欧州サッカー観戦記 ブンデスリーガ 第21節

ブンデスリーガ

チャンピオンズリーグの優勝候補に挙げられるバイエルンとリヴァプール
決勝トーナメント直前の彼らの戦いぶりを観ました。

観戦した試合

2022年2月6日 ドイツ ブンデスリーガ 第21節
バイエルン ミュンヘン 対 RBライプツィヒ

2022年2月11日 イングランド プレミアリーグ 第24節
リヴァプール 対 レスター シティ

今回は バイエルン 対 ライプツィヒ 戦をレビューします。

※リヴァプール 対 レスター 戦のレビューはこちらになります。
よろしければご覧下さい。

バイエルン ミュンヘン 対 RBライプツィヒ

2022年2月6日 ドイツ ブンデスリーガ 第21節
バイエルンミュンヘン 3-2 RB ライプツィ

バイエルンが3-4-3同士の激しいプレス合戦を制する
チャンピオンズリーグのザルツブルグ戦に向けて好感触を掴んだのではないか

メンバー

バイエルン ミュンヘン
監督 ユリアン ナーゲルスマ

【スタメン】

1 マヌエル ノイアー
4 ニクラス ズーレ
5 ベンヤミン パバール
6 ヨシュア キミッヒ
7 セルジュ ニャブリ
9 ロベルト レバンドブスキ
10 レロイ ザネ
11 キングスレイ コマン
21 リュカ エルナンデス
24 コランタン トリッソ
25 トマス ミュラー

【交代】

42 ジャマル ムシアラ (63分In)
➡トリッソ Out
2 ダヨ ウパメカノ (73分In)
➡リュカ エルナンデス Out
18 マルセル ザビツァー (84分In)
➡ミュラー Out
23 タンギ ニアンゾ (84分In)
➡コマン Out

RBライプツィ
監督 ドメニコ テデスコ

【スタメン】

1 ペテル グラーチ
3 アンヘリーニョ
4 ビリ オルバン
16 ルーカス クロスターマン
18 クリストファー エンクンク
22 ノルディ ムキエレ
25 ダニ オルモ
27 コンラート ライマー
32 ヨシュコ グバルディオル
33 アンドレ シウバ
44 ケビン カンプル

【交代】

17 ドミニク ショボスライ (ハーフタイムIn)
➡カンプル Out
8 アマドゥ ハイダラ (61分In)
➡ライマー Out
10 エミル フォルシュベリ (61分In)
➡ダニ オルモ Out
39 ベンヤミン ヘンリヒス (72分In)
➡ムキエレ Out
9 ユスフ ポウルセン (80分In)
➡アンドレ シウバ Out

システム

左:バイエルン 右:ライプツィヒ

①試合開始時

②ハーフタイム
ライプツィヒ、ショボスライ投入

③61分ライプツィヒ、フォルシュベリ、ハイダラ投入
63分バイエルン、ムシアラ投入 システム変更

④試合終了直前

得点経過

【12分・バイエルン】得点者:トマス ミュラー
バイエルンはライプツィヒ陣内でライプツィヒのビルドアップに対してプレスに行く。そしてライマーに対してトリッソが背後からボールをカット。こぼれ球をレバンドブスキが拾い、ライプツィヒゴールに向かってボールを運ぶとシュートを放つ。ゴールキーパー(GK)グラーチがセーブも弾いたボールをミュラーがシュートしゴール。

【27分・ライプツィヒ】得点者:アンド レシウバ
ハーフウェイライン付近、中央のエリアでパスを受けたトリッソのトラップしたボールが足元を離れたところをエンクンクがボール奪取しカウンター。エンクンクがボールを運び、その左をダニ オルモ、アンドレ シウバが、右をライマーが並走。エンクンクはフリーのライマーへパスを出すとライマーは飛び出してきたGKノイアーの斜め上を抜くシュートを放つ。このシュートは僅かに枠を外れるも、ファーサイドから詰めてきたアンドレ シウバが押し込んでゴール。

【44分・バイエルン】得点者:ロベルト レバンドブスキ
バイエルン自陣左サイドからのスローインをコマンが投入。このボールをミュラーが受けると中央にいるトリッソへパス。トリッソはハーフウェイのやや自陣側から左サイド前方のスペースへボールを送るとスローイン投入からタッチライン際を走り込んで来たコマンがボールを受ける。コマンにマッチアップするムキエレの対応が遅れたこともありフリーになっていたコマンは余裕をもってクロスを上げ、ファーサイドから来たレバンドブスキがヘディングでシュートを決める。

【53分・ライプツィヒ】得点者:クリストファー エンクンク
ライプツィヒはハーフウェイ付近、右サイドのプレスでボールを奪うとライマーがボールを運ぶ。バイエルンのディフェンスラインが下がっていくのに対して中央を走るエンクンクがバイエルンのディフェンスラインの左側から裏に抜け、ライマーはそのエンクンクにスルーパスを通しエンクンクはGKノイアーと1対1。ここをエンクンクが決める。

【58分・バイエルン】オウンゴール(ヨシュコ グバルディオル)
バイエルン敵陣でのプレス。GKグラーチからライマーへのパスをコマンがカットし、こぼれ球を拾ったミュラーが中央に来たコマンにダイレクトでパス。コマンは右サイドのスペースに走り込んで来たニャブリにパス。ニャブリはクロス上げるが、ブロックに来たグバルディオルに当たりボールはライプツィヒゴールへと吸い込まれる。

局面ごとの方針

バイエルン

【ネガティブトラジション】
アタッキングサード、ミドルサードでは素早くマークを掴みカウンタープレスに行く。ディフェンシブサードでのボールロストやカウンターを受けた時には素早くディフェンスラインを形成しゴール前を守る。

【守備】
敵陣でマークを掴み、ボールがサイドに行けばボールサイドにラインを絞り複数の選手がボールホルダーにアプローチ。ボールホルダーを囲むようにプレスをかける。
63分以降は自陣で5-3-2のブロックを敷く事が増える。

【ポジティブトラジション】
敵陣でボールを奪った時、ライプツィヒの陣形が整っていなければ素早くスペースを突き、最短ルートでライプツィヒゴールを目指す。ライプツィヒの陣形が整っていれば、キミッヒへボールを預けポゼッションオフェンスに移行。
自陣でボールを奪ったときはライプツィヒのプレスをかわし、ポゼッションの確立を優先する。

【攻撃】
ビルドアップはパバール、ズーレ、リュカ エルナンデスの3センターバック(CB)の前にキミッヒが立つ3-1の形でパスを回し、状況によってはトリッソがサポートに来る。ズーレが盛んにライン間への縦パスを狙う。
ライプツィヒのフォアプレスをかわせば前進。サイドからニャブリ、コマンの両ウイングバック(WB)が裏のスペースを狙い、WBの動きによりライン間が空けば、ライン間にポジションを取るミュラー、ザネに縦パスを差し込む。ライプツィヒの守備ブロックが後退すればキミッヒにボールを渡し次の攻撃を組み立てる。
崩しの局面ではミュラーのワンタッチパスとザネのドリブルによる仕掛けを多用。

ライプツィヒ

【ネガティブトラジション⇒守備】
バイエルンボールになれば各選手が素早くマークを掴みに行く。
バイエルンのビルドアップに対しては下の図の陣形でマークを掴みミドルサードからプレスに行く。
(敵陣でのプレス時の布陣)

自陣ではアンドレ シウバをトップに置く4-5-1のブロックを敷く。
(自陣でのブロックディフェンス)

【ポジティブトラジション】
動き出しでバイエルンを上回れば縦にスペースを突いて直線的にバイエルンゴールを狙う。
カウンタープレスを受けてもできる限りパスを繋いでプレスをかわそうとする。

【攻撃】
ビルドアップはクロスターマン、オルバン、グバルディオルの3CBの前にライマー、カンプルが立つ3-2の形。そこからサイドにボールを回しボールサイドのCB、WB,ボランチでトライアングルを作りバイエルンのプレスを突破しに行く。バイエルンはサイドに強くプレスをかけてくるのでボールを奪われるリスクは大きいが、突破できれば前方にスペースができやすい。
バイエルンのプレスを突破すれば、トップ下を起点に崩しにかかる。トップ下にはいる選手の特徴(前半 ダニ オルモ:キープ力でタメを作り周囲と連携、45~60分 ショボスライ:推進力を生かし前進、61分以降 フォルシュベリ:一撃で急所を突くパスやドリブル)がチームの崩しの特色になる。

試合の感想・ポイント

前半

立ち上がりから両チームともに敵陣から激しくプレスをかけ合う。互いに簡単にはボールを運べないものの一度プレスを突破すれば一気に相手ゴールに迫れるという展開の中、12分バイエルンが敵陣でのボール奪取から先制点を挙げる。対するライプツィヒは20分頃からカウンターを繰り出すことが増えていくと、27分エンクンクのボール奪取からのカウンターを最後はアンドレ シウバが決めて同点に追いつく。
バイエルンは同点に追いつかれたものの、キミッヒを中心にライン間にパスを差し込みじわじわ押し込む攻撃とサイドからディフェンスラインの裏を突く攻撃を織り交ぜ攻め込んで行く。ライプツィヒも強気な守備で対抗するが、44分バイエルンは自陣でのスローインからの速攻でゴールを挙げ1点リードを奪い前半を終えた。

後半

後半の立ち上がりも前半同様、両チームが激しくプレスをかけ合う。そして50分台にはお互いにプレスによるボール奪取からの速攻で1点づつ取り合う。

60分台に入るとバイエルンがトラジションの動きで優位に立つことが多くなる。またバイエルンは63分にシステムを変更(システム図③参照)、マッチアップの嚙み合わせにズレが生じる(詳細は後述)。
これらの要素によりバイエルンが容易にポゼッションを取れるようになると、キミッヒの巧みな組み立てによりバイエルンが試合のペースをコントロールするようになる。
ライプツィヒもウパメカノのミスを突くなどして単発ながらチャンスを作るが、ノイアーの好セーブもあり形成をひっくり返すには至らず、3対2のままタイムアップ。バイエルンの勝利となった。

【システムマッチアップ上のポイント】
試合開始から62分までは両チームともに3-4-3ベースのシステム(バイエルン:3-4-2-1、ライプツィヒ:3-4-1-2)という事で、前線3人対CB3人、中盤センター2対2、両サイド1対1とマッチアップが噛み合い、トラジションで即マークを掴める状態。必然的に激しいプレス合戦になる。
63分バイエルンは選手交代に伴いシステムを3-5-1-1へ変更(システム図③参照)。中盤のマッチアップの嚙み合わせにズレが生じ、マークを掴むのに若干の手間がかかるようになる。そこにバイエルンがトラジションの動き出しで優位になってきたという要素が加味される。
次第にライプツィヒのプレスの威力は弱まり、バイエルンが容易にポゼッションをとれるようになっていった。

選手寸評

バイエルン
キングスレイ コマン オフザボールでのサイドのスペースを突く動きや、ドリブルによる仕掛けで左サイドを蹂躙。
ヨシュア キミッヒ バイエルンのポゼッションオフェンスの中心。時間の経過とともに存在感が増していた。
レロイ ザネ ライン間での仕掛けで崩しのきっかけを作る。放送席解説(スカパー!)の福田正博氏は守備面での献身的な働きを高く評価。
トマス ミュラー 中盤ではワンタッチのパスで攻撃の流れに変化を加え、ゴール前ではワンタッチのシュートでゴールを奪った。
ロベルト レバンドブスキ 前線でどんなに激しくマークされても、一瞬の動きでディフェンダーの背後を取る動きは流石。
ニクラス ズーレ 後方から何度も縦パスを差し込み、ライプツィヒの守備ブロックを押し込んでいた。
ライプツィヒ
ダニ オルモ ライン間でタメを作り、周囲との連携でチャンスを作った。
コンラート ライマー ポジティブトラジションからの素早い動きで2得点に絡むが、バイエルンのプレスの餌食になり2失点にも絡んでしまう。この試合のプレス合戦を象徴する存在。
クリストファー エンクンク ライン間から前線を広範囲に動き攻撃を牽引。53分のゴール直前の動きはいったんボール側に寄ってからディフェンダーの背後を取る見事なものだった。
ヨシュコ グバルディオル バイエルンのプレスを突破する際の積極的な攻撃参加で高い技術力をみせた。

投稿主選出の man of the match

キングスレイ コマン

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