21-22シーズンも折り返し地点を過ぎ後半戦へ。
優勝争いや、来季の欧州コンペティション出場権獲得を狙うチームの試合を観戦した観戦記の第2弾です。
観戦した試合
2022年1月17日 イタリア セリエA 第22節
アタランタ 対 インテル
2022年1月20日 スペイン ラ リーガ 第21節
バレンシア 対 セビージャ
2022年1月22日 ドイツ ブンデスリーガ 第20節
TSG1899 ホッフェンハイム 対 ボルシア ドルトムント
2022年1月23日 スペイン ラ リーガ 第22節
アトレティコ マドリード 対 バレンシア
2022年1月24日 イングラン ドプレミアリーグ 第23節
チェルシー 対 トッテナム ホットスパー
今回はアトレティコ 対 バレンシア 戦のレビューです。
※ホッフェンハイム対ドルトムント戦もこちらでレビューしております。
よろしければご覧下さい。
アトレティコマドリード 対 バレンシア
2022年1月23日 スペイン ラリーガ 第22節
アトレティコマドリード 3-2 バレンシア
メンバー
アトレティコ マドリード
監督 ディエゴ シメオネ
【スタメン】
| 13 | ヤン オブラク (GK) |
| 2 | ホセ ヒメネス |
| 5 | ロドリゴ デパウル |
| 6 | コケ |
| 7 | ジョアン フェリックス |
| 9 | ルイス スアレス |
| 11 | トマ ルマル |
| 12 | レナン ロディ |
| 21 | ヤニック フェレイラカラスコ |
| 22 | マリオ エルモーソ |
| 24 | シメ ブルサリコ |
【交代】
| 10 | アンヘル コレア (ハーフタイムIn) |
| ➡レナン ロディ Out | |
| 19 | マテウス クーニャ (58分In) |
| ➡ルマル Out | |
| 18 | フェリペ (58分In) |
| ➡ジョアン フェリックス Out | |
| 16 | エクトル エレイラ (61分In) |
| ➡ブルサリコ Out | |
| 26 | ハビ セラーノ (90+1分In) |
| ➡フェレイラカラスコ Out |
バレンシア
監督 ホセ ボルダラス
【スタメン】
| 1 | ハウメ ドメネク (GK) |
| 2 | ティエリ コレイア |
| 3 | トニ ラト |
| 4 | ユヌス ムサ |
| 6 | ウーゴ ギジャモン |
| 7 | ゴンサロ ゲデス |
| 10 | カルロス ソレール |
| 12 | ムクタル ディアカビ |
| 15 | オマル アルデレーテ |
| 19 | ウーゴ ドゥーロ |
| 20 | ディミトリ フルキエール |
【交代】
| 27 | コバ コインドレディ (54分In) |
| ➡アルデレーテ Out | |
| 32 | ヘスス バスケス (72分In) |
| ➡ラト Out | |
| 37 | クリスティアン モスケラ (72分In) |
| ➡ティエリ コレイア Out | |
| 9 | マキシ ゴメス (72分In) |
| ➡ウーゴ ドゥーロ | |
| 8 | ウロシュ ラチッチ (88分In) |
| ➡ムサ Out |
システム
左:アトレティコ 右:バレンシア
① 試合開始時

② 後半開始時

③ 58分アトレティコ システム変更

④ 72分バレンシア 3枚代え

⑤ 後半アディショナルタイム アトレティコ逆転時

得点経過
【25分・バレンシア】得点者:ユヌス ムサ
自陣からのクリアボールをゴンサロ ゲデスが右サイドで拾うと左ハーフスペースのムサへサイドチェンジ。アトレティコは早急にディフェンスラインを形成するが、ムサはカットインしながらブルサリコに対して仕掛けていき、ニアをぶち抜く形でシュートを決める。
【45分・バレンシア】得点者:ウーゴ ドゥーロ
右サイドのハーフウェイ付近、ティエリ コレイアがアトレティコ陣内に向けてラフに蹴った浮き球を両チームの選手が競り合うと、ボールはペナルティアーク付近にこぼれる。このこぼれ球に左サイドから走り込んで来たラトがゴール前中央にボールを流し込むとディフェンスライン裏へ抜けてきたウーゴ ドゥーロがシュートしゴール。
【64分・アトレティコ】得点者:マテウス クーニャ
左サイドのコーナーキック。フェレイラカラスコがインスイングのキック。アトレティコはニアに人を集めていたがボールはその頭上を抜けゴールキーパー(GK)ドメネクの鼻先をかすめファーに抜けるとクーニャが左足で合わせてワンタッチゴール。
【90分・アトレティコ】得点者:アンヘル コレア
自陣右ハーフスペース、エクトル エレイラは左サイド前線にいるフェレイラカラスコへサイドチェンジ。ボールを受けたフェレイラカラスコはペナルティエリアの角までドリブルで侵入するとディフェンスラインの裏へアーリー気味のクロス。このクロスにスアレスが飛び込むもGKドメネクが僅かに早くボールを弾く。このこぼれ球をアンヘ ルコレアがシュートしゴール。
【90+1分・アトレティコ】得点者:マリオ エルモーソ
エクトル エレイラが自陣右ハーフスペースから前線へ縦パス。このパスを受けたアンヘル コレアはインサイドを走り込んで来たクーニャへダイレクトでボールを渡すとそのままクーニャはラインブレイクしゴール前へクロス、ファーサイドのエルモーソがシュートしゴール。
局面ごとの方針
アトレティコ マドリード
【ポジティブトラジション⇒攻撃】
ビルドアップはブルサリコ、ホセ ヒメネス、エルモーソの3CBの前にコケが立つ形、後方でパスを繋ぎながらサイドのスペースにボールを供給。
そこから右サイドはフェレイラカラスコ、左サイドはレナン ロディの両ウイング(WB)が裏を狙いデパウル、ルマルの両インテリオールがWBをサポート。
後半になると前半より早いタイミングでボールを前方に送るようになる。
58分システムを3-5-2から4-4-2に変更(システム図②③参照)、ビルドアップはフェリペ、ホセ ヒメネスの2CBの前にデパウル、コケが並ぶスクエアの形。素早く敵陣までボールを運ぶと右はアンヘル コレア、左はフェレイラカラスコがハーフスペースからバレンシアのディフェンスラインに対して仕掛け、彼らの脇を後方の選手がフリーランニングで縦に走り抜ける。
【ネガティブトラジション】
ボールを奪われれば素早くマークを掴む。
【守備】
バレンシアのビルドアップに対してスアレス、ジョアン フェリックス、ルマルの3人がバレンシアの3CBをみる。その後ろは、前3人の動きに合わせてマークを掴む。
自陣に下がった時は5-3-2のブロックを敷く。
後半はバレンシアのカウンターに対する対応が増える。主にフェリペが前で張るゴンサロ ゲデスを抑え、その間に他の選手が戻って対応する。
バレンシア
【ネガティブトラジション】
前半はボールを奪われれば素早くマークを掴む。
後半はリトリートしてブロックを形成することを優先する。
【守備】
アトレティコのビルドアップに対してウーゴ ドゥーロ、ゴンサロ ゲデスの2トップがアトレティコの3CBをみて、ソレール、ムサの両インテリオールのどちらか1人がコケを見る形でアタッキングサードの後方からプレスに行く。自陣に下がれば5-3-2のブロックを敷く。
後半は早いタイミングでリトリートしてブロック守備に移行することが増える。その際、ゴンサロ ゲデスはカウンターのターゲットとして前残りする。
【ポジティブトラジション⇒攻撃】
ビルドアップはフルキエール、ディアカビ、アルデレーテの3CBの前にギジャモンが立つ形、後方でパスを繋いで攻撃を組み立てるより早いタイミングで縦に前進することを優先。
後半の攻撃は、ほぼカウンター一辺倒。ボールを奪えば前線に張るゴンサロ ゲデスへボールを送る。
試合の感想・ポイント
前半
両チームともにネガティブトラジションで素早くマークを掴み合う。必然的に球際の攻防が激しくなり、お互いに攻撃の組み立てが難しい展開の中、バレンシアがセカンドボールをより多く獲得することでペースを握る。
バレンシアは意図的にラフなボールを前方に蹴るなど、混沌とした状況を上手く利用しアトレティコを圧倒する。
後半
後半は前半と打って変わってアトレティコがセカンドボールを多く獲得。バレンシアがラインを下げたこともありアトレティコがバレンシアを押し込んで行く。
アタッキングサードでの崩しはアンヘル コレア、フェレイラカラスコがハーフスペースからディフェンスラインに対して仕掛けて行き、そこに後方から縦へのフリーランニングを組み合わせることでバレンシアのディフェンスラインを攻略。
3点を奪い大逆転となった。
セカンドボールを巡る攻防
【前半】
放送席解説の望月重良氏(WOWOW)は前半バレンシアがセカンドボールを巡る攻防を制した要因として反応の良さを挙げていた。
両チームとも3-5-2をベースにしたシステムを敷くミラーゲームの様相である以上、反応が速いほうがセカンドボールを獲得するのは道理であると私自身も感じた。
【後半】
後半はアトレティコが多くのセカンドボールを獲得した要因として
① 58分のシステム変更でマッチアップの噛み合わせが変わった
② アンヘル コレア、フェレイラカラスコのハーフスペースでの仕掛けがバレンシアの守 備陣に脅威を与えた
③ 後半に入りバレンシアのインテンシティが落ちた
以上の3点が大きな理由として挙げらる。
特に②の要因が大きかったと私自身は感じた。ハーフスペースでディフェンスラインが破られれば失点に直結する。アンヘル コレア、フェレイラカラスコの仕掛けは強烈で、バレンシアは複数の選手が彼らの仕掛けに対して対処せざるを得なくなり、その周囲ではアトレティコが数的有利の状態になっていた。
仮にアンヘル コレア、フェレイラカラスコの仕掛けがもっとタッチライン寄りであれば1人剝がされてもラインのスライドや中央を固めることで対処できる可能性は高く、ディフェンスラインが受けるダメージはもっと軽かったのではないかと個人的には感じた。
選手寸評
アトレティコ マドリード
| アンヘル コレア | ハーフスペースの仕掛けで後半の攻撃を牽引。90には同点ゴール、アディショナルタイムにはワンタッチパスで逆転ゴールを演出と大逆転劇の中心となる。 |
| ヤニック フェレイラカラスコ | 右サイドでは影が薄かったが、左サイドに移ってからは凄まじい突破力を発揮。逆転勝利に貢献した。 |
| マテウス クーニャ | 途中出場ながら1ゴール、1アシスト。リーグ公式のキングオブザマッチに選出される。 |
| マリオ エルモーソ | 後半、オフザボールでの縦へのフリーランニングで攻撃に貢献。アディショナルタイムには逆転のゴールを決める。 |
| エクトル エレイラ | 途中出場ながら中盤でしっかり流れを掴み、90分とアディショナルタイムのゴールの起点となる。 |
バレンシア
| ゴンサロ ゲデス | 高い技術力と球際の攻防の強さで攻撃を牽引。特に混沌とした状況で強さを発揮した。 |
| ユヌス ムサ | カットインからの仕掛けで挙げた先制ゴールはお見事。前半はセカンドボールを巡る攻防で強さをみせた。 |
| トニ ラト | 前半、積極的な攻め上がりでチームに貢献。43分のゴールも彼がゴール前に走り込んだ事によって生まれた。 |
| コバ コインドレディ | チームの守備は最終的には決壊したが、彼自身は中盤のフィルターとして奮闘した。 |
投稿主選出の man of the match
アンヘル コレア







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