21-22シーズン、UEFAチャンピオンズリーグの決勝トーナメントが始まりました。
欧州最高峰を目指す戦い、最後まで目が離せません。
Round of 16 1st leg week1 結果
2022年2月16日
パリ サンジェルマン 1-0 レアル マドリード
2022年2月16日
スポルティングCP 0-5 マンチェスター シティ
2022年2月17日
レッドブル ザルツブルク 1-1 バイエルン ミュンヘン
2022年2月17日
インテル 0-2 リヴァプール
今回はR16屈指の好カード
パリ サンジェルマン 対 レアル マドリード 戦をレビューします。
※インテル 対 リヴァプール 戦もこちらでレビューしております。
よろしければご覧下さい。
パリ サンジェルマン 対 レアル マドリード
2022年2月16日 UEFAチャンピオンズリーグ Round of 16 1st leg
パリ サンジェルマン 1-0 レアル マドリード
攻めるパリSG、守るレアル。
最後の最後に均衡を破ったのは圧倒的な個の力だった。
メンバー
パリ サンジェルマン
監督 マウリシオ ポチェッティーノ
【スタメン】
50 | ジャンルイジ ドンナルンマ |
2 | アクラフ ハキミ |
3 | プレスネル キンペンベ |
5 | マルキーニョス |
6 | マルコ ベラッティ |
7 | キリアン エンバペ |
8 | レアンドロ パレデス |
11 | アンヘル ディマリア |
15 | ダニーロ ペレイラ |
25 | ヌーノ メンデス |
30 | リオネル メッシ |
【交代】
10 | ネイマール (73分In) |
➡ ディマリア Out | |
27 | イドリサ ゲイェ (87分In) |
➡ ダニーロ ペレイラ Out |
レアル マドリード
監督 カルロ アンチェロッティ
【スタメン】
1 | ディボウ クルトワ |
2 | ダニエル カルバハル |
3 | エデル ミリトン |
4 | ダビド アラバ |
8 | トニ クロース |
9 | カリム ベンゼマ |
10 | ルカ モドリッチ |
11 | マルコ アセンシオ |
14 | カゼミーロ |
20 | ビニシウス ジュニオール |
23 | フェルラン メンディ |
【交代】
17 | ルーカス バスケス (72分In) |
➡ ダニエル カルバハル Out | |
21 | ロドリゴ (72分In) |
➡ アセンシオ Out | |
15 | フェデリコ バルベルデ (82分In) |
➡ モドリッチ Out | |
7 | エデン アザール (82分In) |
➡ ビニシウス Out | |
18 | ギャレ スベイル (87分In) |
➡ ベンゼマ Out |
システム
左:パリSG 右:レアル マドリード
①試合開始時
②72分レアル、ルーカス バスケス、ロドリゴ投入
73分パリSG、ネイマール投入
③試合終了直前
得点経過
【90+4分・パリSG】得点者:キリアン エンバペ
ドリブルでハーフウェイラインを超えたキンペンベがライン間のエンバペにパス。エンバペはワンタッチで左サイドを走り込んで来たネイマールにパスを出し、自身はそのまま左サイドを前へと進む。
ネイマールは一旦ボールキープしてタメを作ってからエンバペにパス。エンバペは左サイドからペナルティエリアにドリブルで侵入すると、彼をマークしていたルーカス バスケス、サポートに来たミリトンの間をブチ抜いてゴールキーパーのクルトワと1対1に。フィニッシュはクルトワの股を抜くシュートでゴール。
局面ごとの方針
パリSG
【ネガティブトラジション】
アタッキングサードでは素早くマークを掴みに行く。
ミドルサードより後方では状況に応じて、マークを掴んでプレスに行く場合と、リトリートしてブロックを敷く場合を選択。
【守備】
レアルのビルドアップに対しては4-3-1-2の形でアタッキングサードからマークを掴みプレスに行く。
(レアルのビルドアップに対する守備陣形)
ミドルサードより後方では4-1-4-1のブロックを敷く。
ハーフウェイ付近でレアルがブロックの外でパスを回している時は⑥ベッラッティが前に出てチェイシングに行き⑧レアンドロ パレデスがベッラッティの空けたポジションに入る。
前半、ディフェンシブサードまで下がった時は⑮ダニーロがディフェンスラインまで下がって5バックになる事があった。
【ポジティブトラディション】
ボールを奪えばエンバペが前に走り出しカウンターを狙う。
カウンターが無理ならレアンドロパレデスを中心にパスを回すポゼッションオフェンスへ移行。
【攻撃】
ビルドアップはマルキーニョス、キンペンベの2センターバック(CB)の前にレアンドロ パレデスが立つ2-1の形でハキミ、ヌーノ メンデスの両サイドバックは前に出て幅を取る。
レアンドロ パレデスを起点にボールを左右に振り、右はハキミ、ディマリアの推進力で、左はヌーノメンデス、ベッラッティ、エンバペのトライアングルで前進しレアルの守備ブロックを押し込む。ダニーロは中盤の下がりめの位置でネガティブトラジションに備える。
アタッキングサードでの最終ラインに対する崩しはエンバペ、ディマリアのハーフスペースからの仕掛けが中心。ライン間のやや右寄りに構えるメッシはエンバペやディマリアの仕掛けから少し遅れたタイミングでゴール前に入って来る。
後半、ディマリアとエンバペは前半より内側に絞ったポジショニングを取り、アタッキングサードまで来ればディマリアは左右に幅広く動き、盛んにゴール前に顔を出す。
ネイマール投入後はメッシとネイマールのコンビネーションで主に中央からディフェンスラインを崩しに行く。また、エンバペは左右両方のハーフスペースからディフェンスラインの裏のスペースを狙う。
レアルマドリード
【ネガティブトラジション】
リトリートしてブロックを形成することを優先。
後半の立ち上がり15分を除けば、激しくプレスに行くことは少なかった。
【守備】
ミドルサードに4-1-4-1のブロックを敷くブロック守備がメイン。
エンバペがハーフスペースからディフェンスライン(カルバハルやミリトン)に対して仕掛けてきた時にはカゼミーロやモドリッチがサポートに来る。
【ポジティブトラディション】
基本方針は中盤でボールをキープしポゼッションを確立する事を優先しようとしていたが、押し込まれる時間帯が多かった分プレスをかわせば前方にスペースがあるので、直接スペースを狙い縦に進む事が多かった。
【攻撃】
ビルドアップはミリトン、アラバの2CBの前にモドリッチかクロースのどちらかが立ち、カゼミーロがサポートに来る。前半はモドリッチ、後半はクロースが攻撃の起点になる事が多かった。
敵陣に侵入すれば右はアセンシオ(72分以降はロドリゴ)、左はビニシウスがタッチライン際から仕掛けようとしていた。
試合の感想・ポイント
前半
パリSGがネガティブトラジションで的確にマークを掴みペースを握る
立ち上がり10分間の攻防を経てパリSGがネガティブトラジションで的確にマークを掴み、レアルの攻撃の組み立てを封じる。すると試合はパリSGペースになり、パリSGがレアルを押し込む展開となる。
放送席解説(wowow)の安永聡太郎氏はダニーロのクロースに対するマークが良く、クロースが消えている指摘していた。
前半のラスト6~7分ではレアルも守備でボールホルダーに対して強く寄せて行くなど反撃を試みようとしていたが、前半をトータルでみるとパリSGがペースを握っていた。
但し安永氏は試合のペースはパリSGが握っているとした上で、レアルも自陣のゴール前でCBが背後を取られたシーンは少なかった点を挙げていた。
確かに、メッシのシュートに対して必ずディフェンダーがシュートブロックに入るなどレアルは押し込まれながらも的確に守備対応を行っていた。
後半
後半もパリSGペースながら、勝負の行方はアディショナルタイムへ
後半の立ち上がり、レアルは敵陣で積極的にプレスに行く。またセカンドボールに対しても前半より速い反応で絡むなど、前半よりも前に出る姿勢をみせる。
レアルの積極姿勢により後半の立ち上がり15分はお互いに攻め合う展開になる。この時間帯は、両チームともにミドルサードでのネガティブトラジションではリトリートする事を優先。故にボールを奪えば両チームともにトラジションの流れからそのままアタッキングサードに侵入していた。
互いに攻め合う展開だが、その中でパリSGの方がより相手ゴールに迫っていた。60分を迎える頃にはパリSGが前半と同様、的確にマークを掴むようになりプレスの強度を高めるとパリSGがレアルを押し込んで行く。
61分にはエンバペの仕掛けでPKを獲得するが、ここはメッシのPKをクルトワがストップ。レアルはピンチを脱する。
しかしその後もパリSGはエンバペ、メッシ、ネイマールが攻め立てる。対するレアルもミリトン、アラバ、クルトワを中心にゴール前の堅守で耐え、試合はアディショナルタイムに突入。このままスコアレスドローかと思われた90+4分、エンバペが凄まじいドリブル突破から最後はクルトワの股を抜くシュートでゴールを奪い、これが決勝点に。パリSGが1st legを勝利で飾った。
2nd legの展望
ホームで勝利を得たパリSG。破れたとはいえアウェイでの厳しい戦いを1点差で凌いだレアル。この結果だけをみれば両チームともに希望を持って2nd legに臨むことができる。
但し気掛かりな点を挙げると、レアルはカゼミーロとメンディが2nd leg出場停止となる事。レアルは守備の要2人を欠く事になる。
この点を考慮すると、パリSGが若干ではあるが優位に立っているのではないだろうか。
選手寸評
パリSG
キリアン エンバペ | 凄まじいスピードでカルバハルやメンディの裏のスペースを取りレアルの守備陣に脅威を与え、試合終了間際にはルーカス バスケス、ミリトンの2人をブチ抜き決勝ゴールを挙げる。 |
ダニーロ ペレイラ | クロースとのマッチアップや、ハキミが攻め上がった後ろのスペースをケアする動きなど、パリSGが試合のペースを握る上で重要な役割を果たした。 |
レアンドロ パレデス | シンプルなパス捌きでパリSGの攻撃を支え、守備でもレアルの中盤を封じる。 |
マルキーニョス | 守備機会が少ない中でも集中力を切らさずに、的確な守備対応をしていた。 |
アクラフ ハキミ | サイドで幅を取る事で攻撃陣をサポート。守備面でもビニシウスとのマッチアップで強さをみせた。 |
レアルマドリード
ダビド アラバ | 主にメッシとマッチアップしたが、落ち着いて対応。メッシのシュートに対して前を塞ぐ状態を作っていた。 |
カゼミーロ | 厳しい試合展開の中、中盤のフィルター役やエンバペの仕掛けに対するヘルプディフェンスなどで奮闘した。 |
ディボウ クルトワ | メッシのPKを止めるなどパリSGの攻撃陣の前に立ちはだかる。レアルが1失点で凌げたのは彼の貢献があってこそ。 |
投稿主選出の man of the match
キリアン エンバペ
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