欧州サッカー観戦記 21-22UEFAチャンピオンズリーグ Semi Final 2nd leg その①

ビジャレアル対リヴァプール UEFAのコンペティション

激闘が続くチャンピオンズリーグも決勝進出まであと1試合となる準決勝2nd leg
決勝進出を賭けた戦いは死闘と呼ぶに相応しいものになる

Semi Final 2nd leg 結果

2022年5月4日
ビジャレアル 2-3 リヴァプール
(2試合合計 2-5 リヴァプール 勝利)

2022年5月5日
レアル マドリード 3(1EX0)1 マンチェスター シティ
(2試合合計 6-5 レアル ドリード 勝利)

今回は ビジャレアル 対 リヴァプール 戦をレビューします

※準決勝2nd legのもう1試合、レアル マドリード 対マンチェスター シティ 戦のレビューはこちらになります、よろしければご覧下さい

ビジャレアル 対 リヴァプール

2022年5月4日 UEFAチャンピオンズリーグ Semi Final 2nd leg
ビジャレアル 2-3 リヴァプール
(2試合合計 2-5 リヴァプール 勝利)

ビジャレアルが真っ向からリヴァプールに立ち向かい、前半はリヴァプール

を追い詰める
後半ビジャレアルは力尽きたものの、リヴァプール相手に大健闘をみせた

メンバー

ビジャレアル
監督 ウナイ エメリ

【スタメン】

13 ヘロニモ ルジ (GK)
3 ラウル アルビオール
4 パウ トーレス
5 ダニエル パレホ
6 エティエンヌ カプエ
➡86分 退場
7 ジェラール モレーノ
8 フアン フォイス
12 ペルビス エストゥピニャン
16 ブライユ ディア
17 ジオバンニ ロチェルソ
19 フランシス コクラン

【交代】

11 サムエル チュクウェゼ (69分In)
➡ジェラール モレーノ Out(怪我)
24 アルフォンソ ペドラサ (69分In)
➡コクラン Out
9 パコ アルカセル (79分In)
➡ディア Out
14 マヌ トリゲロス (79分In)
➡エストゥピニャン Out
25 セルジュ オリエ (79分In)
➡アルビオール Out

リヴァプール
監督 ユルゲン クロップ

【スタメン】

1 アリソン ベッカー (GK)
3 ファビーニョ
4 ウィルジル ファンダイク
5 イブラヒマ コナテ
6 チアゴ アルカンタラ
8 ナビ ケイタ
10 サディオ マネ
11 モハメド サラー
20 ディオゴ ジョタ
26 アンドリュー ロバートソン
66 トレント アレクサンダーアーノルド

【交代】

23 ルイス ディアス
(ハーフタイムIn)
➡ジョタ Out
14 ジョーダン ヘンダーソン
(80分In)
➡ケイタ Out
17 カーティス ジョーンズ (80分In)
➡チアゴ Out
21 コスタス ツィミカス (80分In)
➡ロバートソン Out
7 ジェームス ミルナー (84分In)
➡ファビーニョ Out

基本システム

左:ビジャレア(黄) 右:リヴァプール(赤)

[システム図①]
試合開始時

[システム図②]
後半開始時
リヴァプール ㉓ルイス ディアス投入

[システム図③]
69分ビジャレアル ⑪チュクウェゼ、㉔アルフォン ソペドラサ投入

[システム図④]
79分ビジャレアル ⑨パコ アルカセル、⑭マヌ トリゲロス、㉕オリエ投入
80分リヴァプール ⑭ジョーダン ヘンダーソン、⑰カーティス ジョーンズ、㉑ツィミカス投入
84分リヴァプール ⑦ミルナー投入

[システム図⑤]
86分ビジャレアル ⑥カプエ退場

得点 退場者

【3分・ビジャレアル】得点者:ブライユ ディア
ファンダイクのクリアしたボールを右サイド、ハーフウェイラインよりややリヴァプール陣内に入った位置でフォイスがヘディングで前へ送る。
そのボールをカプエ、ロチェルソ、ジェラール モレーノのトライアングルでパスを回しリヴァプールのプレスをかわすと、ジェラール モレーノが中央から右ハーフスペースへダイアゴナルに入って来たコクランにパス。パスを受けたコクランはペナルティエリア内へ侵入するとクロスを上げるが、ボールはファーサイドへ流れディアが拾う。
ディアは後方のパレホにボールを戻すと、パレホは左サイドのエストゥピニャンに繋ぎエストゥピニャンはファーサイドへ向けてクロスを上げる。このクロスにファーサイドからディフェンスラインの裏へ抜けて来たカプエがダイレクトでゴール前に折り返し、最後はディアが合わせてゴール。

【41分・ビジャレアル】得点者:フランシス コクラン
パウトーレスが自陣の左ハーフスペースから前線ディフェンスラインの裏へダイアゴナルのロングボール。
このロングボールを右ハーフスペース、ロバートソンの外側を上がって来たカプエが受けて一旦ボールキープするとロバートソンをかわしクロスを上げる。そのクロスにファーサイドからアレクサンダーアーノルドの前に入って来たコクランがヘディングで合わせゴール。

【62分・リヴァプール】得点者:ファビーニョ
リヴァプールはビジャレアル陣内で連続攻撃。
ビジャレアルのクリアボールを拾ったコナテは右サイド前方のアレクサンダーアーノルドへパス。アレクサンダーアーノルは右ハーフスペースのファビーニョにスクエアーパス。ファビーニョはファーストタッチで縦にボールを持ち出しカプエ、パレホの間を割って入り右サイドのサラーへパス。
サラーがドリブルカットインの体勢をみせると、前線右ハーフスペースに大きなスペースが生じファビーニョがそのスペースへ入って行くとサラーはファビーニョへパス。
パスを受けたファビーニョは前を向きゴールに向かって進むとシュートを放ちゴール。

【67分・リヴァプール】得点者:ルイス ディアス
左サイドでロバートソン、チアゴ、ルイス ディアスのトライアングルでパスを繋ぎ中央のファビーニョへパス。ファビーニョはマネへ縦パス。ボールはマネ、ケイタと繋がり右サイドのアレクサンダーアーノルドへ。
アレクサンダーアーノルドは左足インスイングのクロスをディフェンスラインの裏へ蹴ると、中央からディフェンスラインの裏へ飛び込んで来たルイス ディアスがヘディングでシュートを決める。

【74分・リヴァプール】得点者:サディオ マネ
リヴァプール陣内右サイドでの浮き球の攻防。パウ トーレスがヘディングで前に入れたボールをケイタが前方へ大きく蹴る。
ビジャレアルはディフェンダーがハーフウェイラインラインより前に出ており、ボールはその裏側へ。このボールをハーフウェイラインラインから飛び出したマネがキープすると、飛び出してきたゴールキーパーのルジ、戻って来たフォイスをかわし無人のゴールにボールを蹴り込みゴール。

【レッドカード 86分・ビジャレアル】退場者:エティエンヌ カプエ(2枚目のイエローカード)

局面ごとの方針

ビジャレアル

【ネガティブトラジション】
敵陣ではカウンタープレス。ボールサイドにラインを絞り強く寄せる。
自陣でもマンオリエンテッドにマークを掴みに行く。

後半は体力の消耗により足が鈍り、ボールホルダーに寄せきれずリトリートする事が増える。

【守備】
リヴァプールのビルドアップに対してジェラール モレーノ、ディアの2トップがファンダイク、コナテの2センターバック(CB)をマークし、パレホはファビーニョをマーク。チアゴが下がってボールを引き取りに行けばカプエがついて行く。この動きに連動して他の選手も前に出てマークを掴みプレスに行く。
自陣では4-4-2の陣形を組みそこからマークを掴む。リバプールがボールを下げれば積極的にラインを上げるなど、自陣でも前向きの守備をする。

【ポジティブトラジション⇒攻撃】
ビルドアップは後方にアルビオール、パウ トーレスの2CBとフォイス、その前にカプエ、パレホが立つ3-2の並びで、エストゥピニャンは左サイドを少し上がった位置でプレスの逃げ道を作る。
フォイスがディフェンスラインに残るのでマネがそのフォイスをマークし、ジョタがアルビオールをマークする。この時、サラーがパウ トーレスをマークするとエストゥピニャンがサイドでフリーになり、エストゥピニャンにボールが入ればケイタがサイドに引っ張り出される。それを嫌ってサラーがエストゥピニャンをマークすればパウ トーレスがフリーになる。
このようにしてマークのズレを作りリヴァプールのプレスをかわしてパレホにボールを入れ、そこから縦方向に攻撃を展開する。

[システム図⑥]
ビルドアップ

⑪サラーのマークが曖昧になり、⑧ケイタもマークを掴むのに迷いが生じる

ビルドアップからボールが前に出れば一気に縦方向へと進む。
ロチェルソ、コクランの両サイドハーフが内側に絞り4-2-2-2的な並びになる。ジェラールモレーノは下がって後方からのパスを引き取り、そのボールをシンプルに周囲に捌く。ディアは盛んにディフェンスラインの裏を狙う。
カプエは積極的に前線へ上がり、特にロチェルソが内に絞った後の外側のスペース(ロバートソンの外側)を狙う動きが有効で、その動きが得点に繋がる。

[システム図⑦]
攻撃時の陣形

⑰ロチェルソ、⑲コクランが内側に絞る
⑥カプエが前線に上がる時、⑰ロチェルソが内に絞った後の外側を突く動きが有効だった

リヴァプール

【ネガティブトラジション⇒守備】
敵陣でボールを奪われれば即ボールホルダーに寄せて行きカウンタープレス。
ビジャレアルのビルドアップに対してはアタッキングサードからプレス。前半はフォイスにはマネ、アルビオールにはジョタがマークにつが、ビジャレアルの選手配置によりサラーのマークが曖昧になりケイタもサポートに行きづらく、そこからマークのズレが生じていた。
後半はビジャレアルの脚が鈍りトラジションで優位に立つ事でしっかりマークを掴み、ビジャレアルの攻撃の組み立てを事前に抑えていた。

リトリートした際は4-1-4-1の陣形でボールサイドにラインを絞ってマークを掴む。

【ポジティブトラジション】
敵陣でボールを奪えば素早く縦に展開。
自陣でボールを奪った際、前半のビジャレアルはボールサイドにラインを絞りプレスに来るので、プレスをかわせば逆サイドのスペースにボールを展開しそこから縦に攻め込んでいた。
後半のビジャレアルはこの局面でリトリートする事が多かったので、自陣でボールを奪えばそのまま前進していた。

【攻撃】
ビルドアップはコナテ、ファンダイクの2CBの前にファビーニョ、チアゴが立つ2-2の並びで、アレクサンダーアーノルド、ロバートソンの両サイドバックはビルドアップをサポートしつつボールが前に出れば前へと上がる。

基本は縦に速い攻撃だがビジャレアルは攻撃の際、中央に絞ったポジショニングをするのとマンオリエンテッドにマークを掴む守備をする事でサイドにスペースが生じやすい。後半は明確に前線で幅を取りサイドのスペースを狙っていた。
サイドからの崩しについて、右サイドは後方からサラーに向けてサイドの深い位置に押し込むようなパスを送り、そこにアレクサンダーアーノルド、ケイタが絡んでカットインしながら仕掛ける。またアレクサンダーアーノルドが大外に開きサラーがハーフスペースに入るパターンもみられた。
左サイドはルイスディアスがフォイスに対して1対1を仕掛け突破を図る。
中央ではケイタ、マネがライン間でパスの中継点になる事で中央の人数を確保し、サイドへの展開を安定させていた。

試合の感想・ポイント

前半

リヴァプール相手にビジャレアルが真っ向から立ち向かう

ビジャレアルが立ち上がりからハイテンションなサッカーを展開。攻撃、守備、トラジションの各局面でリヴァプール相手に一歩も引かず前に出る姿勢をみせ真っ向勝負を挑むと、3分に先制ゴールを奪う。
その後も各局面で激しい攻防が続くがビジャレアルが五分以上の動きをみせる。トラジションではリヴァプールから先手を奪う動きをし、ビルドアップでも選手の配置でマークのズレを作りプレスをかわして前へボールを運んだ。
両チームとも攻撃時に縦に出る意識が強い分サイドにスペースが生じやすかったが、そのスペースもビジャレアルの方がより有効に活用していた。
そして41分、ビジャレアルはコクランが2試合合計で同点に追いつくゴールを挙げる。
勢いづくビジャレアルだが、その一方で怪我から復帰した直後のジェラール モレーノがピッチサイドでハムストリングのテーピングを巻直していた。かなり激しく戦った分、消耗の激しさを物語っており、後半に向けて(ビジャレアルにとって)若干の不安材料がみられた。

後半

前半とは打って変わり、後半はリヴァプールが凄まじい逆襲

リヴァプールはハーフタイム明けにルイス ディアスを投入し、併せて前線の並びも変更すると両サイドからビジャレアルを押し込んで行く。負けじとリヴァプールの攻撃を押し返したいビジャレアルだが、リヴァプールのサイド攻撃は強烈な上に、前半ハイテンションで飛ばした影響で体力を激しく消耗しておりトラジションで後手を踏む事が増えだす。
ビジャレアルは攻撃を思うように組み立てられなくなり、守備でもボールホルダーに寄せきれずリトリートする事が増える。徐々に自陣から抜け出せなくなると、60分台に入り立て続けに失点を喫する。それでもビジャレアルは前に出る姿勢をみせるが、74分チーム全体で前に出た裏のスペースをマネに衝かれ、リヴァプールにダメ押しの3点目を奪われる。
86分カプエがこの日2枚目のイエローカードを提示され退場となるり、ビジャレアルはここで万事が休する。
リヴァプールが3シーズンぶりの決勝進出を果たす。

選手寸評

ビジャレアル
エティエンヌ カプエ 普段は守備の人だが、この試合では積極的に前線に攻め上がり2得点に絡む活躍。前半リヴァプールを追い詰めた最大の功労者。
ジェラール モレーノ 縦に攻める際に的確な繋ぎでチームの攻撃を支えた。怪我の影響で69分に途中交代したが、彼のコンディションが万全であれば後半もリヴァプールを苦しめる戦いができたかもしれない。
フアン フォイス 前半はビルドアップのキーマンとして攻撃の組み立てに加わり、守備でもマネとのマッチアップで奮闘した。後半はルイス ディアスとのマッチアプに苦労した。
フランシス コクラン 前半、積極的に前に出て攻撃に貢献。41分には2試合合計で同点に追いつくゴールを挙げた。
ブライユ ディア 3分に先制ゴールを挙げる。その後も積極的にリヴァプールのディフェンスラインの裏を突く事で攻撃を牽引した。
リヴァプール
ルイス ディアス 得意のドリブル突破でビジャレアルから試合の流れを奪い去る。時折みせる裏抜けも抜群の上手さで、67分にはその裏抜けからゴールを奪う。
ファビーニョ 中盤のフィルターとして睨みを利かせ、攻撃でも62分にワンタッチで2人を剥がす動きでチャンスを作り自らゴールを挙げる。
ナビ ケイタ 後半ライン間でパスの中継点として攻撃に貢献。アタッカー陣へのサポートが的確だった。
サディオ マネ 後半センターフォワードにポジションを変えると、中盤に下がってパスを引き取り攻撃を機能させる。74分には冷静にダメ押しゴールを決めた。

投稿主選出の man of the match

ルイス ディアス

以上、ビジャレアル 対 リヴァプール 戦のマッチレビューでした

本レビューは、あくまで投稿主個人の考えや感想を記事にしたものです。
本レビューに対して、ご意見やご感想があれば下のコメント欄よりコメントを頂ければ幸いです。

 

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