21-22シーズン、UEFAチャンピオンズリーグの決勝トーナメント
1回戦から好カードが目白押しとなっています
Round of 16 1st leg week1 結果
2022年2月16日
パリ サンジェルマン 1-0 レアル マドリード
2022年2月16日
スポルティングCP 0-5 マンチェスター シティ
2022年2月17日
レッドブル ザルツブルク 1-1 バイエルン ミュンヘン
2022年2月17日
インテル 0-2 リヴァプール
今回は インテル 対 リヴァプール 戦をレビューします。
※パリSG 対 レアル マドリード 戦のレビューもこちらでしております。
よろしければご覧下さい。
インテル 対 リヴァプール
2022年2月17日 UEFAチャンピオンズリーグ Round of 16 1st leg
インテル 0-2 リヴァプール
ハイインテンシティなトラジションゲーム。
インテルは巧みなゲームメイクで試合の流れを掴むも、リヴァプールの決定力を前に無念の黒星。
メンバー
インテル
監督 シモーネ インザーギ
【スタメン】
1 | サミル ハンダノビッチ |
2 | デンゼル ダンフリーズ |
6 | ステファン デフライ |
9 | エディン ジェコ |
10 | ラウタロ マルティネス |
14 | イバン ペリシッチ |
20 | ハカン チャルハノール |
22 | アルトゥーロ ビダル |
37 | ミラン シュクリニアル |
77 | マルセロ ブロゾビッチ |
95 | アレッサンドロ バストーニ |
【交代】
7 | アレクシス サンチェス (70分In) |
➡ラウタロ Out | |
5 | ロベルト ガリアルディーニ (87分In) |
➡ビダル Out | |
36 | マッテオ ダルミアン (87分In) |
➡ダンフリーズ Out | |
13 | アンドレア ラノッキア (87分In) |
➡デフライ Out | |
32 | フェデリコ ディマルコ (90+1分In) |
➡バストーニ Out |
リヴァプール
監督 ユルゲン クロップ
【スタメン】
1 | アリソン ベッカー |
3 | ファビーニョ |
4 | ウィルジル ファンダイク |
5 | イブラヒマ コナテ |
6 | チアゴ アルカンタラ |
10 | サディオ マネ |
11 | モハメド サラー |
20 | ディオゴ ジョタ |
26 | アンドリュー ロバートソン |
66 | トレント アレクサンダーアーノルド |
67 | ハービー エリオット |
【交代】
9 | ロベルト フィルミーノ (ハーフタイムIn) |
➡ジョタ Out | |
14 | ジョーダン ヘンダーソン (60分In) |
➡ファンダイク Out | |
8 | ナビ ケイタ (60分In) |
➡エリオット Out | |
23 | ルイス ディアス (60分In) |
➡マネ Out | |
7 | ジェーム スミルナー (86分In) |
➡チアゴ Out |
システム
左:インテル 右:リヴァプール
①試合開始時
②後半開始時 リヴァプール、フィルミーノを投入
③試合終了直前
得点経過
【75分・リヴァプール】得点者:ロベルト フィルミーノ
右サイドのコーナーキック(CK)。
マンツーマン(一部ゾーンで守る人を配置)で守るインテルに対してリヴァプールはペナルティスポット後方に人を集めゴール前を空ける。
ロバートソンがゴールエリアの角付近に向けて、左足インスイングで速いボールを蹴る。このボールにニアサイドに入ってきたフィルミーノがバックヘッドしゴール。
【83分・リヴァプール】得点者:モハメド サラー
敵陣フリーキックからの2次攻撃。
クリアボールをロバートソンから右ハーフスペースのアレクサンダーアーノルドに繋ぎ、アレクサンダーアーノルドは左足インスイングでペナルティエリア内のファーサイドにハイボールを蹴り込む。
このハイボールをファンダイクがヘディングで中央に折り返し、右から来たサラーがシュート。ディフレクションでコースが変わったボールはインテルゴールに吸い込まれる。
局面ごとの方針
インテル
【ネガティブトラジション】
素早くマークを掴みプレスに行く。特にアタッキングサードではカウンタープレスで積極的にボールを奪いに行く。
【守備】
リヴァプールのビルドアップに対してアタッキングサードからフォアプレス。ラウタロ、ジェコのツートップがリヴァプールのセンターバック(CB)ファンダイク、コナテにチェイシング。ブロゾビッチはトップ下の位置まで上がりファビーニョをマークし、ビダル、チャルハノールはチアゴ、エリオットをそれぞれマークする。ロバートソン、アレクサンダーアーノルドに対しては、ダンフリーズ、ペリシッチの両ウイングバック(WB)が前に出てマーク。
自陣に下がれば5-3-2のブロックを敷く。
【ポジティブトラディション】
敵陣でボールを奪えば素早く前に出てリヴァプールゴールに迫る。
【攻撃】
ビルドアップ時には通常のシステムからポジション移動(下図参照)。
基本的にはCB2枚とブロゾビッチが起点となる。
(通常のシステム)
(前半のビルドアップ時)
㊲シュクリニアルが右サイドに出て⑥デフライと(95)バストーニがCBのポジション。状況によっては㉒ビダルが下がってビルドアップをサポート。
(後半のビルドアップ時)
CBのポジションには㊲シュクリニアルと⑥デフライ。(95)バストーニが左サイドバック気味に張り、それに合わせて⑭ペリシッチは前に出て行き、左サイドでアイソレーション気味にポジショニング。
リヴァプールのフォアプレスがきつくても、基本的には自陣からパスを繋ぐ。リヴァプールのプレスをかわすことができれば、ジェコがディフェンスラインの裏へ走り出す。
後半、ビルドアップ時のポジション変更が功を奏し、マークのズレ(詳細は後述)を作ると、中盤でパスを回す。ここでのパス回しの目的は左サイドでアイソレーション状態のペリシッチにボールを入れる事。ペリシッチにボールが渡れば、左サイドから仕掛けてチャンスを作る。
リヴァプール
【ネガティブトラジション】
瞬時にマークを掴んでカウンタープレスに行く。
自陣でボールを失えば、素早く最終ラインを形成。
【守備】
インテルのビルドアップに対してアタッキングサードからマークを掴んでフォアプレスに行く。
マッチアップは下図参照。
上記の形でサイドにボールを追い込み、ボールサイドにラインを絞って複数の選手でボールホルダーを囲むようにプレスをかける。
インテルがポゼッションを確立すればブロック守備に移行。
ミドルサードでは4-3-1-2、ディフェンシブサードでは4-1-4-1の陣形を敷く。
【ポジティブトラディション⇒攻撃】
攻撃の起点は敵陣でのボール奪取が多く、ボールを奪えばそのまま前に出る。
自陣からのビルドアップの際はコナテ、ファンダイクの2CBの前にファビーニョが立つ2-1の形で、ファビーニョへのパスコースが切られればチアゴが下がってサポートに来る。インテルのプレスがきついので、アレクサンダーアーノルド、ロバートソンの両サイドバックがサイドでビルドアップのサポートをする事が多かった。
ボールが前に繋がればチアゴとエリオットは、インテルのライン間を広範囲に動き回りパスを引き出す。流れの中でエリオットがトップ下の4-2-3-1的な形になることもあった。
試合の感想・ポイント
前半
ハイインテンシティなプレス合戦、試合はトラジションゲームの様相
両チームともに敵陣でのフォアプレスやカウンタープレスが強烈で、自陣でパスを繋ぐのが困難な状態。その為、攻撃の起点は敵陣でのプレスによるボール奪取からのポジティブトラディションが殆どという、完全なトラジションゲームとなる。
放送席解説(wowow)の戸田和幸氏は「お互いにボールを保持することがリスクとなる試合」と評する。
ただ両チームともボールロストのリスクを承知で自陣からパスを繋ぐことを優先的に選択していた。
試合展開的にはリヴァプールが得意とする展開だが、インテルもプレスをかわし、いい形でダンフリーズ、ペリシッチの両WBにボールが渡れば決定機に繋がるのではないかと感じた。
後半
マークのズレを生かし、インテルが試合の主導権を握る
後半も立ち上がりから両チームともに激しく前に出る。
そんな中インテルは、ビルドアップ時の配置を変更(局面ごとの方針【攻撃】の図を参照)。マークのズレを生じさせる(マークのズレに関しては下図参照)。
50分を過ぎたあたりからその効果が現れ、インテルが中盤でパスを繋ぎだす。このパス回しの効果もあり左サイドではペリシッチがアイソレーション。スペースを得たペリシッチはボールを受けると得意のドリブル突破で左サイドから仕掛けてチャンスメイク。リヴァプールゴールに迫り、決定機も作る。
(インテル、ビルドアップ時のマークのズレ)
(95)バストーニが浮いた状態
⑳チャルハノールのマークを捨てて(95)バストーニを掴まえに行くと、⑳チャルハノールがフリーになる瞬間が生まれる
決定機を決め切れないインテル、対するリヴァプールは主砲が決定力を発揮
インテルはペリシッチの仕掛けからリヴァプールゴールに迫るも得点を奪えない。
すると押され気味のリヴァプールにチャンス到来。75分、右サイドのCKからフィルミーノがバックヘッドでゴールを挙げる。続く83分、セットプレーの流れからサラーが追加点。
リヴァプールが2点のリードを奪い試合終了となる。
試合の内容的には苦戦したものの、2点のリードを持ってアンフィールドに帰れるという理想的な結果を得たリヴァプール。
対するインテルは試合の内容が良かっただけに、痛い初戦黒星となった。
選手寸評
インテル
イバンペ リシッチ | 自慢の突破力で左サイドから仕掛け、リヴァプールゴールを脅かし続けた。 |
ハカン チャルハノール | ブロゾビッチが厳しいマークにあう中で中盤のパス回しのキーマンとして奮闘。後半、試合の流れを掴むことに貢献した。 |
ミラン シュクリニアル | 攻め込まれても高い集中力を発揮し、マネやルイス ディアスとのマッチアップで強さをみせる。攻撃でもリヴァプールのプレスに怯まずパスを繋ぎに行っていた。 |
アレッサンドロ バストーニ | 後半の戦術上のキーマンで攻撃の組み立てに貢献する。 ただ、73分リヴァプールのCKでマークしていたフィルミーノに決められたのは痛恨だった。 |
マルセロ ブロゾビッチ | リヴァプールの激しいプレスにあい、攻撃の組み立てには苦労したが、攻守に於いて広範囲に動き回る運動量は健在だった。 |
リヴァプール
ロベルト フィルミーノ | 不動のレギュラーではなくなったが、それでもここ一番での決定力はさすがの一言。 |
アンドリュー ロバートソン | ビルドアップのサポート、左サイドからの崩し、ダンフリーズに対する守備対応と多くの役割をこなし、チームに貢献する。 |
モハメド サラー | ファンダイクの落としに対する反応の速さと、そこからの決定力はまさに大エースのそれ。 |
ナビ ケイタ | 途中出場ながらマイボール時には積極的に前に出ていき、チームに推進力をもたらした。 |
ウィルジル ファンダイク | 危ない場面でも全く慌てず冷静に対応。彼のもたらす安心感は、相変わらず絶大。 |
投稿主選出の man of the match
ロベルト フィルミーノ
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