異なるスタイルを持つチーム同士の対戦は、2nd legで更に激しさを増し
死闘と呼ぶに相応しい試合となる
Quarter Final 2nd leg 結果
2022年4月13日
バイエルン ミュンヘン 1-1 ビジャレアル
(2試合合計 1-2 ビジャレアル 勝利)
2022年4月13日
レアル マドリード 2-3 チェルシー
(2試合合計 5-4 レアル マドリード 勝利)
2022年4月14日
アトレティコ マドリード 0-0 マンチェスター シティ
(2試合合計 0-1 マンチェスター シティ 勝利)
2022年4月14日
リヴァプール 3-3 SLベンフィカ
(2試合合計 6-4 リヴァプール 勝利)
今回は アトレティコ マドリード 対 マンチェスター シティ 戦をレビューします
※同カードの1st legはこちらでレビューしております、よろしければご覧下さい
アトレティコ マドリード 対 マンチェスター シティ
2022年4月14日 UEFAチャンピオンズリーグ Quarter Final 2nd leg
アトレティコ マドリード 0-0 マンチェスター シティ
(2試合合計 0-1 マンチェスター シティ 勝利)
アトレティコが攻守両面で勢いを持って縦方向に進みシティを追い詰めるも一歩及ばず
1点を守り切ったシティが薄氷を踏む勝利で準決勝進出
メンバー
アトレティコ マドリード
監督 ディエゴ シメオネ
【スタメン】
13 | ヤン オブラク (GK) |
4 | ジェフリー コンドグビア |
6 | コケ |
7 | ジョアン フェリックス |
8 | アントワヌ グリーズマン |
11 | トマ ルマル |
12 | レナン ロディ |
14 | マルコス ジョレンテ |
15 | ステファン サビッチ |
18 | フェリペ ➡90+1分 退場 |
23 | レイニウド マンダバ |
【交代】
10 | アンヘル コレア (69分In) |
➡レナン ロディ Out | |
5 | ロドリゴ デパウル (69分In) |
➡コケ Out | |
21 | ヤニック フェレイラカラスコ (69分In) |
➡グリーズマン Out | |
9 | ルイス スアレス (82分In) |
➡ルマル Out | |
19 | マテウス クーニャ (82分In) |
➡ジョアン フェリックス Out |
マンチェスター シティ
監督 ジュゼップ グアルディオラ
【スタメン】
31 | エデルソン モラエス (GK) |
2 | カイル ウォーカー |
5 | ジョン ストーンズ |
8 | イルカイ ギュンドアン |
14 | アイメリク ラポルト |
16 | ロドリ |
17 | ケビン デブライネ |
20 | ベルナルド シウバ |
26 | リヤド マフレズ |
27 | ジョアン カンセロ |
47 | フィル フォデン |
【交代】
7 | ラヒム スターリング (65分In) |
➡デブライネ Out(怪我) | |
6 | ネイサン アケ (73分In) |
➡カイル ウォーカー Out(怪我) | |
25 | フェルナンジーニョ (79分In) |
➡ベルナルド シウバ Out |
基本システム
左:アトレティコ(白赤) 右:シティ(紺)
[システム図①]
試合開始時
[システム図②]
20分過ぎシティ ⑳ベルナルド シウバと㊼フォデンがポジションチェンジ
[システム図③]
65分シティ ⑦スターリング投入(⑰デブライネ怪我)
69分アトレティコ ⑤デパウル、⑩アンヘル コレア、㉑フェレイラカラスコ投入
73分シティ ⑥アケ投入(②カイル ウォーカー怪我)
[システム図④]
79分シティ ㉕フェルナンジーニョ投入
82分アトレティコ ⑨スアレス、⑲クーニャ投入
得点経過 退場者
【レッドカード 90+1分・アトレティコ】退場者:フェリペ(2枚目のイエローカード)
局面ごとの方針
アトレティコ マドリード
【ネガティブトラジション】
ボール付近の選手はボールホルダーに対して寄せて行くが、それ以外の選手はブロック形成を優先する事が基本方針。
但しシティ陣内でシティがボールを前に出せないといった、シティのベクトルが後ろ向きの状態の場合はチーム全体でラインを押し上げてプレスに行く。
【守備】
ミドルサードに5-4-1のブロックを敷いて構える。シティがボールを下げればチーム全体でラインを押し上げプレスに行く。
後半に入るとボールレーンの選手がブロックから突出してプレスに行く。特にコケはシティ自陣でのパス回しに対して、かなり深い位置まで突出してプレスに行くので、5-3-2の並びになる事もあった。
守備時の陣形は69分、82分と選手交代がある度に変化(システム図③④参照)。そして、時間の経過とともに前に出る勢いが増していた。
放送席解説(wowow)の戸田和幸氏はシティがライン間に縦パスを差し込む際、アトレティコのセンターバック(CB)は中央のレーンにいるパスの受け手に対して少し距離をあけノーマークに見えるようにしてパスを出させ、パスが出た瞬間にパスの受け手に対して縦に距離を詰めてボールをカットしていると指摘していた。
この形でボールを奪えばポジティブトラジション時、縦に勢いがつく。アトレティコは時間の経過とともに攻守両面で縦方向への勢いが増していたが、この守備方法もそれに一役買っていると感じた。
【ポジティブトラジション⇒攻撃】
ビルドアップはサビッチ、フェリペ、レイニウドの3CBの脇にコケが下りてボールを引き取り、そこから縦方向に攻撃を展開。
シティのフォアプレスやカウンタープレスをかわせばボールを縦に送り、周囲の選手も縦方向に動き出す。縦攻撃の第一ターゲットはジョアン フェリックス。ジョアンフェリックスはシティディフェンスラインの背後へ裏抜けを狙いつつ、すぐにロングボールが出せない時はライン間でパスを受けにいき、パスを受けると素早いターンで前を向きディフェンスラインに対する仕掛けやボールキープを行う。
ジョアン フェリックスの動きにより左サイドにスペースが生じるとレナン ロディがそのスペースを突く。
後半に入るとアトレティコの縦方向への勢いが時間の経過とともに増していき、ライン間やディフェンスラインの裏のスペースに積極的にボールを送るようになる。
フィールドの左側ではレナン ロディ、ルマルに加えレイニウドも攻撃の組み立てに参加し前進。前が詰まれば右サイドのマルコス ジョレンテに向けてサイドチェンジし右からも仕掛ける。
マンチェスター シティ
【攻撃】
ビルドアップはストーンズ、ラポルトの2CBの前にロドリが立ち、サイドでカイル ウォーカーとジョアン カンセロの両サイドバックもサイドから組み立てに加わる。ビルドアップの並びを数字で表すと2-3となる。
前線はマフレズ、ベルナルド シウバの両ウイングが幅を取りセンターフォワード(CF)のフォデンとデブライネ、ギュンドアンの両インテリオールの3枚が中央に絞ってディフェンスラインの前に並ぶ。フォデンが時折下がって後方からのパスを受ける。
20分を過ぎたあたりでベルナルド シウバとフォデンがポジションチェンジ。CFに入ったベルナルド シウバはファルソヌエベ(偽9番)として右ハーフスペースをベースにかなり広範囲に動き、中盤まで下がればビルドアップからのパスを受け、前線では周囲の選手と連携しマークのズレを作り崩しの起点になる。
[システム図⑤]
シティ 20分以降、攻撃時の布陣
【ネガティブトラジション⇒守備】
敵陣では4-2-4の陣形でスペースを消しながらボールサイドにラインを圧縮する形でアタッキングサードからプレスに行く。前4人はマフレズ、フォデン、ベルナルド シウバの3トップ+デブライネ。
リトリートすれば4-4-2のブロックディフェンス。トップはセンターフォワード+デブライネ。
79分フェルナンジーニョを投入し、勢いづくアトレティコに対して中盤の守備を強化する。
試合の感想・ポイント
前半
ボールを支配し攻め込むシティ、カウンターで反撃のアトレティコ
試合の主導権はシティが握っているが、1st legと比較するとアトレティコも格段にアグレッシブな姿勢をみせる。シティのプレスを受けても後方でパスを繋ぎプレスをかわすと縦に前進し速攻を仕掛ける。
対するシティも20分過ぎにベルナルド シウバとフォデンがポジションチェンジし攻撃を活性化させる。
前半はスコアレスながら、お互いにチームの特徴を出せていた。
後半
縦方向に勢いを持って出ていくアトレティコがシティを追い詰める
アトレティコはネガティブトラジションから守備の局面で前への圧力を強めると、その勢いはポジティブトラジションから攻撃の局面にも繋がって行く。レイニウド、マルコス ジョレンテは前半以上に攻撃に関与し、シティ側ではデブライネ、カイル ウォーカーが立て続けに怪我で途中交代するといった事もあり、アトレティコの勢いは時間の経過とともに強まっていく。
2試合合計でリードするシティを追い詰めていくアトレティコ。リードを守りたいシティもフェルナンジーニョを投入し必死のディフェンスをみせ、球際の攻防は激しさを増していく。
試合終了間際、フェリペがフォデンに対して激しいタックルを浴びせると、倒れたフォデンに対してサビッチが詰め寄った事をきっかけに両軍入り乱れて乱闘寸前の小競り合いが勃発。複数の選手にイエローカードが提示される中、フェリペにもイエローカードが出され、これがフェリペ自身2枚目のイエローカードとなり退場となってしまう。
10人となったアトレティコだが勢いは衰えず。また、システムもフェリペ退場前のまま変更せず、フェリペが抜けて空いたスペースはCBが絞るのではなくデパウルかコンドグビアのどちらかが下がって埋める形で対応。アディショナルタイムもシティゴールに迫って行く。
しかし、アトレティコの奮闘も一歩及ばず試合はタイムアップ。シティが1st legのリードを紙一重のところで守り切り準決勝進出となった。
選手寸評
アトレティコ マドリード
ジョアン フェリックス | ディフェンスラインのギャップを突いて裏抜けを狙い、ライン間でボールを受ければ素早いターンで前を向いてシティのディフェンスラインに対して仕掛ける。解説の戸田氏も彼の動きを高く評価していた。 |
フェリペ | 最後は退場してしまったが、シティの縦パスを前に出てカットするディフェンスはポジティブトラジションから攻撃の局面に勢いを与えていた。 |
ステファン サビッチ | 激しい闘志でフォデンとマッチアップ。今日のアトレティコの勢いを体現するプレーをみせていた。 |
レイニウド マンダバ | 守備ではデブライネに食らいつき、攻撃でもフィールドの左側で攻撃の組み立てに加わるなど攻守でチームに貢献した。 |
レナン ロディ | 左サイドのスペースを積極的に突き、彼が本来持つ攻撃力を発揮した。 |
マンチェスター シティ
ベルナルド シウバ | フィールドを広範囲に動き攻撃に関与。彼の動きは相手のマークを混乱に陥れる。 |
カイル ウォーカー | 73分に怪我で途中交代してしまうが、それまでは後方のスペースをカバーしつつオーバーラップやインナーラップで攻撃にも関与。攻守でチームに貢献した。 |
投稿主選出の man of the match
ジョアン フェリックス
以上、アトレティコ マドリード 対 マンチェスター シティ 戦のマッチレビューでした
本レビューは、あくまで投稿主個人の考えや感想を記事にしたものです。
本レビューに対して、ご意見やご感想があれば下のコメント欄よりコメントを頂ければ幸いです。
コメント