今回のサッカー観戦記はFIFAワールドカップ カタール大会、決勝トーナメント1回戦です
強豪チームが順当に勝ち上がった試合がある一方、まさかのジャイアントキリングもあるなど好勝負が連続しました
1回戦8試合のうち投稿主が選んだ3試合をレビューします
決勝トーナメント 1回戦 結果
2022年12月4日
オランダ代表 3-1 アメリカ代表
2022年12月4日
アルゼンチン代表 2-1 オーストラリア代表
2022年12月5日
フランス代表 3-1 ポーランド代表
2022年12月5日
イングランド代表 3-0 セネガル代表
2022年12月6日
日本代表 1(1PK3)1 クロアチア代表
2022年12月6日
ブラジル代表 4-1 韓国代表
2022年12月7日
モロッコ代表 0(3PK0)0 スペイン代表
2022年12月7日
ポルトガル代表 6-1 スイス代表
投稿主選出の試合 3選
オランダ代表 対 アメリカ代表
イングランド代表 対 セネガル代表
モロッコ代表 対 スペイン代表
以上、3試合のレビューです
日本代表 対 クロアチア代表 戦はこちらの「日本代表編」にてレビューしております
もしよろしければ、こちらもご覧下さい
試合のレビュー
オランダ 3-1 アメリカ
トランジション時の動きの質とサイドの攻防で上回ったオランダが快勝
両チームのシステム、オランダは3-4-1-2、アメリカは4-1-2-3。アメリカの両サイドバックが前に出てオランダの両ウイングバックのマークを掴みに行くので、フィールドプレーヤー全てのポジションでマッチアップが嚙み合う状態。
[システム図①]マッチアップの噛み合わせ
左:オランダ(オレンジ) 右:アメリカ(紺)
アメリカの両サイドバックが前に出てオランダのウイングバックを掴みに行くので全てのポジションでマッチアップが嚙み合う
この状況で特に激しい攻防がみられたのが両サイドのマッチアップ。ドゥンフリーズ対アントニー ロビンソン、ブリント対デストの対決は、お互いに攻撃的な姿勢をみせ手に汗握る攻防となった。
アメリカの両サイドバック、デストとアントニー ロビンソンは守備で前に出て積極的にプレッシャーをかけ、その勢いのまま攻撃に出てオランダゴールに迫る場面もあったが試合全体を通じてよりより支配的な働きをしたのはオランダの両ウイングバック。
ドゥンフリーズ、ブリントの2人はオランダの3得点全てに絡み、ドゥンフリーズは1ゴール2アシスト、ブリントは1ゴール1アシストの大活躍。
またサイド以外のマッチアップでもオランダが優勢に試合を進める。オランダはネガティブトランジションでのマークの掴みと、ポジティブトランジション時の縦への動き出しの良さで各マッチアップを制する。アメリカも中盤3枚がローテーションする事で中盤の支配を試みるが及ばず。
3対1でオランダがアメリカを下し、ベスト8進出となった。
【投稿主選出の man of the match】 デンゼル ドゥンフリーズ
イングラド 3-0 セネガル
圧倒的な攻撃力を誇るイングランド、堅守のセネガルをねじ伏せる
グループステージで圧倒的な攻撃力をみせつけたイングランド。決勝トーナメントに入っても攻撃的な姿勢をみせる。
イングランドは試合開始直後からセネガルに対して縦にマークを掴んでプレスをかけ、ボールを奪えば縦方向に攻める姿勢をみせる。前半の立ち上がりはイングランドがボールを支配しセネガルを押し込んで行く。
対するセネガルはボールサイドに絞る形で守備ブロックを敷きイングランドの攻撃に対抗。イングランドはセネガルの守備ブロック攻略に予想以上に手間取り、時間の経過とともにイングランドのパス回しはセネガル守備ブロックの外側に向いていく。
イングランドの攻撃を凌いだセネガルは30分台に入ると攻勢に転じる。ボールを奪えば早いタイミングで縦にボールを送り、サイドに張るディアタ、イスマイラ サール、前線のブライェ ディア達を走らせる。そして彼ら3人がイングランドディフェンスラインの裏を突く事でフィニッシュを狙う。
ここにきてセネガルが試合のペースを握るかに思われた。しかし、そこにセネガルにとっての落とし穴があった。
セネガルが前に出る意識が高まった事により生じたスペースをイングランドは見逃さなかった。39分、イングランドはディフェンスラインのパス回しからフォデンへと縦パスを入れるとケイン、ベリンガムが一気に縦に進んでセネガルの守備ブロックをブレイク。最後はベリンガムのクロスをジョーダン ヘンダーソンが決めてイングランドが先制ゴールを奪う。さらに前半のアディショナルタイムには自陣からのロングカウンターからケインが決めて2対0。
イングランドは、セネガルが前掛かりになった事によって生じた守備の隙を的確に突いて、2点のリードを奪い前半を終える。
後半、前に出ざるを得ないセネガルに対して57分に再びイングランドのカウンターアタックが炸裂する。
自陣で奪ったボールがケインに渡ると、チームに攻撃のスイッチが入る。ボールはフォデンに渡り、フォデンが左サイドを突破してゴール前に送ったクロスをサカが決めて3対0。この時点で勝負の行方はほぼ決する。
セネガルも中盤や前線の構成を変え、更には中盤3枚(ナンパリス メンディ、パプマタル サール、パプ ゲイェ)のポジションを流動的にローテーションする事でイングランドのマークを外し、そこから攻撃にかかるもののイングランド守備陣を崩すには至らず。
イングランドが余裕を持って逃げ切り準々決勝進出を果たす。
【投稿主選出の man of the match】 ジュード ベリンガム
モロッコ 0(3PK0)0 スペイン
手を変え品を変え攻めるスペイン、ブレずに守り続けるモロッコ
華麗な攻撃サッカーを誇るスペインに対してモロッコは鉄壁の守備で対抗する。
モロッコの守備はミドルサードに4-1-4-1のブロックを敷き、スペインの後方でのパス回しに対してセンターフォワードのエンネシリが前に出て制限をかけ、2列目から後ろの9枚はボールの動きに応じてラインをスライド。スペインがボールを縦に差し込んだ瞬間ウナヒ、アマラーの両インテリオールがパスの受け手に対して激しくプレスをかける。仮にインテリオールのプレスが突破されてもアムラバトがフィルター役としてライン間を広範囲に動いてブロック内への侵入を阻止する。
またサイドを攻められた際にはジェシュ、ブファルの両ウイングが下がってサイドのスペースを埋める。
このモロッコの守備に対して、スペインはあの手この手と攻撃の手を変え仕掛けて行く。
先発メンバーが出ている時間帯ではインテリオールとウイングが盛んにポジションを入れ替え、モロッコの守備ブロックにギャップができればそこにボールを差し込みブロックを崩しにかかる。
時間の経過とともに選手交代によって出場選手が入れ替わって行くと、ショートパスを左右に振ってモロッコの守備ブロックにスライドを強いてモロッコの選手の消耗を誘いつつ、サイドアタックを仕掛ける攻撃がメインになる。
これらの攻撃に対してモロッコは決してブレる事無く自分たちの守備方針を貫き、粘り強い対応でスペインの攻撃を防ぎ続ける。
またモロッコはただ守るだけではなく、ボールを奪えばスペインのカウンタープレスに対してサイドバックとインテリオールが連携する事でプレスを剥がし、更にそこから鋭い縦への攻撃を仕掛けスペインゴールに迫りもした。
[システム図②]モロッコの守備
⑲エンネシリがスペインの後方でのパス回しに対してチェイシング。2列目以降の9枚はボールの動きに合わせてラインをスライドし、スペインが中盤に縦パスを差し込めば⑧ウナヒ、⑮アマラーがプレスに行く。
④アムラバトは中盤のフィルターとしてライン間を広範囲にカバーし。
⑦ジェシュ、⑰ブファルの両ウイングはサイドのスペースを突かれた際は下がってカバーリング。
スペインが攻めて、モロッコは堅い守備からのカウンターアタック。一進一退の攻防はスコアレスのまま延長戦でも決着がつかず、勝負の行方はPK戦へ。
ここでモロッコのゴールキーパー、ボノがソレールとブスケッツのシュートをセーブ。スペインはサラビアのシュートも枠を外し、3人がPKを蹴って1本も決められないというまさかの事態。
対するモロッコは3人中2人がゴールを決める。そして最後のキッカー、ハキミはこの大事な場面でまさかの「パネンカ」でのゴール。衝撃的なラストでモロッコがスペインを破り同国初のベスト8進出を果たした。
【投稿主選出の man of the match】 ソフィアン アムラバト
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