欧州サッカー観戦記 21-22UEFAチャンピオンズリーグ Quarter Final 1st leg

UEFAのコンペティション

昨シーズンのプレミア王者とラリーガ王者の対決は、両チームの異なるスタイルがぶつかり合う好ゲーム
高い組織力を誇るチーム同士の対戦で、最後に勝敗を分けたの個の力だった

Quarter Final 1st leg 結果

2022年4月6日
SLベンフィカ 1-3 リヴァプール

2022年4月6日
マンチェスター シティ 1-0 アトレティコ マドリード

2022年4月7日
ビジャレアル 1-0 バイエルン ミュンヘン

2022年4月7日
チェルシー 1-3 レアル マドリード

今回は マンチェスター シティ 対 アトレティコ マドリード 戦をレビューします

※同カードの2nd legはこちらでレビューしております、よろしければご覧下さい

マンチェスター シティ 対 アトレティコ マドリード

2022年4月6日 UEFAチャンピオンズリーグ Quarter Final 1st leg
マンチェスター シティ 1-0 アトレティコ マドリード

ゴール前に堅い城壁を築きシティの攻撃を跳ね返し続けたアトレティコ
その城壁を打ち砕いたのはフォデンの個の力だった

メンバー

マンチェスター シティ
監督 ジュゼップ グアルディオラ

【スタメン】

31 エデルソン モラエス (GK)
5 ジョン ストーンズ
6 ネイサン アケ
7 ラヒム スターリング
8 イルカイ ギュンドアン
14 アイメリク ラポルト
16 ロドリ
17 ケビン デブライネ
20 ベルナルド シウバ
26 リヤド マフレズ
27 ジョアン カンセロ

【交代】

9 ガブリエウ ジェズス (68分In)
➡スターリング Out
10 ジャック グリリッシュ (68分In)
➡ギュンドアン Out
47 フィル フォデン (68分In)
➡マフレズ Out

アトレティコ マドリード
監督 ディエゴ シメオネ

【スタメン】

13 ヤン オブラク (GK)
4 ジェフリー コンドグビア
6 コケ
7 ジョアン フェリックス
8 アントワヌ グリーズマン
12 レナン ロディ
14 マルコス ジョレンテ
15 ステファン サビッチ
18 フェリペ
23 レイニウド マンダバ
24 シメ ブルサリコ

【交代】

5 ロドリゴ デパウル (60分In)
➡コケ Out
10 アンヘル コレア (60分In)
➡グリーズマン Out
19 マテウス クーニャ (60分In)
➡マルコス ジョレンテ Out
11 トマ ルマル (81分In)
➡ジョアン フェリックス Out

基本システム

左:シティ(水色) 右:アトレティコ(白赤)

[システム図①]
試合開始時

[システム図②]
後半開始時
シティ ⑦スターリングと⑳ベルナルドシウバがポジションチェンジ
アトレティコ システム変更

[システム図③]
60分アトレティコ ⑤デパウル、⑩アンヘル コレア、⑲クーニャ投入
68分シティ ⑨ジェズス、⑩グリーリッシュ、㊼フォデン投入

得点経過

【70分・シティ】得点者:ケビン デブライネ
ゴールキーパー(GK)、エデルソンから出たボールをストーンズ、ロドリと繋ぐ。
アトレティコはリトリートしてのブロックディフェンス。それを見たロドリは右ハーフスペースをドリブルでボールを運びライン間のフォデンにパス。
パスを受けたフォデンは素早く前を向いてアトレティコのディフェンスラインにむかって仕掛けて行くと、3人を引き付けてディフェンスライン裏にスルーパス。
ディフェンスラインのギャップを衝いて抜け出したデブライネがスルーパスを受けると冷静にGKオブラクの足元を抜くシュートを放ちゴール。

局面ごとの方針

マンチェスター シティ

【攻撃】
ビルドアップはストーンズ、ラポルトの2センターバック(CB)の前にロドリが立ち、左サイドでアケがサポートする3-1の並び。アケがビルドアップをサポートする分左から前進でアトレティコのブロック内に侵入する事が多かった。ストーンズはアトレティコがフォアプレスに来なければ積極的にボールを持ち上がる。

前半、アトレティコの中盤3枚の脇を突いて、そこに攻撃の拠点を作る。アトレティコがボールサイドにラインをスライドすればサイドチェンジで逆サイドのスペースを突き、そこから仕掛ける。
前半の攻撃時の陣形はシステム図④を参照。

[システム図④]
前半攻撃時の陣形
左から前進し右サイドにサイドチェンジというパターンが多くみられた
敵陣での守備時は前線の4人がこの並びのままプレスに行く。

後半は攻撃時の陣形を若干修正。
右サイドはカンセロが幅を取り、右ウイング(67分まではマフレズ、68分以降はフォデン)はハーフスペースに構える。左サイドは68分に投入されたグリーリッシュが幅を取る。

[システム図⑤]
後半攻撃時の陣形(68分以降)
フォデンの仕掛けが目立っていた

【ネガティブトラジション】
ボールを奪われればカウンタープレスに行く。
80分以降はリトリートしてブロックを形成する事が増える。
この試合で最も多かった守備での対応は、ネガティブトラジションでの被カウンター対応だった。

【守備】
敵陣ではアトレティコのパス回しに対してマフレズ、ベルナルド シウバ、スターリングの3トップにデブライネが加わった4枚がフラットに近い並びで前に出てプレスに行く(システム図④参照)。
自陣でブロックを敷く際はデブライネが2トップの一角に入る4-4-2。

アトレティコ マドリード

【ネガティブトラジション】
ボール付近の選手はボールホルダーに対してプレスに行くが、それ以外の選手はブロックを形成する事を優先する。

【守備】
基本方針はボールオリエンテッドにスペースを埋めるブロックディフェンス。
前半の立ち上がりはミドルサードに5-3-2のブロックを敷くが、シティが中盤脇のスペースを攻めてくる事に対応する為にグリーズマン、ジョアン フェリックスの2トップが中盤脇のスペースを埋め、5-5-0の陣形になる。

[システム図⑥]
前半、主に30分以降、5-5-0の守備ブロックを敷く事が増える
グリーズマン、ジョアン フェリックスが中盤脇のスペースを埋める

後半は守備陣形を5-4-1に変更(システム図②③参照)。前半に引き続きボールオリエンテッドにブロックを敷く。
70分以降はブロックを敷いた状態からボールレーンの選手がボールホルダーに対して強くアプローチしクーニャが挟むようにしてプレスに行く。

【ポジティブトラディション⇒攻撃】
ビルドアップはサビッチ、フェリペ、レイニウドの3CBの前にコケ、コンドグビア(68分以降はデパウル、コンドグビア)が立つ3-2の並び。ただ、攻撃の基本方針はポジティブトラジションからのカウンターアタックで、後方からパスを繋いで攻撃を組み立てる事は少なかった。

ポジティブトラジションでシティのプレスをかわして前を向く事が出来ればジョアン フェリックスが前へ動き出しカウンターの起点になる。カウンター時のサポート人数は最小限に抑える。
30分以降守備時に5-5-0の陣形になる事が多く、ボールを奪っても前線にボールを預けるターゲットがいないので、ボールホルダーが単独でボールを持ち上がる。

後半は前線に選手を再配置(1トップ)したことでカウンターの起点を作りやすくなる。
ポジティブトラジションから1トップのクーニャにボールが渡ればアンヘル コレア、ジョアン フェリックスが縦に走り出す。
70分以降、ブルサリコが高いポジショニングから右サイドでディフェンスラインの裏を盛んに狙う。

試合の感想・ポイント

前半

ボールを支配し攻めるシティ、守りを固め耐えるアトレティコ

ポゼッションを握り攻めるシティ、守りを固めつつボールを奪えばカウンターを繰り出すアトレティコという展開で試合は進む。
アトレティコの中盤脇のスペースを攻めるシティに対し、アトレティコはグリーズマン、ジョアン フェリックスの2トップが中盤脇のスペースを埋める5-5-0の守備ブロックを敷くようになる。この陣形はシティのビルドアップに対してプレッシャーをかけらないので、どうしてもラインが下がってしまう。また、ボールを奪った時点で前方にボールの預け処が無いのでカウンターを繰り出すのに苦労し攻撃の糸口が掴めない状態に陥ってしまう。
一見するとシティペースに見える状態だが、アトレティコは一方的に攻め込まれ続けながらも最終ラインを崩される事は殆どなかった。これはアトレティコが守備で主導権を握っていると言えなくもない。
本当に主導権を握っているのはどちらなのか、判断するのが難しい前半だった。

後半

途中出場のフォデンがアトレティコの堅い守備をぶち破る

後半もボールを支配するシティに対し、アトレティコはシティの攻撃を弾き返し続ける。また、トップに選手を再配置した事で再びカウンターを打てるようになり、シティに対して反撃をみせる。
ボールを支配しながらも、アトレティコの守備ブロックを崩せずにいたシティだが、途中出場のフォデンがその状況を打破する。
交代直後の70分、ライン間でボールを受けたフォデンは素早く前を向いてディフェンスラインに対して仕掛けると、アトレティコの選手3人を引き付けてスルーパス。このスルーパスにデブライネが素早く反応。アトレティコディフェンスラインの僅かなギャップから裏へ抜け出しスルーパスを受けると、GKオブラクの脇を破りゴールを決める。
結局このゴールが決勝点となりシティが激闘の1st legを制した。

敗れたアトレティコだが守備ブロックはかなり強固でシティの攻撃に対しても大部分では有効だったように思う。リードを奪われ不利な状況ではあるものの、ビハインドはまだ1点。アトレティコはメトロポリターノでの2nd legに希望は繋いだのではないだろうか。

選手寸評

マンチェスター シティ
フィル フォデン 個の力で違いを生みアトレティコの強固な守備ブロックを打ち破る。
ジョン ストーンズ アトレティコがフォアプレスに消極的だった事もあり、積極的にボールを持ち上がっていた。
ネイサン アケ サイドバック起用だったが左サイドからの攻撃の前進にしっかりと対応していた。
ケビン デブライネ アトレティコディフェンスラインの僅かなギャップを衝いて、裏へと抜け出し決めた70分のゴールは流石の一言。
ロドリ アトレティコのカウンターに対して中盤のフィルターとして立ちはだかり、簡単にカウンターを成立させなかった。
アトレティコ マドリード
ジェフリー コンドグビア 球際の競り合いに数多く顔を出し、激しい当たりをみせていた。
レイニウド マンダバ デブライネ、マフレズに対して強い守備対応をし、簡単に突破を許さなかった。
シメ ブルサリコ 守備ではサイドのスペースを埋め、リードを奪われた70分以降は高いポジションを取りシティのディフェンスラインの裏のスペースを盛んに衝いていた。

投稿主選出の man of the match

フィル フォデン

以上、マンチェスターシ ティ 対 アトレティコ マドリードのマッチレビューでした。

本レビューは、あくまで投稿主個人の考えや感想を記事にしたものです。
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