熱戦が続くUEFAチャンピオンズリーグ、1回戦 1st leg 第2週
アトレティコにとって天敵とも言えるあの男がメトロポリターノに登場
Round of 16 1st leg week2 結果
2022年2月23日
チェルシー 2-0 LOSCリール
2022年2月23日
ビジャレアル 1-1 ユベントス
2022年2月24日
アトレティコ マドリード 1-1 マンチェスター ユナイテッド
2022年2月24日
SLベンフィカ 2-2 アヤックス
今回は アトレティコ 対 マンチェスターU 戦をレビューします。
※ベンフィカ 対アヤックス 戦もこちらでレビューしております
よろしかったらご覧下さい。
アトレティコ マドリード 対 マンチェスター ユナイテッド
2022年2月24日 UEFAチャンピオンズリーグ Round of 16 1st leg
アトレティコ マドリード 1-1 マンチェスター ユナイテッド
堅い守備で試合をコントロールしようとするアトレティコに対し
ユナイテッドも試合の中で修正をほどこし対応
同点で2nd legに向かうことになる
メンバー
アトレティコ マドリード
監督 ディエゴ シメオネ
【スタメン】
13 | ヤン オブラク(GK) |
2 | ホセ ヒメネス |
4 | ジェフリー コンドグビア |
7 | ジョアン フェリックス |
10 | アンヘル コレア |
12 | レナン ロディ |
14 | マルコス ジョレンテ |
15 | ステファン サビッチ |
16 | エクトル エレイラ |
23 | レイニウド マンダバ |
24 | シメ ブルサリコ |
【交代】
8 | アントワヌ グリーズマン (76分In) |
➡ジョアン フェリックス Out | |
11 | トマ ルマル (76分In) |
➡レナ ンロディ Out |
マンチェスター ユナイテッド
監督 ラルフ ラングニック
【スタメン】
1 | ダビド デヘア(GK) |
2 | ビクトル リンデロフ |
5 | ハリー マグワイア |
6 | ポール ポグバ |
7 | クリスティアーノ ロナウド |
10 | マーカス ラッシュフォード |
17 | フレッジ |
18 | ブルーノ フェルナンデス |
19 | ラファエル バラヌ |
23 | ルーク ショー |
25 | ジェイドン サンチョ |
【交代】
31 | ネマニャ マティッチ (66分In) |
➡ポグバ Out | |
29 | アーロン ワンビサカ (66分In) |
➡リンデロフ Out | |
27 | アレックステレス (66分In) |
➡ルーク ショー Out | |
36 | アンソニー エランガ (75分In) |
➡ラッシュフォード Out | |
14 | ジェシー リンガード (82分In) |
➡サンチョ Out |
基本システム
左:アトレティコ(赤白) 右:ユナイテッド(紺)
[システム図①]
試合開始時
[システム図②]
後半開始時
[システム図③]
66分ユナイテッド マティッチ、ワンビサカ、アレックス テレス投入
[システム図④]
75分ユナイテッド エランガ投入
76分アトレティコ グリーズマン、ルマル投入
得点経過
【7分・アトレティコ】得点者:ジョアン フェリックス
アトレティコの右コーナーキック、エクトル エレイラのアウトスイングのボールをファーサイドでリンデロフがヘディングでクリア。左ハーフスペースでレナン ロディがクリアボールを拾うとドリブルでディフェンスに来たフレッジをかわしてアーリークロス。
このクロスにジョアン フェリックスはマグワイアの背後から前に飛び込み、ドンピシャのヘディングでゴールゲット。
【80分・ユナイテッド】得点者:アンソニー エランガ
ユナイテッド陣内、(ユナイテッドからみて)左サイドでアトレティコのスローイン。ブルサリコが前方に山なりのスロー。
このボールをマグワイアがヘディングでカット。浮き球を左サイドの狭いエリアでフレッジ、サンチョ、ロナウドが浮き球のまま繋ぎ、フレッジがプレッシャーを受けながらも中央にボールを出すと後方から来たブルーノ フェルナンデスが受けて、アトレティコが守備陣形を作るより先に前へ出て一気に前進。右ハーフスペースではエランガ、左サイドではサンチョが呼応して前に走り込み、ブルーノ フェルナンデスはエランガを選択、スルーパスでエランガはゴール前に抜け出すとオブラクの脇を抜けるシュートでゴール。
局面ごとの方針
アトレティコ
【ネガティブトラジション】
前半、敵陣でボールを奪われれば素早くカウンタープレスに行く。
後半はプレスより陣形を整えることを重視する。
【守備】
前半の立ち上がり、敵陣では前に出てプレスに行く。
速い時間帯(7分)にリードを奪ったこともあり、15分以降は徐々にプレスよりボールオリエンテッドにブロックを形成することを重視する方向にシフトして行く。
守備ブロックの形は、敵陣では攻撃時の並びに近い4-4-2。
自陣まで下がれば5-3-2に変形する。
【ポジティブトラジション⇒攻撃】
ボールを奪えば早いタイミングで縦に前進。
敵陣への侵入から崩しの局面では4-4-2に近い陣形([システム図⑤]参照)で、右はマルコス ジョレンテが縦に仕掛ける。左はジョアン フェリックスがハーフスペースを前後に動き、それによってできたスペースをレナン ロディが突く。
[システム図⑤]
攻撃時の陣形
⑭マルコス ジョレンテ、⑫レナン ロディ、⑩アンヘル コレア、⑦ジョアン フェリックスが縦に攻める
ボランチより後ろの選手は被カウンターに備える
後半、ユナイテッドのプレスの威力が増し自陣に押し込まれことが増えるが、ボールを奪えば素早くアンヘル コレア、ジョアン フェリックスのツートップに当て、彼らを起点に前進。
後半は、前半以上に縦に速く攻める事を重視し、人数もかけない傾向だった。
マンチェスターU
【ネガティブトラジション⇒守備】
敵陣ではマンオリエンテッド。マークを掴みプレスに行く。
自陣に下がれば、前半は4-4-1-1、後半は4-1-4-1の並びでマークを掴みに行く。
【ポジティブトラジション】
前にスペースがあればカウンターを狙う。
【攻撃】
ビルドアップはバラン、マグワイアの2センターバックの前にフレッジ(66分以降はマティッチ)が立つ2-1の形。ポグバ、ブルーノ フェルナンデスがライン間を突き攻撃の拠点を作る。陣形的には4-1-2-3に近い並びになる。
アタッキングサードへの侵入は主に右サイドからで、サンチョを中心にしたコンビネーションで前進していた。
前半は攻撃があまり機能しなかったが、後半は攻撃の質が向上しアトレティコゴールに迫れるようになる。後半に攻撃が良くなった理由として
⑴前半の基本システムは4-2-3-1だが([システム図①]参照)、攻撃時の並びは4-1-2-3([システム図⑥]参照)。選手の配置に攻守で齟齬が発生していた。
後半は基本システムを攻撃時に合わせて4-1-2-3([システム図②]参照)にしたことで攻守に於けるシステム上の齟齬が解消した。
⑵ビルドアップ時に右サイドバック(SB)のリンデロフが下がってサポートに入る。
[システム図⑥]
攻撃時の陣形
⑰フレッジがアンカーの4-1-2-3、66分以降はマティッチがアンカー
以上の2点が大きな理由として考えられる。
これにより、主にビルドアップの質が改善する。
試合の感想・ポイント
前半
アトレティコが守備で試合の流れをコントロールし主導権を握る
アトレティコの守備がユナイテッドを封じる。
ネガティブトラジションでは中盤3枚の動き出しが良く、ユナイテッドのボールの出所を素早く抑え、カウンターアタックを封じる。ボールをキープされた状態でも堅いブロックを形成。ディフェンスラインを崩されることは殆どなかった。
早い時間帯に先制点を挙げたこともあり、余裕を持って試合を進めていた。
ユナイテッドはポジティブトラジションで後手を踏むことが多く、ビルドアップからの攻撃でもアトレティコの守備ブロックの内側に楔を打ち込むような有効な攻めが少なく、チャンスを殆ど作る事が出来なかった。
後半
ユナイテッドがハーフタイムに戦い方を修正、息を吹き返す
後半ユナイテッドはシステムの変更やビルドアップ時のポジショニングの修正により、攻撃の質が向上。パス回しがスムーズになり前半より早い段階で前線にボールが入るようになる。
またネガティブトラジションでマークを掴む動きも前半より向上。敵陣でのプレスの威力が増す。
これにより前半アトレティコが握っていた試合の流れをユナイテッドが押し返す。
対するアトレティコもディフェンシブサードでの堅いブロック守備でゴールを守り、自陣でプレスを受けてもアンヘル コレア、ジョアン フェリックスが高い技術力でプレスを剥がし攻撃に転ずるなど抵抗をみせ、試合は次第に膠着していく。
この膠着状態を打破したのはユナイテッド。80分、スローイン後サイドの狭いエリアからフレッジが中央へボールを繋ぐと、アトレティコが守備陣形を整えるより速く前進。速攻からエランガがゴールを決めてユナイテッドが同点に追いつく。
試合はこのまま終了。1対1で2nd legへ進む事になった。
選手寸評
アトレティコ
ジョアン フェリックス | 先制ゴール時の背後からマグワイアの前を取る動きは見事。苦しい時間帯でも高い技術力でユナイテッドのプレスを剥がすなど、試合を通じて質の高いプレーをしていた。 |
レナン ロディ | 前半の攻撃を左サイドから牽引。ジョアン フェリックスの動きによって生じたスペースを的確に突いていた。先制点をアシストしたクロスの質も素晴らしかった。 |
マルコス ジョレンテ | マイボールになれば右のサイドやハーフスペースを縦に突き、ユナイテッドに脅威を与えていた。 |
ジェフリー コンドグビア | ユナイテッドの攻撃の拠点になりそうな位置に素早く顔を出し、激しいプレスで攻撃を食い止めボールを奪っていた。 |
マンチェスターU
アンソニー エランガ | 80分の同点ゴール時、中央のブルーノ フェルナンデスにボールが出た時の動き出しはアトレティコ守備陣を完全に上回る素晴らしいものだった。途中出場から見事に結果を残す。 |
ビクトル リンデロフ | 右SBで起用されアトレティコの左からの攻撃に手堅く対応。後半はビルドアップのサポートでも貢献した。 |
フレッジ | 中盤で攻守に奮闘。80分の同点ゴールはサイドの狭いエリアで彼がギリギリのタイミングでボールを中央に出したことがきっかけにして生まれた。 |
ジェイドン サンチョ | サイドからボールを運び前進。推進力、周囲との連携ともに良好だった。 |
投稿主選出の man of the match
ジョアン フェリックス
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