
⑮アチェルビが前に出て、(77)ブロゾビッチと中盤の底で並び㊱ダルミアンと(95)バストーニが最終ラインの形で、後半に何度かみられた。
この形でも[システム図⑥-(2)]と同様にゴールキーパーの㉔オナナが最終ライン2枚の間に入る。
この形だと両インテリオールを前に押し出し事が出来る。
SLベンフィカ
【攻撃】
ビルドアップはアントニオシウバとオタメンディの2CBと、その前に立つフロレンティーノルイスとシキーニョの2-2の並びでパスを回す。ジウベルトとグリマルドの両SBはビルドアップをサポートし、ボールが前に進めばジウベルトはボールの前進に歩調を合わせてポジションを上げ、グリマルドはサイドにスペースがあれば一気にインテル陣内深くまで侵入する。
前進局面に入ればボールサイドのSHはサイドに開き、逆サイドのSHはポジションを内側に絞る。インテルのプレスが集中するエリアにパスを入れ、周囲の選手は縦方向へサポート。パスの受け手はダイレクトにボールを捌いて縦にプレスを剥がしにかかる。また、パスの受け手が個人技でプレスを剥がしにかかる事もあった。
プレスを剥がせば、そのまま縦に進むか逆サイドや敵ディフェンスライン裏のスペースにボールを送るかを選択する。
後半はビルドアップからサイドにボールを振り、サイドから前進する事が増える。フィールド右側から前進する際はアウルスネス、フロレンティーノ ルイス、ダビド ネレス、ラファ シウバといった面々がトライアングルを作り、ローテーションしながら前進。ダビド ネレスがトライアングルの頂点から斜めに動きながらボールを受けて仕掛ける事でインテルのディフェンスラインを崩しにかかる。
フィールド左側から前進する際はグリマルド、ジョアン マリオがボールを運び、そこへダビド ネレスやラファ シウバが絡む事でサイドやニアゾーンの深いポジションを取りに行く。
アタッキングサード深くに侵入すれば、前線に4人の選手がインテルのディフェンスラインに沿ってレーンを埋めるように並び、ラストパスやクロスに備える。
【ネガティブトランジション】
基本的にはマークを掴みに行く。特にインテル陣内では素早くボールホルダーへ寄せてプレスに行く。
【守備】
インテルのビルドアップに対してはアタッキングサードからプレスに行く。ゴンサロ ラモスとボールサイドのSHがインテルの最終ラインをみて、ラファ シウバはブロゾビッチへのパスコースを切る。インテルが前進して来れば両SHはインテルのインテリオールやWBへのパスコースを切るポジションを取り、インテルの前進が滞れば最終ラインへ寄せて行く。
ミドルサードから後方では4-4-2の陣形を組み、そこから前に出てマークを掴む。
得点
【14分・インテル】得点者:ニコロ バレッラ(1-0)
バレッラ 1st legに続いて2試合連続の先制ゴール、インテルは2試合合計で3点リード
アチェルビからのパスを受けたゴールキーパー(GK)のオナナは前方のジェコに向けてロングフィード。ジェコはセンターサークル内でオタメンディと競り合い、こぼれ球をラウタロ マルティネスが拾うと右側から走り込んで来たバレッラへパス。
バレッラとラウタロマルティネスはダイレクトでパスを交換し合いながら前進しバレッラがペナルティエリア内に侵入すると、アントニオシウバのディフェンスをを切り返しでかわして左足でシュートを放ちゴール。
前進局面に入った時のバレッラの動き出しの良さ、ジェコがボールを収めた時のラウタロの的確なサポート。インテルの攻撃面での長所である2つの要素が組み合わさったゴールだった。
【38分・ベンフィカ】得点者:フレドリック アウルスネス(1-1)
ラファ シウバがオフザボールでの見事な動きでチャンスを作りアウルスネスのゴールをアシスト
センターサークル手前の位置でボールを持つオタメンディは右サイドのジウベルトへパス。ジウベルトはドリブルでインテル陣内に侵入すると、サポートに来たフロレンティーノ ルイスへパス。フロレンティーノ ルイスはインテルの2列目のラインの手前でボールをキープする。
フィールド右側での一連の動きが行われている時に、フィールド中央にいたラファ シウバはフリーランニングで前進すると右サイドに敵ディフェンスラインのギャップを発見。ダイアゴナルランで一気にディフェンスラインのギャップに潜り込むと、フロレンティーノ ルイスはラファ シウバへパス。
パスを受けて前を向いたラファシウバはドリブルしながらゴール前の状況を見て素早くクロスを上げると、ゴール前中央でアウルスネスがヘディングでシュートを決める。
[システム図⑦]得点直前、ラファシウバのオフザボールでの動き
相手守備陣の隙をつくラファ シウバの見事なフリーランニング
フィールド右側では②ジウベルトがドリブルから(61)フロレンティーノ ルイスへパス。
その時にフィールドの中央で前へと進んでいた㉗ラファシウバは、インテルのディフェンスライン右側(インテルからみると左側)にギャップがあるのを発見。更にそのギャップを作っていた(95)バストーニがボールウオッチャーになっているのをみると、ダイアゴナルランでバストーニの背後からディフェンスラインのギャップを突くと、フロレンティーノ ルイスはすかさずラファシウバへパス。
パスを受けたラファシウバは前を向くとドリブルで右サイドを突く。
この図の後、ラファシウバはゴール前にクロスを上げ、アウルスネスがヘディングでゴールを決める。
【65分・インテル】得点者:ラウタロ マルティネス(2-1)
右サイドから左サイドへの展開からディマルコとムヒタリアンがベンフィカ守備網を崩し、最後はラウタロが仕留める
右サイド、ハーフウェイライン付近でのスローイン。スローワーのドゥンフリーズはセンターサークル内のバストーニに向けてロングスロー。バストーニは左サイド前方のディマルコにパスを送る。ベンフィカはスローインのあったサイド(ベンフィカからみて左サイド)にラインを絞っていたのでディマルコはフリーでパスを受ける。
ラインをスライドするベンフィカに対してムヒタリアンがそのスライドより一歩先に左サイドのスペースを突くと、ディマルコはムヒタリアンにパス。パスを受けたムヒタリアンはパスアンドムーブで左ニアゾーンを突くディマルコにリターンパス。このワンツーパスでディマルコとムヒタリアンをマークしていたアウルスネスとシキーニョの守備を剥がすと、ディマルコはゴール前へ低い弾道のクロスを送る。このクロスをラウタロ マルティネスが右足で合わせてゴール。
【78分・インテル】得点者:ホアキン コレア(3-1)
インテル 65分のゴールに続き、またしても右サイドから左サイドへの展開からゴールを奪う
インテルはGKオナナを起点にベンフィカのフォアプレスをかわしてフィールド右側から一気に前進。ルカクがペナルティエリア右角まで到達するとサポートに来たチャルハノールへパス。
チャルハノールは左サイドディマルコへサイドチェンジ。ボールを受けたディマルコはペナルティエリア内にいるホアキン コレアにパス。ホアキン コレアはディフェンスに来たオタメンディをかわして右足でシュートしゴール。
このゴールでインテルは2試合合計で5対1とし、勝負はほぼ決した。
【86分・ベンフィカ】得点者:アントニオ シウバ(3-2)
ベンフィカ、セットプレーからのゴールで意地をみせる
インテル陣内、ペナルティエリア右角から約7m程後方でのフリーキック。グリマルドが左足インスイングのキックでインテルのディフェンスラインの背後に入れたボールをアントニオ シウバがバックヘッドで決める。
【90+5分・ベンフィカ】得点者:ペタル ムサ(3-3)
試合終了間際、ベンフィカもう1点返し2nd legは同点とする
左コーナーキック後の2次攻撃。グリマルドは左サイドでの1対1でブロゾビッチを抜いてペナルティエリアに侵入しクロス。
このクロスがムヒタリアンに当たり、こぼれたボールをムサが左足でシュートしゴール。
試合の感想・ポイント
前半
プレス時の寄せや、ルーズボールに対する反応が速いインテルが優勢に試合を進める
立ち上がりからインテルは相手ボール時での前へ出る意識が高く、チーム全体でボールサイドへ陣形を寄せて行きボールホルダーへプレッシャーをかける。
インテルは守備時に於けるマークの掴みやプレスの寄せ、ルーズボールへの反応といった動きが相対的にベンフィカより速く、それが試合を優勢に進める要因になる。その流れのまま14分には2試合合計スコアで3点差となるゴールを挙げる。
苦しい展開のベンフィカだが、30分を過ぎた辺りからインテルの前に出る勢いがやや弱まると、徐々にインテルゴールに迫るようになる。そして38分、ラファシウバのオフザボールでの巧みな動きからチャンスを作るとアウルスネスがヘディングシュートを決めて、ベンフィカが1点を返す。
後半
後半もインテルが優勢に試合を進め見事にベンフィカを撃破、準決勝進出を果たす
ベンフィカはハーフタイムにダビド ネレスを投入。攻撃方法を修正し攻勢をかけようとする。
しかし素早く陣形を整えるインテルの守備を前に、常に後手を踏む状況。思うようにインテルの守備を崩す事ができない。
対して3点リードのインテルはビルドアップから的確に前へとボールを送る。攻撃の起点となるブロゾビッチや前線のラウタロ マルティネスはボールを受ければ独力で前を向く力があり、バレッラ、ムヒタリアン、ディマルコらが的確にサポートに入る事で確実に局面を進めて行く。またポジティブトランジション時や前進局面に入った時のチーム全体での動き出しが良く、特にバレッラの動き出しは抜群に良かった。
インテルは65分と78分にサイドチェンジを使った攻撃でゴールを奪い2試合合計スコアを5対1とし、この時点で勝負あり。試合終盤、ベンフィカが2点を返すも焼け石に水。最終スコアは2試合合計で5対3。インテルは前評判の高かったベンフィカを攻守両面で圧倒し、準決勝進出を果たした。
インテルに対する感想
1st leg、2nd legの2試合を通じて、状況に応じた守備の使い分けが素晴らしかった。
また、ポジティブトランジションから速攻に出ようとする時や、ビルドアップでベンフィカのプレスを外して縦方向に攻めにかかる時のバレッラの動き出しが抜群に良かった。
SLベンフィカに対する感想
ベンフィカは準々決勝の2試合を通じて5失点を喫したが、そのうちの3失点はインテルが右サイドから左サイドにボールを展開(ベンフィカからみれば左サイドから右サイド)しての攻撃だった。
ベンフィカはラインを右側にスライドした後の守備に課題があり、インテルにその穴を的確に突かれてしまった。
通常であればベンフィカにとってCLでベスト8まで辿り着ければ成功と言える。しかし今シーズンのベンフィカは非常に素晴らしいサッカーをしており更に上のステージに行ける可能性があると感じていたので、準々決勝での敗退は残念に感じた。
選手寸評
インテル
ニコロ バレッラ | 準々決勝、2試合連続での先制ゴール。チームが縦方向に出て攻撃にかかる時の動き出しは抜群で、彼が絡む事で攻撃の威力は確実に増していた。 |
ヘンリク ムヒタリアン | 攻撃では後方と前線の中継点として周囲の選手をサポートして局面を前に進め、相手ボールになれば素早い動きでマークを掴んだり後方のスペースを埋めてベンフィカの攻撃を封じていた。 |
ラウタロ マルティネス | 後方からボールを受ければ独力で前を向き攻撃を牽引。14分ジェコへのサポートからバレッラのゴールを演出し、65分には自らゴールを決めた。 |
デンゼル ドゥンフリーズ | 準々決勝の2試合を通じてマッチアップするグリマルドを抑え込んだ。その働きがベンフィカの攻撃力を大きく削いでいた。 |
アレッサンドロ バストーニ | ビルドアップ時の的確なポジショニングで中盤にボールを供給し、チームの攻撃を後方から支える。更に、状況によっては自ら前に出て攻撃参加もしていた。 |
フェデリコ ディマルコ | 左サイドで高いポジションを取り、後半の2ゴールを演出。攻撃面でチームに貢献した。 |
SLベンフィカ
ラファ シウバ | 38分、アウルスネスのゴールを演出した際の一連の動きは流石の一言。チームは敗退したものの、彼のプレーはインテルに一矢報いた。 |
アレハンドロ グリマルド | ドゥンフリーズとのマッチアップでは劣勢を強いられ、本来の力が出せなかったが、試合の終盤で2つのゴールを演出。最後の最後で高い攻撃力をみせた。 |
フレドリック アウルスネス | 前半はフィールド左側で、後半は右サイドで攻撃の組み立てを担う。38分にはヘディングでゴールを奪った。 |
投稿主選出の man of the match
ニコロ バレッラ
以上、インテル 対 SLベンフィカ 戦のマッチレビューでした。
本レビューは、あくまで投稿主個人の考えや感想を記事にしたものです。
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