欧州サッカー観戦記 22-23 UEFAチャンピオンズリーグ Round of 16 1st leg その②

リヴァプール対レアルマドリード UEFAのコンペティション

22-23シーズンのUEFAチャンピオンズリーグ、決勝トーナメント1回戦 1st leg
第2週も好試合が続出しました
その中で、昨シーズンの決勝戦の再現となったリヴァプール 対レアル マドリード 戦は結果、内容ともに衝撃的な試合となりました

Round of 16 1st leg week2 結果

2023年2月22日
リヴァプール 2-5 レアル マドリード

2023年2月22日
アイントラハト フランクフルト 0-2 SSCナポリ

2023年2月23日
RBライプツィヒ 1-1 マンチェスター シティ

2023年2月23日
インテル 1-0 FCポルト

今回のサッカー観戦記は上記の試合の中から
リヴァプール 対 レアル マドリード 戦をレビューします

リヴァプール 対 レアル マドリード

2023年2月22日 UEFAチャンピオンズリーグ Round of 16 1st leg
リヴァプール 2-5 レアル マドリード

メンバー

リヴァプール
監督 ユルゲン クロップ

【スタメン】

1 アリソン ベッカー (GK)
2 ジョー ゴメス
3 ファビーニョ
4 ウィルジル ファンダイク
11 モハメド サラー
14 ジョーダン ヘンダーソン
18 コディ ガクポ
26 アンドリュー ロバートソン
27 ダルウィン ヌニェス
43 ステファン バイチェティッチ
66 ハーベイ エリオット

【交代】

9 ロベルト フィルミーノ (64分In)
➡ガクポ Out
20 ディオゴ ジョタ (64分In)
➡ダルウィン ヌニェス Out
7 ジェイムス ミルナー (73分In)
➡ジョーダン ヘンダーソン Out
32 ジョエル マティプ (73分In)
➡ジョー ゴメス Out
19 ハーベイ エリオット (85分In)
➡バイチェティッチ Out

レアル マドリード
監督 カルロ アンチェロッティ

【スタメン】

1 ディボウ クルトワ (GK)
2 ダニエル カルバハル
3 エデル ミリトン
4 ダビド アラバ
9 カリム ベンゼマ
10 ルカ モドリッチ
12 エドゥアルド カマビンガ
15 フェデリコ バルベルデ
20 ビニシウス ジュニオール
21 ロドリゴ
22 アントニオ ルディガー

【交代】

6 ナチョ フェルナンデス (27分In)
➡ダビド アラバ Out(怪我)
19 ダニ セバージョス (81分In)
➡ロドリゴ Out
8 トニ クロース (87分In)
➡モドリッチ Out
11 マルコ アセンシオ (87分In)
➡ベンゼマ Out

基本システム

左:リヴァプール(赤) 右:レアル マドリード(白)

[システム図①]
試合開始時

[システム図②]
27分レアル ⑥ナチョ フェルナンデス投入(④ダビド アラバ 怪我)

[システム図③]
55分頃レアル (⑩モドリッチ、⑮バルベルデ ポジションチェンジ)
64分リヴァプール ⑨フィルミーノ、⑳ジョタ投入

[システム図④]
73分リヴァプール ⑦ミルナー、㉜マティプ投入
81分レアル ⑲ダニ セバージョス投入

[システム図⑤]
85分リヴァプール ⑲ハーベイ エリオット投入(システム変更)
87分レアル ⑧クロース、⑪マルコ アセンシオ投入

得点

【4分・リヴァプール】得点者:ダルウィン ヌニェス(1-0)
ダルウィンヌ ニェス見事な裏抜けから、技ありのヒールキックシュートでリヴァプールが先制
リヴァプールの自陣でのパス回しに対してレアルはフォアプレスに行くが、リヴァプールはディフェンスラインと中盤のパス交換でプレスを外し、中央レーンやや右側でボールを受けたアレクサンダーアーノルドがハーフウェイライン付近まで下りてきたガクポに鋭い縦パス。
パスを受けたガクポが素早く前を向くとリヴァプールに攻撃のスイッチが入り、レアルはチーム全体が後退モードへ。ガクポは右前方のスペースを突くサラーにパスを送るが、このパスはダビド アラバがカット。
こぼれ球をバイチェティッチがセンターサークル内で拾い右サイドのジョーダン ヘンダーソンへパス。パスを受けたジョーダン ヘンダーソンは右タッチライン際に張るサラーにボールを渡し、自らはオーバーラップ。サラーは右サイドからペナルティエリア角に向けてドリブルで仕掛けると、レアルの選手3人を引き付けてディフェンスライン裏にグラウンダーのボールを入れる。
サラーのラストパスにレアルディフェンスラインのカルバハルとミリトンの間から裏抜けしてきたダルウィン ヌニェスがヒールキックでのシュートを決める。

【14分・リヴァプール】得点者:モハメド サラー(2-0)
リヴァプールの強烈なプレスに名手クルトワ痛恨のミスを犯す
リヴァプールはハーフウェイライン付近でカマビンガにパスをカットされるが、そのカマビンガが足を滑らせボールがこぼれる。
こぼれ球をファビーニョが奪い、その横にいたジョーダン ヘンダーソンが前向きにボールを引き取ると、前方左ハーフスペースのガクポに向けてレアル中盤のプレッシャーラインを一発で超える鋭い斜めのパスを通す。ボールを受けたガクポは前を向くもボールは大きく前へ、カルバハルにボールをカットされると、カルバハルはゴールキーパー(GK)クルトワに浮き球のパスを送る。
浮き球を処理しようとするクルトワにサラーが距離を詰めてプレッシャーをかけると、クルトワはボールの処理をミス。すかさずサラーがボールをゴールに蹴り込み、リヴァプールが追加点を奪う。

【21分・レアル】得点者:ビニシウス ジュニオール(2-1)
ビニシウスが目の覚めるようなミドルシュートを突き刺し、レアルが反撃の狼煙を上げる
レアル、GKクルトワから始まる攻撃。自陣からパスを繋ぎ、右サイドから攻めるも一旦ボールを後方に戻して攻め直す。中央のカマビンガにボールが渡るとカマビンガは左サイドのビニシウスへロングボールを送る。
ゴール前に守備ブロックを築くリヴァプールに対してビニシウスはペナルティエリアの角に向けてドリブルで仕掛ける。
ボールサイドにラインを寄せ、ライン間の距離を詰める事でビニシウスの周囲に人垣を作るリヴァプール。ビニシウスは外側にポジションを取るベンゼマに一旦ボールを渡すと、ベンゼマからのリターンパスを受けドリブルで再度リヴァプールの守備ブロック内に侵入、間髪入れずに右足を振り抜くと、ボールはリヴァプールゴールに突き刺さる。
ビニシウスの見事なミドルシュートが決まり、レアルが1点を返す。

[システム図⑥]ゴール前でのベンゼマとビニシウスの絡み
ベンゼマの動きに釣られるジョーダン ヘンダーソン
リヴァプールは非常にコンパクトなブロックを敷きドリブルで侵入するスペースを消す。
⑨ベンゼマからのリターンパスを受けた⑳ビニシウス。このシーン、放送席解説(WOWOW)の安永聡太郎氏はベンゼマがビニシウスにリターンパスを出すと、パスアドムーブでビニシウスの背後に走り込むが、そのベンゼマの動きに⑭ジョーダンヘンダーソンがリターンパスを警戒した事で釣り出されてしまった点を指摘。
ジョーダンヘンダーソンの動きがリヴァプールの強固なブロックに綻びを作ってしまった。

【36分・レアル】得点者:ビニシウス ジュニオール(2-2)
クルトワに続いて今度はアリソンがまさかのミスでレアルが同点に追いつく
自陣中央でバルベルデがバイチェティッチからボールを奪うとカウンターを発動。ビニシウスが中央レーンをリヴァプールゴールに向かって走り出し、バルベルデはビニシウスに向けてスルーパス。
リヴァプールはセンターバック(CB)のジョー ゴメスとファンダイクが対応。ジョー ゴメスがビニシウスより先にボールに追いつき、GKのアリソンへバックパス。
パスをカットされた後も、ビニシウスはそのまま足を止めずにアリソンに対してチェイシングをかけると、アリソンがジョー ゴメスに出したパスがビニシウスに当たりボールはリヴァプールゴールへと吸い込まれていく。

【47分・レアル】得点者:エデル ミリトン(2-3)
セットプレーにおけるゾーンディフェンスの弱点を巧みに突いたレアルが逆転に成功
ドリブル突破で左サイド深くに侵入したビニシウスに対して、カバーリングに来たジョー ゴメスのタックルがファウルの判定。レアルはリヴァプール陣内の深い位置でフリーキック(FK)のチャンスを得る。
ゴール前にゾーンディフェンスを敷くリヴァプールに対して、キッカーのモドリッチはライナー性の速いボールをゾーンのすぐ前側に蹴り込む。このボールに対してファーポストからゴール前に飛び込んで来たミリトンが頭で合わせ、逆転のゴールとなる。
ゾーンで守るリヴァプールの選手からすると、ミリトンが背後の死角から飛び込んで来たことになる。またモドリッチの蹴ったボールの質も高かったことから、リヴァプールの選手達は競る事すらできずにミリトンにゴールを奪われてしまう。

【55分・レアル】得点者:カリム ベンゼマ(2-4)
ベンゼマとロドリゴのコンビネーションが炸裂し、レアルがリヴァプールを突き放す
モドリッチは自陣でリヴァプールのバイチェティッチからガクポへの縦パスをカット。
リヴァプールもすぐさまカウンタープレスに来るが、モドリッチはバルベルデへのパスでプレスを回避。この時右サイドのロドリゴ、左サイドのビニシウスが前へと走り出す。
バルベルデは右前方のベンゼマにパスを送るが、ファビーニョがカット。こぼれ球を後方から上がって来たカルバハルが右サイド前方のスペースへ浮き球のボールを送ると、このボールにロドリゴが追いつき右サイドからペナルティエリア内へ侵入、マイナスのクロスを入れるがバイチェティッチにカットされる。
こぼれ球をカルバハルが拾い、再度ロドリゴにパス。ペナルティエリア右角でパスを受けたロドリゴは左横にいるベンゼマにボールを渡し自身はペナルティエリア内へ侵入する。ここから、ベンゼマ→ロドリゴ→ベンゼマのワンツーパスでベンゼマはリヴァプールゴールへ向かい左足でシュート。このシュートがジョー ゴメスに当たってコースが変わり、ボールはリヴァプールゴールに吸い込まれていく。

[システム図⑦-(1)]ベンゼマとロドリゴのコンビネーション(1)
レアル、パスカットからのカウンターアタック。リヴァプール陣内、クロスをカットされた後の攻め直しのシーン。この時点でリヴァプールは素早い戻りで、守備ブロックをほぼ構築している。
ペナルティエリア右角付近でボールを受けた㉑ロドリゴは、すぐ内側にいる⑨ベンゼマにボールを渡すと自身はフリーランニングでペナルティエリア内へ侵入する。

[システム図⑦-(2)]ベンゼマとロドリゴのコンビネーション(2)
ゴール前に守備ブロックを構築し、ボール近辺の密度を高めるリヴァプールに対して⑨ベンゼマはペナルティエリア内へ入って来た㉑ロドリゴとのワンツーパスでリヴァプールゴールに向かい左足でシュート。
ボールは②ジョー ゴメスに当たりリヴァプールゴールへと吸い込まれた。

【67分・レアル】得点者:カリム ベンゼマ(2-5)
自陣からのロングカウンターで、ベンゼマこの試合2点目のゴール
レアル陣内、レアルからみて右サイドでリヴァプールのスローイン。アレクサンダーアーノルドはファビーニョへスローするが、このボールをモドリッチが前向きにカットしカウンター発動。ベンゼマとビニシウスがリヴァプールゴールへ向かって走りだす。
ドリブルで前進するモドリッチはバイチェティッチを抜き去ると前方を走るビニシウスにパス。ビニシウスは守備対応に来たジョー ゴメスとファンダイクを引き付けると、右側を走るベンゼマにパス。
フリーでボールを受けたベンゼマは、飛び出してきたGKアリソンをキックフェイントでかわして、左足でシュートを放ちゴール。

局面ごとの方針

リヴァプール

【ネガティブトランジション】
ボールを奪われれば素早くボール付近の選手からマークを掴んでカウンタープレスに行く。
特にレアル陣内では中盤の選手達が激しく寄せてプレスに行く。

【守備】
レアルのビルドアップに対してアタッキングサードから強くプレス。4-3-3の陣形で前に出て行く。
フォアプレス時、前線の3人は状況によってファーストプレスのパターンを使い分ける。

(パターン①)
ウイング(WG)のサラー、ダルウィン ヌニェスのうちボールサイドのWGと、センターフォワードのガクポの2人がレアルの2CBにプレスをかけ、ボールと逆サイドのWGはレアルの中盤とサイドバック(SB)の中間にポジションを取る。

(パターン②)
サラーとダルウィン ヌニェスの両WGがレアルの2CBへプレスに行き、ガクポが中盤へのパスコースを切る。

2列目以降は前3人の動きに連動してボールサイドへとスライドしてプレスをかける。
解説の安永聡太郎氏は、レアルがリヴァプールのフォアプレスを回避する為に後方で左右にボールを振った際、中盤3人が次の展開を予測してのスライドからマークの掴みを高く評価していた。
ミドルサードから守備に入る時は4-3-3の陣形を高い位置に敷き、前へと出てボールホルダーに対してプレッシャーをかける。
自陣に下がっての守備では4-1-4-1のブロックをゴール前に敷き、コンパクトにボールサイドへ人を寄せ、ライン間の距離も狭めてスペースを圧縮する。

ビニシウス対策について、基本的にマッチアップするのは右SBのアレクサンダーアーノルドだが、攻撃時にアレクサンダーアーノルドは高いポジションを取るので、トランジションでひっくり返された時はジョーダン ヘンダーソンやファビーニョが対応。
また、CBジョー ゴメスは常にビニシウスがサイドを突破して来た時に備えカバーリングを意識していた。

【ポジティブトランジション⇒攻撃】
前向きにボールを奪えば素早く縦方向へと前進する。
ビルドアップは4バックと3センターハーフ(CH)の7人が4-1-2で並んでパスを回して縦方向に前進。レアルのファーストプレスをかわせば両SBはサイドを上がる。
敵ライン間へ下りてくる来るガクポに縦パスを差し込むと攻撃のスイッチが入る。
フィールドの右側ではアレクサンダーアーノルドとジョーダン ヘンダーソンがハーフスペースとサイドをローテーションしてレアルの左SBダビド アラバ付近を攻めてサラーの右サイドでの突破を促す。
ガクポが中盤に下がる事で空く前線には、フィールド左側からダルウィン ヌニェスが入って来る。

60分台になるとリードを広げられた事もあり、両SBは攻撃の初期段階から高いポジションを取る。
64分から84分の時間帯ではフィルミーノとジョタが2トップ気味に構える。

[システム図⑧]攻撃のスイッチを入れるガクポへの縦パス
自陣深くでボールを持つ(66)アレクサンダーアーノルドから敵ライン間にポジションを取る⑱ガクポに縦パスが入り、ガクポはレアルのゴール方向を向く。するとリヴァプールは前進モードに、レアルは後退モードになる。
(下図は4分 リヴァプールが先制ゴールを挙げる直前のプレー)

レアル マドリード

【ポジティブトランジション】
前半はリヴァプールのカウンタープレスに苦しむ。ただ、時間の経過とともにリヴァプールの攻撃に対しての守備対応が向上していった事で、この局面での状況も良くなっていく。
後半は、リヴァプールのカウンタープレスをかわせばロドリゴ、ビニシウスの両WGやバルベルデが素早く動き出し縦へと攻める。リヴァプールの選手達が先に戻ってスペースを埋めればモドリッチを中心としたポゼッションオフェンスへ移行する。
55分以降はリードを2点に広げた事もあり、3CHを中心にプレス回避のパス回しでポゼッションを確立する。

【攻撃】
ビルドアップはミリトンとルディガーの2CBとアンカーのカマビンガが中心で両SBがビルドアップをサポート。モドリッチがボールを引き取りに中盤の底まで下がり、バルベルデは前に出て敵ライン間を左右に幅広く動き回る。
リヴァプールは守備時に強く前に出てプレスに来る分、そのプレスをかわせば前方のスペースを突いて縦方向に攻める。リヴァプールがリトリートしてスペースを埋めればカマビンガ、モドリッチを起点にボールを左右に振りながら徐々に前進。サイドからロドリゴ、ビニシウスの両WGが仕掛けてペナルティエリア付近まで進出すればベンゼマがボールサイドに寄って行き、ベンゼマとのコンビネーションでリヴァプールのディフェンスラインを崩しにかかる。

後半立ち上がり、両SBが高い位置にポジショニングし攻撃的姿勢をみせる。
リードを2点に広げた55分以降は、ポゼッションの確立を重視し、陣形のバランスを崩さないように攻める。

【ネガティブトランジション⇒守備】
リヴァプールのビルドアップに対してアタッキングサードからプレスに行く。ベンゼマがリヴァプールの2CBのうちの一方のマークを掴み、モドリッチが中盤へのパスコースを切りながら前へ出て、もう一方のCBへアプローチ。2列目以降は4-4の陣形でボールサイドへ寄せて行く。
ミドルサード以降から守備に入る場合は4-5-1のブロックを組み、トップのベンゼマと2列目から前に出るモドリッチがリヴァプールの後方でのパス回しに対してプレッシャーをかけるので実際の並びは4-4-2気味になる。2列目以降はリヴァプールが前進して来れば、ボールレーンの選手が突出してボールホルダーに対してアプローチする。

試合の立ち上がり、中盤に下りてパスを受けるガクポを掴むのに苦労していたが、20分を過ぎた辺りからカマビンガがマークにつき徐々にガクポの動きを抑えるようになる。
後半は4-5-1の守備ブロックからモドリッチに加えてバルベルデもリヴァプールの後方でのパス回しに対して前に出てプレッシャーをかけるようになる。

試合の感想・ポイント

前半

激しい点の取り合い、立ち上がりはリヴァプールが圧倒するがレアルも徐々に体勢を立て直す

立ち上がりのリヴァプールは凄まじい勢いのプレスを敢行しレアルの攻撃を圧殺し、ボールを奪うと中盤に下りて来るガクポへの縦パス、アレクサンダーアーノルドとジョーダンヘンダーソンのサポートを受けて右サイドを突破するサラー、この2点を柱とする攻撃でレアルを圧倒。試合開始から15分間で2つのゴールを挙げる。
防戦一方だったレアルも20分になる頃に反撃を開始。GKクルトワから始まる攻撃でポゼッションを確立。リヴァプール陣内に侵入後もパスを繋ぎ続けると、最後はビニシウスが見事なミドルシュートをリヴァプールゴールへ突き刺しレアルが1点を返す。
ここからレアルは徐々に体勢を立て直す。マークを掴むのに苦労していたガクポに対して、カマビンガが専属に近い形でマッチアップ。また27分に負傷交代となったダビド アラバに代えて投入されたナチョ フェルナンデスが左サイド(リヴァプールからみて右サイド)を的確にケアして、サラーの突破に対処。
試合の流れを五分に近い状態にまで押し返したレアルは、36分に同点に追いつく。

後半

前半のうちに同点に追いついた勢いそのままに、後半はレアルがリヴァプールを圧倒

チームの体勢を立て直し、スコアも同点に追いついて前半を終えたレアル。後半はその勢いを持って開始直後から強く前に出ると、47分セットプレーから逆転のゴールを挙げる。
ガクポとサラーを封じられたリヴァプールは時間の経過とともに勢いを失っていく。逆にレアルは、攻撃では両SBが高いポジションを取り、守備ではモドリッチとバルベルデが2列目から飛び出してボールホルダーに対して強くプレッシャーをかけるなど攻守で積極的な姿勢をみせる。そして55分、ベンゼマがゴールを挙げてレアルはリードを広げる。
まさかの2点ビハインドとなったリヴァプールは再逆転を目指し、非ボール保持時には前に出てプレスに行き、ボールを持てば前掛かりになって攻め込む。しかし67分、レアルが繰り出すカウンターアタックの餌食となり、さらにリードを広げられてしまう。
2nd legに向けてなんとか点差を縮めたいリヴァプールは諦めずにプレスをかけるが、レアルはパス回しでリヴァプールのプレスいなすなど余裕を持った状態で試合を進め、試合は2対5で終了。

レアルは試合の立ち上がり、リヴァプールに圧倒され2点を先制されるが、そこからチームを立て直し5点を返す。難攻不落と言われているアンフィールドで2対5という衝撃的なスコアと内容で1st legの勝利を手にした。

リヴァプールに対する感想

レアルを圧倒した、立ち上がり20分間は正に強い時のリヴァプールそのものだったが、サラーとガクポが封じられると徐々に勢いを失ってしまった。後半はほぼ八方塞がりに感じる時間帯が多かった。

プレスに行っても後手後手になる様子は、W杯ブレイク明け直後の苦しんでいる時期の姿と変わらなかった。

 

昨年の決勝戦で敗れたレアルが相手という事で、もそかしたら選手達は気合が入りすぎて前半の20分間がオーバーペースだったのかもしれない。

レアル マドリードに対する感想

前半の立ち上がりはリヴァプールに圧倒されたが、ガクポとサラーを封じる事で体制を立て直した対応力は見事だった。

 

5得点のうちの1点目は、敵守備ブロックの外でひたすらパスを繋ぎ、ブロック内に侵入したら一撃で仕留める。

4点目は、相手がゴール前を固めてもベンゼマとWGのコンビネーションでこじ開けてゴールを奪う。

いずれもレアルが得意とする形でのゴールだった。

勝負を分けたポイント

レアルが逆転ゴールを挙げる直前のシーン。リヴァプール陣内、左サイドをドリブルで突破するビニシウスに対するジョー ゴメスのディフェンスがファウルと判定されたプレーについて、私自身は非常に微妙な判定だったと思った。

もしジョー ゴメスのディフェンスがノーファールの判定だったらここまでの大差にはならなかったかもしれない。

選手寸評

リヴァプール
ダルウィン ヌニェス 4分の先制ゴール、ディフェンスライン裏への抜け出しと、ヒールキックでのシュートは素晴らしかった。守備の局面でもフォアプレスから自陣に戻ってのカバーリングと広範囲で貢献した。
コディ ガクポ 試合開始から20分間は、彼が中盤でボールを受けて前を向く事がチームの攻撃のスイッチになっていた。ただ、20分過ぎからカマビンガにマークされると、思うようなプレーが出来なくなっていった。
ステファン バイチェティッチ 的確なポジショニングで後方と前線を繋ぐ中継点としての役割を担っていた。
トレント アレクサンダーアーノルド ビニシウスとマッチアップするポジションだが、ビニシウスのマークよりも前に出て攻撃に関わるタスクを多く担っており、高精度のボールを前線に届ける事で役割を果たした。
レアル マドリード
ナチョ フェルナンデス ダビド アラバの負傷交代により緊急出動となったが、サラーに対して的確な守備対応を行い逆転勝利の一翼を担った。
ビニシウス ジュニオール 逆襲への狼煙を上げる21分のゴールは正にゴラッソ。後半開始直後には左サイドを突破し逆転に繋がるFKを獲得するなど、2ゴール1アシストの大活躍だった。
ルカ モドリッチ 3・4点目はモドリッチのパスカットが起点になるなど、後半に挙げた3得点全てに絡む。中盤のパス回しでもリバプールのプレスを翻弄。
カリム ベンゼマ アタッキングサードにおける最終ライン攻略の最重要人物。ロドリゴとビニシウスを生かしつつ、自らも2ゴールを挙げる。
フェデリコ バルベルデ 攻撃では敵ライン間を左右に幅広く動いて前線へとボールを運び、守備でも2列目から前に飛び出して激しくプレッシャーをかけた。
エドゥアルド カマビンガ 中盤の底で攻撃の起点としてボールを左右に振り分ける。相手ボールになればガクポをマークし、リヴァプールのライン間への侵入を牽制した。

投稿主選出の man of the match

ナチョ フェルナンデス

以上、リヴァプール 対 レアル マドリード 戦のマッチレビューでした。

本レビューは、あくまで投稿主個人の考えや感想を記事にしたものです。
本レビューに対して、ご意見やご感想があれば下のコメント欄よりコメントを頂ければ幸いです。

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